俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]1-3

俺独自のゲームワールド[俺独ゲー]1-3
1-3

 バウラドッグは俺の声に反応して襲いかかって来た。これを待ってた!
「いくぞ!にわとりもどき!おぉぉーりゃぁあーーー!!!」「コオォォーーン!!」
俺とにわとりもどきは出た途端に突進してくるバウラドッグに向かって走り始める。
バウラドッグはにわとりもどきを狙ってるとじいさんから聞いたとおりバウラドッグは、にわとりもどきによだれを垂らしながら飛びかかった!
「ここだ!!」
ノロノロ玉を一つだけバウラドッグに投げつけた!
すると、バウラドッグは空中でノロノロになっている為落ちてこない。
「ぐぅぅぅぅぅうううううるるるるる!!!!!」
「今だ!にわとりもどき!逃げろ!」
「コォーン!!」
にわとりもどきは急いで近くの草むらに隠れた。姿が見えなくなったところでバウラドッグは落下した。
「ガウ!バァアア!ガルルル!!」
「キレてるなぁ、どうする?見えなくなったにわとりもどきを追うか、この手頃な人間を食うか?」
俺は自分を指さしながら言ったことで、バウラドッグは俺を睨んで少しずつ近づいてきた。よし、いいぞ。あと少しだ。
「ほらほら、こっちこいよ。あ!これはどうだ。ポテチ!うまいぞぉ。コンソメ味。ほらっ!」
さっきまで部屋で食べてたポテチがポケットの中に入ってて使えそうだったから餌として使う事にした。
「ガッ?」
バウラドッグは意外にも興味を示し、崖下に投げたポテチの所へ走っていった。そのタイミングで、俺は合図である手を3回叩いた。すると、
「くらえぇ!岩石落としぃ!!」
崖上に先回りしていたじいさんが上にあった大岩をバウラドッグの上に落とした。バウラドッグは気付き避けようと体を動かした瞬間に俺は2個目のノロノロ玉を投げて当てる事に成功。
「グゥウウウ!!ルルルルル!!!?」
ヒュー〜ー、ドン!!!
「グアウっ!」バキボキっ!
背骨に大岩が直撃した事により骨が折れる音がした。
痛々しいが、こっちが死ぬのはごめんだ。
「ガアアアアアァ!!!!」
「すまんな!だがどうだ!かなり効いただろ!」
「グウウウウ!!」
怒れる眼差しでこっちを見ているが流石に痛かったのか涙目だ。すると、
「ガオォーーーーーーーン!バオォーーーーーン!」
他のところからバウラドッグの声が聞こえた。まるで何かを呼んでいるかのような声だ。
「バウ?ガオオーーン!!」
岩の直撃を受けたバウラドッグが反応し、声の聞こえた方向へ駆け出す。そのタイミングで草むらから槍を持ったじいさんとにわとりもどきが現れる。バウラドッグはまさかそこから出てくるとは思わなかったのか、驚いた顔でのけ反る。そこで俺は最後のノロノロ玉を当てた。
「今だ!じいさん!止めだ!」
「ガアアアアアアアァ!!!」
「喰らえぃ![老々槍撃](ろうろうそうげき)!」
グサっっ!!!
「ガアアアアアアアァ!!!」
さっきと同じ叫び声を上げてバウラドッグが倒れた。
すると体が光に包まれて消滅した。
「ふう、わしはもう動けんのぉ。」
「お、お、終わったぁぁぁ……。」
「コォォォォン………。」
二人と一匹はその場に倒れ込んだ。ぎりぎりの戦いがやっと終わった。疲れたぁぁ。死ぬかと思ったぁ……
「それにしてもお前さん、よくこの作戦をあの短時間で思いついたのぉ。ノロノロ玉3個と槍とにわとりもどき、そしてこの地形すら生かすなんてのぉ。」
じいさんのいう通り、俺はよくやったと思う。まず、俺とにわとりもどきが囮になって崖下から出る。それに気を取られているバウラドッグにバレないようにじいさんが崖上に上がって岩を落とせるようにずらす。
そしてノロノロ玉を使って動けない間ににわとりもどきを逃して狙いを俺に向けたら崖下へ誘導。そして岩を落としてバウラドッグに当てるときにノロノロ玉で遅くする事で確実にダメージを与えて、その間に急いでじいさんに草むらで隠れていたにわとりもどきの所へ移動してもらう。にわとりもどきが真似をしているバウラドッグの声に反応したバウラドッグにノロノロ玉を当てた状態で槍の止めを刺すというのを3分程で考えたのはさすがに自分でも恐ろしい。
「俺も今考えてみたら何で思いついたか分からないけど、助かって良かったな。」
「お前さんは戦闘力はなさそうじゃが、戦闘のセンスはありそうじゃの。見込みがありそうじゃ。」
「へへへ、照れますなぁ。」
「そういえば、わしのことを何も話しておらんかったの。わしはモンスター使いのゼンじい。ハマリングの街で牧場の管理をしているもんだぇ。」
「ゼンじいか、よろしくな。俺はケイゴ、まだまだゲー……冒険を始めたばかりの初心者冒険者だ。丁度そのハマリングの街に行きたかったところだったんだ。案内してくれないか?」
「ほほう。冒険者とは。なるほど戦い方がわかっているわけじゃな。初めて見るノロノロ玉を使いこなせたのも納得じゃ。」
「コォーン!」
「で?案内してくれるか?まあここで生き残れたのも俺のおかげだしいいよな!!」
「傲慢じゃのう!!まあ断る理由もないんじゃがな。いいぞえ。ハマリングには今から帰るところじゃったしな。」
そう言って皺だらけの手でグッドサインを送ってくれた。
「ありがとう!よしじゃあ早速ハマリングの街に行くか!」
「ちょちょちょ!ちょっと待てい!わしも準備してから行くからちょっと待っておれ!」
「ほーい。」
そこでゼンじいは近くにあるという仮住まいに案内してくれた。そこには10メートル程の大樹があり、その上に小さな小屋があった。
「上がって来ていいぞ〜。」
上からゼンじいの声が響く。俺は横にいるにわとりもどきと顔を見合わせた。
「コォン。」
にわとりもどきはそう言うと、はしごを登っていった。俺も後に続いて登ってみると10メートルもあれば周囲の様子が見えた。北の方には賑やかそうな街が、
東は山々が、西には森が、南には海が広がっていた。
「やっぱり、俺は別の世界に…いやゲームワールドに来ちゃったのか…。」
俺はようやく実感した。今までもゲームらしいことが立て続けにあったのに今更だとも思った。
「でも、俺はこの世界で生きる!この世界の中で、現実世界で出来なかった事をするぞぉ!!!待ってろ!!ゲームマスターーー!!」
「何言っとるんじゃ!さっさと登ってこい!」
………………。
(締まらない)

1-3 完

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