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2022年8月の記事一覧

なぜ笑顔で「ハイ!」と返事をする部下ほどやる気がないのか?

■個々のメンバーの強みを引き出す「聴き方」と「聞き方」  対話型リーダー。  優れたリーダー像を一言で表現しようとすると、この言葉に集約されます。おそらく、これからの社会において重要なキーワードになると僕は確信しています。  僕は、MicrosoftやFitbitなど主に外資系企業で7度の転職を経て現在が8社目です。これまでに出会った優れたリーダーたちはみんな、自身の強みと弱みを正確に把握しているのが印象的でした。自分が得意とするところは何か、そして、どうすれば自分の力

“自称”専門家の見分け方 「わかる」のが専門家ではなく、むしろ「わからない」のが専門家 <内田樹×岩田健太郎>

■専門家と非専門家の違いとは 内田:感染症の専門家としての岩田先生のスタンスはよく理解できます。一方で僕は「素人の立場」です。素人だからこそ言えることってあると思うんです。専門家は責任があるから言い切れないけれども、素人は「僕は素人です。だから僕の話は真実含有率が低いです」とお断りをしておけば、割と好きなことが言える。それが素人の特権だと思うんです。信頼性はないにしても、そういう発言が「そういう見方もあるのか」という気づきをもたらすこともたまにはないわけじゃない。 だから、

「才能がない」のではない「見つけていない」だけ 自分でできる“才能のタネ”の探し方

「才能」という言葉からは、ごく一握りの人にしかないものをイメージしがちです。でも、たとえば、「この人と話すとホッとする」と感じさせる話の聴き方ができたり、チームで進めている仕事の“穴”に気づけたり、レシピを見なくてもいい塩梅で料理の味付けができたりするのも、才能です。  ただ、そうしたことは、能力がある人には努力しなくても当たり前にできてしまいますし、特に仕事に目に見える形で生かされていなければ、周囲も意識していないかもしれません。この段階のものを、僕は「才能のタネ」と呼ん

「アイツはいじめてもいい」と犬笛を吹く存在とは? 社会から「いじめ」がなくならないこれだけの理由 <内田樹×岩田健太郎>

■いじめにGOサインを出す教師 岩田:コロナ禍以降に若年層の自殺者数が増えているというニュースがずいぶんありました。 内田:そうでした。 岩田:学生と社会人では、自殺の理由もだいぶ違いがあると思います。以前、『ぼくが見つけたいじめを克服する方法――日本の空気、体質を変える』(光文社新書)を書いたときに、小中高校生の自殺についてかなり調べたんです。学童の自殺の原因はほとんどがいじめなんですね。ただ調べ方によって、結果にだいぶばらつきが出ます。文科省が取ったアンケートではい

二人の「安田」は怒っている どうか知ってほしい、知られざる入管の実態、外国人差別の実態

■あまりにも遠い富士山  様々な事情を抱え、行き場を失った外国人労働者を保護するためのシェルター(岐阜県羽島市)に通っている。 「富士山を見たかった」  暗い表情でそう何度も訴えたのはカンボジア出身の女性だった。勤務先を逃げ出し、シェルターにたどり着いた。 「カンボジアにいたころ、テレビやネットの写真で何度も富士山を見た。あの美しい山のある国に行ってみたいと、ずっと思っていた」  地元のブローカーに「日本行き」を誘われ、6千ドルの手数料を支払って技能実習生となった。

Googleが解明した「優れたマネジャーの条件が“良いコーチである”」ことの理由

■マネジャーが最低限やるべき5つのこと  なぜマネジャーは良いコーチでなくてはならないのか?  それは、目まぐるしい現代のビジネス環境の変化に対応しながら、チームでより高い成果を上げていくには、チームのメンバー一人ひとりの成長が欠かせないからです。コーチとは、チームのメンバー一人ひとりの目標達成をサポートし、成長を促す存在(人)のことであり、それを実現するための手法がコーチングです。  マネジャーが最低限やるべきことは次の5つです。  (1)チームのミッション(ビジョ

CAの世界にもある陰湿ないじめや意地悪の“人生に役立つ”切り抜け方を元チーフパーサーが伝授

■CAは実は軍隊のように過酷な世界  時代と共に変わってきてはいますが、CAの職場環境は基本的には過酷です。職場での厳しい上下関係、理不尽なお客様への対応、万が一の不測の事態に備え、常に緊張も強いられます。国際線では時差と闘い、見えないウイルスとは常に隣り合わせ、砂漠のように乾燥した機内で夜通し化粧も落とさず笑顔を振りまくという、身体的にも美容的にも厳しい環境で毎日を送っているのです。  そんな職場環境で、すべてのCAが折れないメンタルを身につけているかと言えば、そうでは

「給食に出てくるスパゲティー、全校生徒分つなげたら何メートルになる?」フェルミ推定で子どもを算数好きに

 横山さんは代表をつとめる「math channel」で算数の教室や算数イベントを数多く開催し、子どもたちと触れ合ってきた。そのなかで出会ってきた算数や数学が好きな子の特徴は、「日常を『算数』の視点で考えるタイミングが圧倒的に多いことです」と語る。日常触れているものを「これは三角形」「これは円」と図形としてとらえてみたり、数字をみてそのつながりや性質を考えたり。「算数好き」な子は、算数的な思考を日常に取り込んでいるという。  では、どうすればそんな子どもが育つのか。大切なの

おおたわ史絵が「母を捨てよう」と決意したあまりに過酷な瞬間

 父の死後、母はお金に対する異常な執着を見せるようになった。  もとからお金は大好きで、とくに現金を手元に置きたがる習性があった。変な話だが、財布のなかにはいつも十万円の束がいくつか入っていないと気が済まなかったし、寝るときですら枕の下に百万円の束を敷いていたくらい、イヤらしい現ナマ好きだった。  長野の田舎育ちで決して裕福とは言えない幼少期を鑑みれば、お金持ちに対する憧れがあったって不思議ではない。昭和の戦争を知る時代の女ゆえ、裕福になることが幸せなのだと信じて生きてき

大谷翔平がアメリカの「野球少年の母」にとことん好かれる理由

■助手席に顔写真  内装業を手がけるスティーブ・スミスさん(45)は、2010年からライトスタンドの年間予約席を買い続ける熱心なエンゼルスファンだ。自宅から球場まで約1時間ドライブして、2021年はエンゼル・スタジアムでのホームゲームをほぼ全て生で観戦した。  そんなスミスさんが、「これまでの人生で最も熱狂している」と言うくらい入れ込んで応援しているのが大谷だ。エンゼルスの主砲であるマイク・トラウトでさえ「大谷ほど興奮させてはくれない」と話す。 「メジャーで投手としてや