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Facebookと患者会ー私の支え

突然、病気になった。しかも聞いたことがないような、珍しい病気に。

質問したいことがいっぱいあるのに、医者とはゆっくり話す時間もない。
周囲に同じような病気の人もおらず、気持ちを吐き出したいのに吐き出せない。

真っ暗なトンネルの中を一人ぽっちでとぼとぼ歩いているよう、そんな状態の私を支えてくれたものが2つあります。

主にクッシング病・クッシング症候群の患者が集まるFacebookのグループと、同じようなホルモン系の病気で悩む患者が参加する「下垂体患者の会」です。

Facebookのグループは、アメリカの患者さんたちが作ったもの。私もアメリカにいるときに見つけました。主に在米の患者さんが参加していますが、私のように日本人や、アメリカ以外の国から参加する人もいます。

それぞれの患者さんが投稿しているのですが、はっきりいってみんなとても率直。病気になったばかりで不安。この先どうなるの、術後はみんなどう過ごしたの。こんな症状があるんだけど、これって何?仕事はいつ復帰した?…等々、みんな素直な心情を投稿しています。

時にはセルフィ―などの画像も添付して「手術前・手術後で見た目もこんなに変わったよ!時間はかかったけど、みんなもきっと同じように回復できるよ!」といった投稿も。これを見て、「ああ、手術とその後の療養を耐えれば、いつかまたこんな風に明るく健康な私になれるんだ…」とちょっと気持ちが上向いたものでした。

疑問や不安に思うことを何でも投稿すると、経験者(同じ病気の患者)が一斉にアドバイスや感想を書き込んでくれる。それを見て、「私だけじゃないんだ」とほっとしたり、「こんな治療法もあるんだ、こんど医者に相談してみよう」と思ったり(主にアメリカでの治療法が書き込まれているので、日本とは違う場合もありますが)。

このグループは手術前からフォローしていますが、私がこのグループの存在をすごくありがたい!と思ったのは、誰かの「今度フロリダのディズニーランドに行くの!でもまだ手術から3カ月。どんなことに注意したらいい?」との書き込みを見た時。

実は私も、東京ディズニーランドに行く予定がありました。友人が誘ってくれたけど、でも私も手術からまだ数か月。初めての遠出、初めての長時間外出。不安で不安でたまらない。

そもそも術後数か月で遊びに行く、ということにもなぜかしら罪悪感を感じていました。ほかの患者さんはもっと大人しくしてるのかしら、これで体調悪くなったら「ほらみろ」とか言われちゃうのかな…などなど、うじうじ考えていました。せっかく友達が、気分転換になるからと誘ってくれたのに。

そんな時に、この投稿を見たのです。そして、それを見た他の患者さんたちも一斉に「いいね!」と書き込みます。「患者のくせに行くの?」なんてこと言う人は一人もいません(当たり前ですね)。

そして、アドバイスもたくさん。「体温調節が難しいから、脱ぎ着できる格好でね!」「水分はたくさん持って行って!あと血糖値が下がらないように甘いものも!」「園内の長距離を歩くと体力を消耗するから、カートなどを借りたほうがいいよ!」等々、賢者の知恵?的なアドバイスが一斉に集まります。書き込みを見ているうちに、私も「そうだ前向きに楽しもう!」という気持ちになり、無事に友人とディズニーランドを楽しむことができました。

そしてもう一つ、私の闘病生活を支えてくれているのは「下垂体患者の会」。こちらは日本にあり、日本語でやり取りできます。

私のようなクッシング症候群や下垂体疾患の患者の方々が参加しています。
私は手術を控えていたので、アメリカから帰国してすぐに入会しました。

月に一度、オンラインで会員同士の交流会があります。これが素晴らしい。経験豊富な専門医の方々も交流会に参加されていて、参加者の質問に専門的な立場からアドバイスくださるのです。

私も、病院での主治医との診察は1カ月に1回。とはいえその間に、体調が悪くなったり、対処について不安に思ったりすることもしょっちゅうある。まだ手術から数か月後、自分でコートリルを補充するのにも慣れておらず、「どんな時にどれだけの量を増やすのか?そしてそこから、どうやって減らすのか?」とぐるぐる悩むこともしょっちゅう。また、「関節が痛すぎて立ち上がるのも苦痛。こんな状態が続くのか?」など、不安に思うこともたくさんある。

次の主治医との診察に向けて、そういった悩みや疑問を1カ月の間に書き留めておきます。でも、その間に聞く機会があったり、またはセカンドオピニオンとして他の専門医の意見が聞けたりしたら、それはとてもありがたいですよね。

最初に参加したとき、私は1カ月後に手術を控えた状態でした。自己紹介の時にその話をすると、参加していた患者さん方が手術前後や入院時の生活についてアドバイスをくださり、それが本当に役に立ちましたし、入院中に看護師さんからも「よいアドバイスね」と言われました。

交流会に参加していると、「私は一人じゃない」と思います。同じような病気・症状で苦しんでいたり、その克服法を知っていたりする患者さんたちがいて、的確なアドバイスで安心させてくれる医師がいる。

体調が悪いと本当に気分も落ち込むし、明るいことなんて考えられなくなってくる。でも、患者会の存在は「一人じゃない」ということを思い出させてくれて、私の心をぐっと下支えしてくれてるように思うのです。

上記の2つは、どちらも家にいても参加できます。

辛くてつい気持ちも暗くなりがちな療養生活が、少しでも楽になりますように。

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