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ネットショップの中の人だった私

先日、とあるサイトを通じて自分の職歴を振り返る機会がありました。

私は新卒からずっと、地方のスーパーに勤めています。

新卒入社から振り返って今までで、一番楽しかった仕事はネットショップ時代だったなと思い出したので、それを綴ってみたいと思います。

楽天市場利用経験ゼロの中の人


当時のネットショップ運営は、実店舗へ納入する取引先にネットショップ用の商品を案内してもらい商品を調達。
受注はオフィスで受け、自社倉庫に立ち上げた配送部門から発送をするスタイルでした。

実は、配属されるまで楽天市場の利用経験がありませんでした(堂々と書くようなことではない)

Amazonは少々嗜む程度。

2度目の育休復帰直後の配属先がネットショップだったのですが、なぜこの部署か当時の会社の偉い人に尋ねると、育休取得前に受けた適性検査で、こういう仕事が向いているという結果が出たそうです。

人事担当も、「大丈夫大丈夫、やってみたらいい経験になるよ。」とだいぶ軽いものでした。

適材適所とは言われるものの、実際に適性検査を配属の主な判断材料にしてくださるとは…

これが世に聞く楽天市場か!

当時ショップで管理しているサイトは6つありました。

楽天市場、Amazon、ヤフーショッピング(現PayPayモール)、ポンパレモールとDeNAショッピング、auショッピングモール(2016年に2社統合、現auPayマーケット)です。

配属初日は「とりあえず楽天のアカウント作ってくれる?」からのスタート。

弊ショップでのメインの取引は楽天市場。

アカウントがないと仕事ができないので言われるがまま作りました。

初めて楽天市場を見た感想は、これが世に聞く、楽天市場かー!

でした。

賑やかなサイトだなという印象、情報量が多い!

スクロールしてもスクロールしても注文ボタンが現れない!

ショップとしては1商品をアップするのにかなり時間がかかる!

サイト構築も楽天に1番力を入れていて、ちょうどスマホサイトからアプリへの移行期で上司がてんやわんやしていた記憶があります。

楽天は商品ページ作りが命!

ビバ受注ソフト

6つのサイトを管理するのは、受注ソフトです。

受注ソフトが取引を一括でまとめてくれ、商品ごとに、発送予定日ごとに検索ができたり、色々な条件でソートができたりします。

このソフトのおかげで複数サイトの管理ができていました。

後で知るのですが、ソフトの維持費がかなりかかっていたようです。

しかし、各モールごとに人員を配置するよりずっとコスパが良いとのこと。

ソフトは弊ショップに合わせてカスタマイズされていて、ソフトアップデートやトラブル対応の遠隔サポート付き。

新しいモールを追加する時には、仮サイトからダミー注文を送り、受注がきちんとソフトに反映されているかも弊ショップスタッフと確認してくださり、至れり尽くせりでした。

とにかく受注ソフトは神✨

ネットショップでの1日

弊ショップの業務の一日の流れは以下の通りです。

キャンセルや注文内容変更の依頼がないか、メールを確認する

受注を確認する(弊ショップでは1日1回)

商品ごとサイトごとに仕分けし、受注内容のチェックをする、クレジットの決済を取る

サイトごとに受注確認メールを送信し、倉庫担当者に受注データの送信と、発送担当者に発送の依頼をする

本日発送分の準備ができるまで、メールでの問い合わせ対応、不在で受け取りができていないお客様に連絡をする、など顧客対応に当たる

発送担当者から発送が完了した受注データが返ってくる

発送完了メールを送信する

ここまで完了すると、本日の業務は終了です。

意外と時間制限があるのが受注作業。
楽天では「あす楽」を最優先に処理、配送業者も当日発送可の〆時間があるので、〆時間を目標に作業します。

ネットショップでの困りごと

一番大変だったのが、お届けから一定期間以上経過した長期不在のお客様への連絡です。

ショップの固定電話から携帯電話に携帯にかけても知らない番号なので出てくれない。

メールを送ってもドメインブロックにあいメールが送れない。

こうなったらもう八方塞がりで、再配達の依頼をしていただけないと商品は期限切れで返送になって戻ってきます。

返送で何が困るか。

返送料が発送元負担だから。

そして、お客様のお手元に商品が届いて初めて売上になるからです。

他にも…

登録情報の住所変更が出来ておらず、引越し前の住所に荷物が送られて転送依頼をされる。

長期不在の方からの連絡があり、お客様で再配達をお願いしますと言うと、そんな暇ないからお姉さん、再配達頼んどいてよと言われる。

そして、弊ショップが使っている宅配業者が気に入らないと、宅配業者の変更を依頼される。

利用者としての気持ちはわからなくはないのですが、こちらとしては対応に困ることがありました。

お客様が商品を受け取るまでがネットショップのお仕事です。

ショップの中の人が楽しかった理由

上記のように困ることはもちろんありましたが、私がやりがいを感じていたのは、お客様の感謝の声をダイレクトに聞けることです。

とりあえず☆だけ付けとけ的なやっつけレビューを見る中、高評価(しかも考えて書いてくださったとわかるコメント付き)だと感謝感激雨あられ!

大喜びしてショップ内でシェアしました。

さらに、わざわざメールでのご連絡をくださるお客様もいて、(こちらももちろん心を込めて定型文ではないお返事をします)実店舗で顧客フィードバックがあまりない業務をしていた時に比べ、満足度は高かったです!

メール、レビュー、全部見てます!!

リピーターの方のありがたみ

受注ソフトを経由すると、同じ名前・ご住所から何回ご注文頂いたかもわかるので、リピーターの方、期間が空いても戻って来てくださる方には感謝しかないです。

リピーター様に秘密のクーポンを出したり、シークレットセールのご案内などをしていました。

こちらもお客様を特別に思っているとわかっていただく。特別感を大事に。

災害が起こるとネットショップが儲かる

これは今年のコロナショックを見ても明らかです。

3.11当時、災害免疫のなかった弊ショップは見事にパンクしまして、地獄を見たと当時の担当から聞きました。

その後、ショップ事業強化のタイミングで配属された私。

災害時には生活物資の確保として利用者が自分で商品を注文するのもそうですが、被災地でない地域から被災地への支援物資の提供手段としても使われています。

豪雨災害、台風災害でも売上は上がりました。

でも、いくらネットショップがあっても、商品を配達してくれる人がいないと届かないんですよね。

ネットショップは物流がないと成り立ちません。

物流は欠かせないインフラである。

弊ショップ、その後

私は3年弱ネットショップ事業を経験した後異動になり、その後物流委託先との折り合いが上手くいかなくなった弊ショップは閉店しました。

ライバルは送料無料・即日発送・全国各地に超特大の倉庫を持ち、物流費の高騰もカバーできる規模の企業。

そう、Amazon様にはどう頑張っても勝てましぇん。

というのが結論です。

普通の商品を他のショップと同じような価格帯で出品するだけでは、楽天のあす楽やAmazonのprime対象でない限りなかなか利用してもらえない。

自社商品はあるものの、地方のスーパーではそもそも知名度が低く指名買いは難しい。
ショップのコンセプトや商品力、送料やお届けに対する考え方は中途半端でわかりにくかったんだろうな。

規模は小さくても、地方でも、商品力があってショップにストーリーがある企業は強いな、と思います。

(いち個人の意見です。)

最後に

ここまで書いて改めて、がっつりネットショップの中の人をさせてもらえた経験は財産だなと思いました。

例え購入者が偽名でも、レビュー名が突拍子もなくても、画面の向こうには商品を購入してくださった方がいるんですよね。

こちらも人間なので、メールやレビューのお返事には必ず書き出しにお客様名と(ショップ名)の(担当者名)を入れていたんです。

お互いの『顔』を意識して対応してくれるショップはきっと信頼できる、と勝手に思っています。

メルカリでの取引も楽しいなと感じる私、相手のことを考える作業は嫌いじゃないのもこういう経験からかな、と。

そういえば、入社時の最初のミッションは対面販売だったな、あれも楽しかったな、と思い返して、やっぱりモチベーションの源泉は変わらないな〜と感じました!

若輩者ですが、サポートを励みに精進致します。