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来年の今日もここに居たい。【毎日note】#44

橋本愛主演の「リトル・フォレスト」(夏・秋編/冬・春編)が大好きで、何度も見ている。東北の小さな集落で、半自給自足の日々を送る女の子の話だ。

畑の作物の収穫の最盛期である夏・秋から始まって、保存した作物で生活する冬、そして新しい1年を始める春、という構成は本当に秀逸だ。準備と日々の世話の成果が表れる夏・秋は夢中になっていられるけれど、先のことを考えなければならない冬・春は何かと思いにふけり、気持ちが沈んだり、このまま進んでいいんだろうかと考える、主人公イチ子の心の動きはとてもナチュラルに伝わってくる。


最後の展開が始まる予感をさせるイチ子のナレーションに、「来年の冬は、ここにはいないから」という言葉がある。

私はそれを自分に置き換えて心の中で言ってみた。

「来年の冬は、沖縄にはいないから」

言ってみて、泣きそうになった。

そんなセリフ、言いたくないよ。


来年の今もここに居たい。昼は真夏とほとんど変わらなく暑いけれど、朝晩はぐっと涼しくなって、短くなっていく陽にさみしさを感じ、冬が来る前にもっと、もっと遊ばなければと思いながら、生き急ぐように暮らす秋。北海道よりずっと長くて穏やかな秋。


自分がそんな風に思っていることに初めて気が付いた。

去年の夏、通関士試験に申し込むタイミングで、「この試験は今しか挑戦しようと思わないだろう。そんな風に思うなんて、来年か再来年の今頃はここに居ないんだろうな」なんて移住日記に書いた。でも違っていた。

私は予防線を張っていたのだ。沖縄にずっといたい。そう言い切るのが怖くて、これは本格的な移住じゃないと、自分に言い聞かせていた。


今でも言い切ることなんてできないけど。いつ自分が、急に思い立ってどこに行ってもおかしくない。そんな自分の性格は自分が一番よく知っている。

だけどもう予防線を張ったりしない。来年の今日もここに居たい。そう素直に思おう。願おう。思っていることをちゃんと口に出そう。

好きなものは好きってちゃんと言おう。そう思った。

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(2021/10/03、朝の沖縄・塩屋湾。この土日は陽が昇る前から水辺で魚との出会いを待った)


*2021/10/15にKindle出版予定です~♪


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