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相棒はシーズン2000までやって欲しい

 ドラマ『相棒』で私が好きなのは、物語のラストに主人公の杉下右京が「これは僕の推論なのですがね…」と言いつつ、寸分の狂いもない、びったり当たっている事件の顛末を鮮やかに語る場面。周りの誰もわからなかったことを、時には犯人自身も気づいてなかった行動心理を詳細に語る約5分のシーンに、私は全身の血が沸騰するような興奮を覚える。
 右京さん、なんであんなに推論が当たるのか。というより、なぜそこまで正確に真実を推論できるのか。これは僕の推論なのだが(キマった)、右京さんが一番「人を見る目があるから」だと思う。

 これは僕の推論だが(くどい笑)、右京さんが披露する推論、その理論の立て方は「この人がそんなことするだろうか?」というクリティカルシンキングから入る。それから「では、あの人がやったとしたら」に派生して、徐々に現実と辻褄を合わせていく。右京さんはよく、人の身なりや口調に疑問をもって「それはなぜですか?」と尋ねる。観察眼が尋常ではないのだ。

 そんなシャーロック・ホームズばりの観察眼を披露する右京さんが見込んだ男、鏑木亘。真実を探求する右京さんの眼鏡に常に”相棒”として写り続け、実際、7年という初代相棒の亀山くんよりも長い期間、見事に右京さんの相棒を務めあげた。無骨で、渋くて、ダンディで(全部一緒な意味か?)見ていて全く飽きることがなかったし、どの歴代相棒よりも好きだった。そんな鏑木くんの相棒人生も今夜で終わりを告げた。

 相棒の最終回は、毎回ちょっと難しい。なぜなら政治がらみのお話になるからなのだ。警察や公安、政治家、ありとあらゆる腹黒お偉いさんが全員出てきて、全員の陰謀が錯綜したままエンディングなんてことも珍しくない。正直に言って、勧善懲悪の気持ちのいいラストではない。
 予想通り、今回もそんな感じだった。いろんな怪しい人がいたけど、全員の真意については語られないみたいな。真犯人も少々のミステリーファンなら予想できる人物であった。でもこういうのはリアルだなと思う。なにもかも謎が明らかになるのは、幼稚で予定調和だし変だ。「これでいいんだ」という安心感が『相棒』にはある。

 そして、特命係を去る鏑木くん。鏑木くんが特命係を辞める理由は、公安庁にヘッドハンティングされたから。つまり、安室透になるということです。

 なにはともあれ、馬鹿みたいに感動したのは、去りゆく鏑木くんに右京さんがかけた最後の言葉。どこを差し引くのも違うので、全文引用する。

「僕はね、鏑木くん。これまで去る者は追わず、来る者は拒まずでやってきましたが、今回、それを破ろうと思います。もう少し一緒にやりませんか? 君が特命係を去ることを、できれば拒みたい。」

相棒シーズン20 第20話 杉下右京、台詞

 しんどい!!!泣くって!う、右京さーん!

 さらに、この右京さんの言葉さえも拒み、別れを告げ頭を下げた鏑木くん。そして、その鏑木くんの下げた頭越しに映る右京さんの表情…

 しんどい!!!泣くって!う、う、右京さーん!

 ちなみに、今回もラストシーンで流れていた『相棒』の感動的な場面で流れるBGMは「真実の果て」という題名の楽曲。鏑木くんとの別れのシーンは、この曲のピアノアレンジバージョンだった。確定感動演出。

 こうして別れは悲しみを呼び覚まし、人間はすぐ悲しみの支配下に置かれるが、我々『相棒』ファンには、無情にも「次の相棒は誰なのか」というトピックがある。さて、誰になるのだろうか(切り替えが早い)。
 私が自分のTwitterや私生活で散々言っているのは、次の相棒は伊丹刑事だと面白い!というものである。
 絶対面白くなりそうじゃないですか?ここに来て伊丹さんか!となるし、シーズン21の初回早々ミスをやらかして、伊丹さんが特命係に飛ばされてくる。または、伊丹さん自身のミスではなくとも、誰かお偉いさんのミスを伊丹さんが被る形で特命係に左遷されてくる。その陰謀がシーズン21を通して闇の部分になる。なんて妄想が捗る。あの伊丹さんが「お世話になります、警部どの」なんて言いながら、小ちゃいダンボール抱えて特命係に入ってきたらめちゃくちゃ面白い、と私は勘ぐっていたり。ま、誰が相棒でも見るけどね。

 今日はこの辺で。感動的な最終回だった!次の相棒も楽しみ!

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