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「寒天」「ゼラチン」の失敗しない“黄金比”を公開!キーワードは「ぷるん」「ぷるるん」「ふるふる」
夏になると欲しくなるのが、冷たいデザート。食欲のないときもつるんと喉を通ってくれるゼリーやプリン、寒天は、水とゼラチン、水と寒天の「黄金比」さえ覚えてしまえば、失敗することなく狙った食感に仕上げることができる。教えてくれるのは、書籍や雑誌、広告などの料理制作やスタイリングを手掛け、洋菓子店勤務の経験もある福岡直子さん。2021年5月に発売した『おうちデザート ゼリー・プリン・ババロア・ムース』(朝日新聞出版)では、型や道具がなくてもすぐに作れる簡単デザート全100レシピを紹介している。そんな福岡さんいわく、板ゼラチンや棒寒天より、粉ゼラチンや粉寒天を使うほうが、「黄金比」を再現しやすいという。
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そもそも福岡さん、ゼラチンと寒天ってどう違うんですか?
「ゼラチンは、牛や豚の骨、皮から抽出された動物性タンパク質のコラーゲンから作られたものです。一方の寒天は、テングサやオゴノリなどの海藻が原材料。ゼラチンよりも凝固力が強く、常温でも溶けないのが特徴です」
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なるほど。まずは、ゼリーやプリン、ババロアなど、洋風のデザートに使うゼラチンを好みのかたさに仕上げるための「黄金比」から。福岡さんは、ゼラチンデザートのかたさを「ぷるん」「ぷるるん」「ふるふる」の3段階で表現する。
「『ぷるん』は、一般的なゼリーのかたさ。型抜きしたり、切り分けたりしても、形を保つことができます。『ぷるるん』は、型抜きしても形をキープすることはできるものの、『ぷるん』に比べて水分を感じられる、やわらかめの仕上がり。『ふるふる』は弾力がないジュレ状のかたさで、クラッシュゼリーのような崩していただくタイプのデザートに向いています」
まず用意するのは粉ゼラチン5グラムを50ミリリットルの水でふやかしたもの。粉ゼラチンは器に入れた水の中に少しずつ、1カ所に固まらないようにふりいれ、よくかき混ぜる。これに、水やジュース、コーヒー、牛乳などの水分を加えてふやかしたゼラチンを煮溶かしデザートを作っていくのだが、食感を左右するのはもちろん、その水分量。250ミリリットルなら「ぷるん」に、300ミリリットルなら「ぷるるん」に、350ミリリットルなら「ふるふる」に仕上がる。
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50ミリリットル刻みの配合は、福岡さんオリジナル。これを覚えることで、型抜きしたら崩れてしまった……などの失敗とはサヨナラだ。
寒天や水ようかんなどに使う粉寒天の場合、福岡流のかたさ3段階は「しっかり」「やわらか」「とろとろ」。
「『しっかり』は、あんみつなどに使う角切り寒天のかたさ。さっくりと歯切れのいい食感が楽しめます。『やわらか』は、やわらかく、のど越しもよく、それでいて切っても形を保てるかたさ。水ようかんをイメージしてください。そして『とろとろ』は、寒天の質感を残しつつ、すくって口に入れるととろけるやわらかさ。汁菓子のような楽しみ方ができるかたさです」
粉寒天の場合、先ほどの粉ゼラチンのような「ふやかす」工程は必要ない。1袋4グラムで市販されていることが多いことから、福岡さんはその4グラムを基準に「黄金比」をはじき出している。
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ポイントは、粉寒天をふり入れる前に、水やジュース、牛乳などの水分をよく冷やしておくこと。4グラムの粉寒天に対し、水分400ミリリットルなら「しっかり」、500ミリリットルなら「やわらか」、600グラムなら「とろとろ」の食感になるという。こちらも100ミリリットル刻みなので覚えやすく、計量しやすく、失敗がない。冷やした状態の水分に粉寒天をふり入れたら、よく混ぜて中火にかけ、完全に煮立つまで加熱する。煮立ったら弱火にし、粉寒天が完全に解けたらグラニュー糖などの甘味を加え、茶こしでこしてから冷やし固めると、なめらかな仕上がりになるという。
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※100%のマンゴージュースはとろみがあるため、「黄金比」とは異なる配合になっています
(写真/位田明生)
これで、夏のデザートは自由自在。好みのかたさを見つけたら、思い思いのアレンジを楽しんでほしい。
(構成/生活・文化編集部 森香織)