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2023年3月の記事一覧

一番リピした日本食は「ほかほかご飯と冷たい漬物」 米国出身フードイラストレーターが描く“おいしい日本”の魅力

前編はこちら  大学では日本語やデザインを専攻。クリエイティブ系の学生たちの間で、長い歴史に裏付けられた日本の文化や、ネオンサインがひしめくサイバーパンクな街など「ちょっと不思議な唯一無二の文化」を持つ日本は憧れの的だった。日本にやってくるときは、クラスメートの「おめでとう」の声に送られたという。  そんなケイリーンさんがもうひとつ、描く食べ物を決めるときのポイントにしているのは、日本文化として紹介できるものかどうか。 「オムライスひとつにしても、ビジュアルが派手でユニ

あなたの職場の疲労度は「何段階」? ヤバい職場から身を守る方法を自衛隊メンタル教官に聞く

■笑いが減る、言った言わない、不公平感に過敏など、疲労した組織の特徴とは  まず、あなたが今いる職場について、次の項目はどのくらい当てはまるでしょうか。  これは私が「2段階職場」と名付けた、組織力を失った職場の特徴を挙げたものです。  当てはまる項目が多いほど、組織の力を失っていると考えてください。 「2段階」とは疲労のレベルのことを示しています。  疲労には1段階、2段階、3段階とあるのですが、個人レベルでは次のように考えます。 ・疲労の1段階  何かストレス

【空腹時閲覧キケン!】米国出身フードイラストレーターが描く「日本のおいしいもの」が人々を魅了するわけ

 生クリームの上で今にもプルンと動きだしそうなプリンと、色とりどりのフルーツたち。今すぐ、絵のなかの四角いアイスクリームスプーンを手に取り、ごっそりすくって口のなかをバニラとカラメルの香りでいっぱいにしたい……。アメリカ・ミネソタ州出身のフードイラストレーター、ケイリーン・フォールズさんのイラスト×エッセイ×ガイド本『日本のいいもの おいしいもの』(2022年6月刊/朝日新聞出版)の表紙に描かれた「プリンアラモード」を眺めていると、そんな衝動に駆られる。  このプリンアラモ

すぐに怒る=ダメ親ではない 「親子バトル」が「親子パワハラ」にならないためのコツを自衛隊メンタル教官に聞いた

■親子バトルは健全なこと、怒ってしまうからダメな親ではない  勉強やスポーツ、進路、生き方。食事、寝る時間、歯磨きなどの生活習慣にいたるまで、子どもが思い通りに動かないとき、親はひそかに「怒り」を抱えてしまいます。  自分の「イライラ」や「怒り」が抑えられなくて、子どもをガミガミ怒鳴ってしまう。その挙句に子どもが反発しようものなら、売り言葉に買い言葉、親子バトルに発展してしまった……。心当たりがある人は、とても多いのではないでしょうか。  親子とは、多かれ少なかれ、バト

もし今パワハラ被害にあっているなら「やってはいけないこと」と「直ちにやるべきこと」とは? 自衛隊メンタル教官に聞く

■半沢直樹のように、相手を完膚なきまでに論破し、土下座させたいけれど…  私は日ごろから、上司などからパワハラを受けて苦しんでいる方のカウンセリングも行っています。  苦しい思いをしたパワハラ被害者は、恐怖とともに、強い怒りを感じています。そして、その怒りのままに「相手をやっつけたい」という強い衝動も秘めています。  さすがに暴力はダメだとわかっているけれど、ドラマ半沢直樹のように、相手を完膚なきまでに論破し、土下座でもさせたい。  しかし、本当にそれをやってしまった

世界最大の精子バンクで妊娠・出産したある日本人女性カップルの幸運 LGBTQで子を持ちたい人たちの願い叶える「凍結精子」の可能性

■「命の種を買う」 「2020年4月4日に無事生まれました。生まれたときの体重は3280グラムです」  女性カップルの一恵さん(44)と響さん(42)はZoomのスクリーンの向こうで喜びの声を上げた。2019年にクリオス・インターナショナルから精子を買って、1回目の人工授精で妊娠し、無事出産に至ったきわめて幸運なケースだ。一恵さんは赤ちゃんに自分のことを「パパ」と呼ばせている。  一恵さんと響さんが知り合ったのは15年前である。インターネットの掲示板で友だち募集があり、

中高年になると増える親へのイライラや恨み…原因は「疲労」? 正しいケアの方法を自衛隊メンタル教官に聞く

■中高年特有の「疲労」が与える影響 「親に対してのイライラが止められない」「私の親は毒親だったんです」と、カウンセリングの場で訴えるクライアントさんは珍しくありません。  というより、かなり多いという印象です。  若いころはそれほど気にしていなかったのに、中高年になってから、自分の親に対する「恨み」に気づいて、それがどんどん湧き出してきて止められなくなってしまう。こうした方々は、いら立つ自分、根に持ってしまう自分のこともひそかに責めているので、一層つらさを抱えていらっし

北欧で成功した「精子提供ビジネス」の実態と“子供の知る権利”をめぐる衝撃的な事実

■ビジネススクールに通う27歳の大学院生が見た「何百という凍結精子」が泳ぐ夢  デンマークのオーフスにある世界最大の精子バンク「クリオス・インターナショナル」(以下、クリオス)を訪れたのは2018年9月末のことだ。デンマークで2番目に大きな都市であるオーフスは人口約28万人。オーフス空港から44キロほど海岸沿いを北西に行った中心部にクリオスはある。創設者のオーレ・スコウ(68)は1987年にこの会社を設立した。2017年12月1日付で引退し、後継者にはピーター・リースリヴが