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あいづちの万能選手「なるほど」のさまざまなバリエーションとNGな使い方

 コミュニケーションに悩みがある人にぜひ試してもらいたいのが、「ちょい足しことば」です。TBSアナウンサーとして活躍後、アナウンサーや有名企業などの重役から新入社員まで、さまざまなビジネスの現場でコミュニケーション法を伝授してきた今井登茂子さんの著書『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)から、返事をする際に相手の気持ちに寄り添うような“ちょい足しことば”を一部抜粋・改編して紹介します。(タイトル画像:emma / iStock / Getty Images Plus)

今井登茂子『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)
今井登茂子『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)

■「大丈夫ですよ、私もそう思いますから」というニュアンス

 まず紹介するのは、相手に共感や賛成の意思を示すちょい足しことばです。

Aさん:この表現だと誤解が生じそうな気がするんです。
Bさん:はい。再検討しましょうか。

\ここでちょい足し!/

Bさん:はい。私も同じ気持ちです。再検討しましょうか。

 いつもなら、「私も同じ気持ちです」と、共感して相手を盛り上げることで、より話しやすくなる雰囲気をつくる目的としても使うことが多いかもしれませんね。でも、ここでは相手を励ます、背中を押すイメージの例です。

 自信がなかったり、「もしかしたら反対されてしまうかな」と不安に思いながら話している相手に対して、「いやいや、大丈夫」という思いを込めてことばに出して伝えると、相手もホッとしますし、「自信を持ってね」というメッセージにもなります。

「私も同じ意見です!」「私も同感です!」という言い回しでもいいですね。

 このことばに限りませんが、少し照れくさくても相手の目を見て伝えてみてください。ことばに真心を込めると声やしぐさにも心が入り、効果が倍増するものです。

■万能選手だけれど、乱発は避けたいことば

「なるほど」は、あいづちの万能選手。「なるほど! そういうことなのですね」と相手がもっと話したくなるように促す使い方がポピュラーですが、実はその目的によって語尾や語調が微妙に変わり、さまざまな使い方ができるのです。

事情はよくわかりました。

\ここでちょい足し!/

なるほど……。事情はよくわかりました。

「なるほど、よくわかりました。では、次はどうしましょうか」という具合に、それまでの経緯を確実に「理解した」ことを相手に伝え、質問や、ときには反論につなげる役割。

 また、トラブルが生じて状況説明を受けるような場面で、ゆっくりと「なるほど……。そうか、彼が腹を立てていたのは、そういうことだったんだね」と深い納得と共感、ときには自分が誤解していたという気持ちを表すこともできます。さらには感嘆や感動を示すあいづちにもなります。

 ただ、目上の人には失礼になることも(とくに語尾は上げないようにしてください)。また、「なるほど、なるほど」とあいづち代わりに連発したり、「なるほどですね」という不思議な日本語は美しいことばづかいとは言えませんし、不快に思う人もいるでしょうから、避けるのが無難です。

■あなたのペースでいいですよという安心感を

 すぐに理解したり対応したりできないとき、もう一度ゆっくり考えたいとき。あるいは、いったんは理解したり納得もしたのだけれど、もしかしたら、また疑問が出てくるかもしれない、ちょっと不安……という場合に、相手が、「いつでも“窓口”は開けていますよ」という態勢でいてくれると思うと、気が楽になります。それに、じっくり考えることもできるでしょう。

 だからこそ、「はい」のあとに添えたいちょい足しことばがこれです。

Aさん:この資料、もう一度見て、またわからなければ聞いてもいいでしょうか。
Bさん:はい、構いません。

\ここでちょい足し!/

Bさん:はい、構いません。いつでもどうぞ。

 相手のペースを気づかうことばなのですが、何か物事を進めるときには、お互いに納得したうえでできたと感じることができるので、その後がスムーズですし、相手が安心感を持つので、関係性もよくなります。

 つまり、あなたにとってもやさしいひとことなのです。

 実際には、「いつでも」というわけにはいかないのですが、「いつでも」と言われたら、多くの場合は、相手もあなたの都合を自然と配慮してくれるでしょう。自分のペースでいいんだ、いつでも大丈夫なんだという支えがあると、人は心に余裕が持てるようになります。

(構成/三宅智佳)


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