俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]1-2


 シュバルツと別れて、俺はそのハマリングという街を目指した。だが、そこで大問題が発生した。
「?なんだこれ?」
そこにあったのは看板だ。至って普通の木の看板。
しかし、そこに書いてある文字が意味不明なのだ。
「ねこめひえのめにてにてひとねひてえそてしてのこておこねゆたそてこえこてきおねひなねはててそお」
「あああああ!!なんだよこれ!気持ち悪いな!ゲームのバグか?どうなってんだ!」
触ってみたが、特に何も起こらないし、叩いてもびくともしない。もしこれがこの世界の文字なんだとしたら、俺何も読めねぇじゃんと思った。
「この看板読んだら街の方角分かるかと思ったが、無理そうだな…どうしよう。」
さっきシュバルツに道聞いとけば良かったなと思ったその瞬間。
「どどどどどどどどどどどどどどどどどど!!!!」
「!!!???!」
「きええぇぇぇええええい!!」
「!???!?!?」
びっくりして声が出なくなった。近くの草むらで何かが何かを追いかけて叫んでいる。モンスターってこれの事か?というかどっちがモンスターだ?
この後自分も襲われる可能性を考慮してその異質な生き物の姿を見る事にした。
「どうか見ただけで石化したり死ぬようなモンスターではありませんように。」
「きええぇぇぇええええい!!」
そこにいたのは2種類の生き物。
追いかけられているのは全身が毛に覆われていて、目が一つだけしかないトカゲ?いや、にわとり?ゾウにも見える生き物。確実にモンスター。追いかけているのが奇声を上げてる二足歩行の仮面をつけた原始人みたいな格好のやつ。こっちがさっきから槍を振り回してトカゲにわとりゾウを追いかけている。ちなみにカゲとりゾウ(トカゲにわとりゾウ)は半泣きになっていて可哀想だ。カゲとりゾウというのは呼びやすくしたつもりだが、要素が多すぎてなんて呼べばいいかわからない。
「なんだこの二匹のモンスターは……絶対関わったらダメな奴だな。よし、逃げるか。」
俺はこの二匹のモンスターから逃げる事にした。しかし、俺はその二匹に気を取られてもう一匹いた事に気が付かなかった。
「どすん。」
「グルルルルルル………。」
「お?おお?」
真後ろにいた。
「うおあぁあー!!!」
大声を出したせいで、
「コォーン?」
「うぬ?」
やべっ!カゲとりゾウと奇声野蛮人にも見つかった!!
「おい!お前さん!はよ逃げるぞぇ!」
「??誰だ?今喋ったの。」
「わしじゃ!早よせい!」
なんと奇声野蛮人は人間のおっさんだった。仮面を取ったその姿は皺だらけの顔で70代くらいの小柄な老人だった。こんなに年取っていそうな人が叫びながらモンスターを追いかけていたのはすごいな。
「グルルルルルル!!!ガウっっ!!」
「うわっ!!!」
咄嗟に避けられたが、このでっかい犬は見るからにやばい。この辺で一番強いモンスターかもしれない。
しかも頭の上に数字が浮かんでいる。23?何の数字だ?しかも外見は明らかに普通の犬ではない。特徴といえば鋭い牙、血走った目、大きな体……ん?
血走った目の犬ってシュバルツが言ってた強いやつのまんまじゃん!!
「じいさん!早く逃げるぞ!こいつはやべえから!」
「だから逃げろと言っておるじゃろうが!!」
「グルルルル…ガウっっワウっっ!!!」
俺とおっさんは全力で逃げるが、犬は異常な速さで走ってくる。しかも体は軽トラ位あるからめっちゃ怖い。あんなのにぶつかられたら噛まれなくても死にそうだ。ふと、じいさんが体から下げていた袋から何か小さな玉を取り出して犬に投げつけた。
犬に当たると突然動きが遅くなった。しかしすぐに動きは元に戻り、エンジンをかけてまた走って来た。
「じいさん!今投げたのは何だ?」
「ぬう?今のかえ?あれはノロノロ玉じゃ。あれをモンスターに当てれば動きをノロくできる。まあ、バウラドッグのレベルが20越えだから一瞬しか効果なかったがの。」
「へぇー。頭の上の数字はレベルってことか。うわっ!」
バウラドッグというモンスターが後ろから噛みついて来た。そのせいで首の後ろの服を噛みちぎられてしまった。
「てめぇ!俺の故郷の大事な服を噛みやがって!」
ただのパーカーだけど。
「やめておけえ、バウラドッグは生き物の怒りを感じると凶暴性が増す。」
「そんなこと言われても…。」
いつのまにか前に壁が立ち塞がり、行き止まりとなっていた。これでは逃げられない。しかも上には崖があり鼠返しのように登りにくくなっていて、上に逃げる事もできない。入り口は狭いため、バウラドッグは入って来れそうにはないが、出たらすぐに襲いかかって来そうだ。
「くそ、どうすればいいんだよ!じいさん、さっきのノロノロ玉以外に何かないか!」
「ノロノロ玉はあと3個、それとこの槍と、にわとりもどきじゃの」
「そっか、槍とにわとり…ん?にわとりもどき?」
いつのまにかおっさんの横にカゲとりゾウがいた。こいつの名前、にわとりもどきっていうのか。しかもおっさんの仲間だったのか。さっきの追いかけっこ(槍を持って追いかけ回してたやつ)は何だったんだよ!
「コォーン。」
「あと、その鳴き声なんだよ!きつねかよ!」
「コォン。」
「にわとりもどきはわしのペットモンスターじゃ。他の生き物の声を真似れるのじゃよ。」
「インコかよ!いやまてよ、他の生き物ってバウラドッグも真似れるのか?」
「コォン!」
「できるようじゃの」
「ならいい作戦を思いついたぞ!」
「ほう?」「コォン?」
俺はじいさんとにわとりもどきに作戦を伝えた。


数分後………


「グルルルルルル……」
匂いを元にここへ辿りついたバウラドッグ。崖の下の行き止まりに近づくとそこには先ほど逃げていった人間一人とにわとりもどき。主食であるにわとりもどきを取られ、ものすごく機嫌が悪くなっていた。
「ガウルルルル!!!」
「来たなぁ!勝負しようぜ!作戦は練ってあるんでな!バウラドッグ!俺らの必死の足掻きを受けてみろ!」
「グオオオオオ!!」
バウラドッグの怒りの咆哮が崖の下で鳴り響く。

1-2 完

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