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つながる短歌

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千年を経て愛される和歌と近現代の短歌。二首を比較しながら人々の変わらない心持ちや慣習に思いをはせ、三十一文字に詰まった小さくて大きな世界を鑑賞する『つながる短歌100 人々が心を…
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#清少納言

紫式部と清少納言が詠んだ「夜と友」

 11世紀初めの平安時代中期、王朝文化の盛期を彩る2人。日本文学の物語と随筆の分野を代表する、紫式部と清少納言が、宮仕えの合間の友との交わりを詠んでいます。  紫式部はあるとき、長いこと会っていなかった幼なじみと宮中で行き合います。その女友達も誰かに仕えている身だったのでしょう。彼女は慌ただしく去ってしまいます。本当にその人なのかどうかもわからない短い間のことでした。  その友を、雲に隠れてしまう夜中の月にたとえています。「めぐり逢ひて」という初句がまず人のことを思わせま