俺は思っていたよ。透明人間は絶滅危惧種だと。#キナリ杯
それは、ある日の夕食前のことだった。
テレビのバラエティ番組で、街頭インタビューをしていた。
「透明人間に会ったら、あなたはどうします?」と。
「ばっかな質問しやがるぜ。」
妹のハルがげんなりした顔でつぶやく。
「しかも、その答えが『通り抜けてみる』だの『クレヨンぬる』だの『夫の素行調査を依頼する』だの…。」
「そうだよな。」俺も言う。
「だいたいさぁ、仮に透明人間に会ったとしてだな、」
「まさかの稀少な生物に出会えたんだ、もっと敬意をはらえよな。
そんでもって、彼ら