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春季号は創作が3本に、第10回林芙美子文学賞受賞作&選評掲載! 江國香織さんインタビューも。〈「小説TRIPPER」2024年春季号ラインナップ紹介〉

 2024年3月18日発売の「小説TRIPPER」2024年春季号のラインナップを紹介します。今号から、奥泉光さんの創作「印地打ち」と志川節子さん「昔日の光」が始まります。また、本誌発の江國香織さんの最新刊『川のある街』をめぐる、町家良平さんによるインタビュー。そして、第10回林芙美子文学賞で、大賞を受賞した大原鉄平さんの「森は盗む」、佳作を受賞した鈴木結生さんの「人にはどれほどの本がいるか」の全文および選評を掲載いたします。林芙美子文学賞出身の工藤千尋さん「ファム・メゾン」も一挙掲載です。

◆創作

奥泉光 「印地打ち」

 旅先で公民館に集う年寄りから、その昔の石合戦、印地打ちの話を聞いた。山岳に住み石礫を飛ばして、動く標的を射止める。武田信玄、真田昌幸の戦にも登場しながら、武将の軍団に組み込まれることを拒み、戦国の世に幻と消えた山の民が、現代に問いかけるものとは? アジア・太平洋戦争から歴史の舞台を遡って、著者の新境地。

志川節子 「昔日の光」

 4年前に女房を亡くした幸右衛門は、息子に家業の大家を継がせたものの、何かと口を出すので煙たがられている。かつて水芸の女太夫であったたなのおはつが十数年ぶりに舞台に上がると聞いた幸右衛門は、大家仲間とともに「連(後援会)」を立ち上げることを計画するが――。妻に先立たれた男の心のありようを描く意欲作。

工藤千尋 「ファム・メゾン」

 女性としての成長を忌避し、心身の不調で大学に通えなくなっていた育実。干渉的な親類縁者と距離をとり、水商売で生計を立てる伯母の福子。彼女の許でようやく穏やかに暮らせるようになった育実だが、ある出来事をきっかけに、脚の障害から、出産も、開脚することもできないはずの伯母に変調の兆しを見てしまう――。女性の身体性と濃密な雪国の生活を描く意欲作。

◆インタビュー

「言葉の要請から物語が生まれる」江國香織インタビュ/聞き手・町屋良平

 江國香織さんの最新刊『川のある街』をめぐるインタビュー。『冷静と情熱のあいだ』以来、長く江國さんの小説を愛読してきたという町屋良平さんが聞き手となり、作品の変遷と執筆スタイルの変化、本作で試みられている方法まで、「読むこと」と「書くこと」の本質に迫る。

◆第10回林芙美子文学賞

 第10回林芙美子文学賞は、大原鉄平さんの「森は盗む」が大賞を、鈴木結生「人にはどれほどの本がいるか」が佳作を受賞いたしました。受賞作全文、および井上荒野さん、角田光代さん、川上未映子さんによる選評を掲載します。


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