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風邪で休んだ同僚に言いたい愛されワード「私のときもよろしくね!」の威力

 コミュニケーションに悩みがある人に試してみてほしいのが、「ちょい足しことば」です。TBSアナウンサーとして活躍後、アナウンサーや有名企業などの重役から新入社員まで、さまざまなビジネスの現場でコミュニケーション法を伝授してきた今井登茂子さんが提案するのは、「いつも使っている表現に、ひとこと足すだけ」というシンプルな方法。著書『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)でも紹介した、相手の気持ちを軽くする“おわび受け”の「ちょい足しことば」を、本書より一部を抜粋・改編してお届けします。
(タイトル画像:LUNAMARINA / iStock / Getty Images Plus)

今井登茂子『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)
今井登茂子『さりげなく品と気づかいが伝わる ちょい足しことば帳』(朝日新聞出版)

■自分だって助けてもらうことがあるから

 同僚が風邪で仕事を休んだ際、「こんな忙しいときに休んでしまって申し訳ない」と、深く落ち込んでいる、という場面は、きっと誰もが体験したことがあるのではないでしょうか。そんなときにちょい足ししたい、とっておきのことばがあります。

Aさん:忙しい時期に風邪をひいてしまって、本当にごめんなさい。
Bさん:いえいえ、気にしないでください。

\ここでちょい足し/

Bさん:いえいえ、気にしないでください。私のときもよろしくね!

 実はこれ、私の知人から聞いた実話です。体調不良で休んでしまった女性に会社の先輩がかけたことばが、「大丈夫大丈夫、やっておくから気にしないで。私のときもよろしくね!」でした。あとからその女性が、「あのひとことに救われた」と笑顔で話していたそうです。

 そのエピソードを聞いてから、「私のときもよろしくね!」は、私の職場でもみんなが好んで使うようになり、すっかり定着しました。

 忙しいときなど、ミスや予想外の休みに、自分を責めてしまう人は多いものです。でも、誰だっていつ病気になったり、ミスをしたりするかわかりません。

「大丈夫、今回は私に任せて。でも、もし私がダウンしたときは頼むね」というお願いをしておけば、貸し借りなし。とくに責任感の強い人は、文字通り心が「軽く」なるはずです。

 休むことは権利なのですから、みんなでこのちょい足しことばを言い合って、気持ちのいい職場にしてくださいね。

■スタートは遅れても、会ってすぐいい雰囲気に

 やむを得ず、約束の時間に遅れてしまうことは、誰にだって起こりうることです。相手から遅刻をおわびする連絡を受けたとき、「承知しました」にちょい足しすると、会ってから和やかになることばを紹介します。

Aさん:申し訳ありません! 前の仕事が長引いて20 分ほど到着が遅れそうです。
Bさん:承知しました、大丈夫ですよ。

\ここでちょい足し/

Bさん:承知しました、大丈夫ですよ。お気をつけていらしてください。

 焦ってドキドキしながら遅刻の連絡を入れたとき、「お気をつけていらしてください」なんてやさしいひとことを言われたら、心の底からホッとしますよね。

 待つ側としても、相手が慌てて怪我でもしたら大変です。はやる相手の気持ちを静めてあげましょう。

 約束の時間に相手が来ないとなると、多少なりともストレスを感じるものです。このちょい足しは、自己暗示のように、そのストレスも軽くしてくれます。そのため、相手が到着してからの会話がスムーズによい雰囲気で開始できますよ。

 私の家は、電車の駅からバスで3つめの停留所のそばです。ただ、その3つのバス停の名称はすべて「◯◯坂」。ですから、初めてお越しいただく際には「3つめの停留所ですよ。お気をつけていらしてくださいね」と、伝えています。

 こんなふうに、「暑いのでお気をつけていらしてください」「混んでいるのでお気をつけていらしてください」など、「何に気をつけるか」をさらに足してあげるのもおすすめです。

今井登茂子さん(写真:本人提供)

■失敗で慌てたり落ち込んでいる人に

 うっかりしていたり、本調子でないときに、思わぬ失敗をしてしまうことがあります。それで他人に迷惑をかけると、さらに慌てたり、気持ちがとても沈んでしまうものです。そういうミスでおわびをされたときに使いたい、ちょい足しことばがあります。それが「私もよくやる(ある)んです」

Aさん:ごめんなさい! うっかりしていました……。
Bさん:気にしないでください。

\ここでちょい足し/

Bさん:私もよくやるんです。気にしないでください。

「大丈夫よ! 私もよく忘れるの」「気にしないで、私もそこ、よく間違えちゃうのよね」。ちょっとしたミスや思いちがいの場面で、よく使うことばです。こんなふうに言われたら、相手のやさしさを感じられて、心があたたかくなります。

 以前、打ち合わせに、肝心の資料を忘れてきた人がいました。急いで取りに戻りますと言いながら、気の毒なほど恐縮しています。どうして出がけに確認しなかったのかなと思うのですが、その姿を見ていたら、ささいな怒りはおさまっていきます。むしろ、こんなに混乱していて、慌てて事故にあったり怪我をしたら大変と思い、「私もよくやるよ」とフォローしました。

 厳密ではありませんが、主に「やる」は行為、「ある」は状況に使います。「私もよくある」のほうが難しいかもしれませんね。たとえば、プレゼン中に言い間違えたときは「やる」、言うことを忘れたときは「ある」。電車に乗り遅れて遅刻したときは「やる」、電車が車両故障などで遅れたときは「ある」です。

 気にしすぎる相手には、効果てきめん。もちろん、大きすぎるミスには「私も」とは言えませんが……。

 謝罪を受けている場面であなたがもし相手を許すのなら、できるだけ早く相手の気持ちを軽くしてあげたいものです。そんなときに、ちょい足しことばは大活躍。相手をホッとさせてくれます。

(構成/三宅智佳)


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