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2022年5月の記事一覧

有能すぎて嫌われた「鬼平」が死の床で受けた“褒美”とは 知られざる長谷川平蔵の素顔

 テレビ時代劇で中村吉右衛門氏が演じていた鬼平こと長谷川平蔵宣以は、実在の人物である。池波正太郎氏の小説で有名になったのだが、それに先だって、法制史学者・瀧川政次郎氏の研究があり、石川島人足寄場の設立などの事跡が明らかにされている。  平蔵が就いていたのは火付盗賊改という役で、弓8組、鉄砲20組あった先手組の頭(長官)の中から一人が任命され、冬季のみ一人増員となる。先手頭との兼任であることから「加役」と呼ばれ、通年任じられている者を「加役本役」、冬季のみの者を「当分加役」と

小論文試験で「まずやるべきこと」と「必要な癖」とは

■「聞かれていること」の整理から始める 今道:小論文の問題を手にしたとき、まずやるべきことは「問題を読むこと」です。要点を分かってもらうために、ごくごく簡単な出題と解答例を示します。 今道:これは聞いていることがいくつありますか。 もとゆき:二つありますか……? 今道:これはやや難しいですが、直接書くように指示されていることは一つです。「今後日本の教育はどう変わっていくべきか」です。但し、それを書く上での条件として、「グローバル化の進展を踏まえ」という指示がある状態で

タモリさんも使っていた相手との距離を縮める魔法の言葉

 小学6年生のとき、「魔法の言葉」を覚えました。当時、父の仕事の都合でアメリカ・ニュージャージー州に引っ越し、2歳違いの弟と一緒に地元の公立学校に入学。覚悟はしていましたが、早速、言語の壁が立ちはだかりました。サッカーボールひとつであっという間に友だちをつくった弟と違って、私はクラスになかなか溶け込むことができません。  日本の小学6年生は、現地では中学1年生に当たります。まさに思春期1年生。同級生たちはクラスでいかにクールなポジションを確立するかに必死。大人びて見えた彼女

芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」書評まとめ

令和最初の芥川賞を受賞した今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』がいよいよ6月7日に文庫化されます。様々な解釈ができると芥川賞の選考会がわいた話題作。単行本時の書評をまとめてみました。 評者・村田紗耶香さん「読売新聞」(2019年7月28日) 評者・藤田香織さん「東京新聞」(2019年7月14日) 評者・佐々木敦さん「東京新聞」文芸時評(2019年3月28日) 評者・佐々木敦さん「東京新聞」文芸時評(2019年8月1日) 評者・本田由紀さん「朝日新聞」(2019年

文章のプロが「起・承・転・結」で書くことを勧めない理由

■聞かれた順番に書けばいい もとゆき:文章を書くときの基本的な手順を知りたいです。 今道:はい。その点について、説明しましょう。次のような例題を用意しました。 今道:これから下書きを作って、文章を作成していきますが、次のような手順を踏みます。 今道:[1]では、問題で聞かれていることがいくつあるかを整理し、その中で何がキーワードになっているかを理解します。[2]では、問題を受けて、答案をどういうブロックで構成するのかを考えます。 もとゆき:文章は「起・承・転・結」で

源義経はなぜ非業の死を遂げたのか?「査定」に泣いた軍事の天才の真実

「毒まんじゅう」は裏切りの密約に対する報酬を意味するかつての流行語だ。  念のために説明しておけば、平成15年の自民党総裁選において、反小泉純一郎首相派と目された政治家が小泉氏支持に転じたのは、総裁選後の有力ポストを約束されたからではないか、という故・野中広務氏の非難に由来する。  懐柔のエサとしてのポスト――それを、「毒まんじゅう」と表現したわけだ。  人事が懐柔の手段に使われるのは、政治の世界だけでなく、今日の会社組織でもよくあることだろう。日本史を振り返っても然り

ビートたけしさん、笑福亭鶴瓶さん、所ジョージさんを相手にボケてみせたラジオDJの、永遠のようで一瞬のような10分間

 いわゆる「エライ人」は、必ずしも偉そうにしていません。エライ人に会うことを事前に恐れて心配するより、現場でその懐にエイッと飛び込むほうが、上手に受け止めてもらえることもあります。  私がMC(番組進行役)を務めていたNHK『BSコンシェルジュ』の企画で、ビートたけしさんの収録現場にインタビューをしに行くことになりました。  1980年代に人気を博したバラエティー番組『オレたちひょうきん族』(フジテレビ系)をかぶりつきで見ていた私は「天下のたけしさんにお目にかかれる!」と

受かる「志望動機」の書き方とは?大切なのは“理解”と“納得”

■志望動機は「主張」を出発点に考える 今道:小論文を書く時は、4つの要素「主張」「理由」「方法論」「具体例」をベースに下書きを作るといいとお話ししましたね。大学入試の志望動機を想定して考えてみましょう。次の問題は、どう考えれば良いでしょうか。 もとゆき:下書きの初めに置くのは、「主張=私はこう考える」ですね。 今道:ええ、そうです。それが出発点になります。なぜ、この大学を選んだんですか? もとゆき:もともと、環境政策とか、持続可能な社会とかそういうことに興味があったん

小論文試験「合格」を確実にする4つの要素

■「納得」「理解」を得るには4つの要素が大事 今道:この本で扱っているのは、小論文、エントリーシート、面接カード、各種申請書などの実用文ですが、実用文というのは自分の考えや用件などを伝えるための文章です。それを伝えて相手の「納得」や「理解」を得ることが、文章を書く目的です。 もとゆき:「納得」や「理解」ですか? 今道:ええ。小論文であれば「なるほど、あなたはそう考えているのか」、エントリーシートであれば「そうか、この人はこういう人物なんだ」といったことを、相手に「納得」

作文が苦手な人に知ってほしい!万能文章作成術「5つの手順」

【1】問題文の整理・理解 まず、聞かれていることがいくつあるのかを整理する。 キーワードとなる言葉の意味は、特に慎重に考える。 「踏まえ」「即して」などの、答案を書く上での条件に注意する。 問題がない場合は自分で設定する。その際は何を書くのか目的をはっきりさせて設定する。 課題文付きの出題の場合は、課題文のどこに焦点を当てて聞いているのかをよく考える。 図表付きの出題は、どういう立場で見るべきなのかを考える。その上で、折れ線グラフは「変化」、円グラフは「数値の大