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Vision Pro日記2「開封と初期走行」

Vision Proの化粧箱は特大サイズだ。MacBookの箱が3〜4台は積み上がる高さである。まぁラップトップと比べればヘッドセットは縦にも横にもスペースをとる代物である。おかげでVRヘッドセットの収集を始めると部屋が狭くて仕方がない。

というわけで無事にダニー・トレホなどに襲われることなくVision Proを自宅まで持ち帰ることに成功したので、ご開帳といく。

とはいえ、本体以外の内容物は専用バッテリーと、バッテリーにつなぐ充電ユニット一式、オプションの頭部ストラップ、お掃除クロスなど。さほど多くはない。MacBookもiPhoneもそんな感じではある。

バッテリーを本体をつなぐケーブル。ハメてカチョッと回すだけ。

セットアップも至ってシンプル。バッテリーをVision Proに取り付け、かぶるだけだ。バッテリーケーブルははめ込んだものをカチッと45度回し、突起を引っ掛ける仕組み。一度取り付ければUSBケーブルのように不意に抜けることはない。無理な力をかけると端子ごとぶっ壊れるとは思う。

かぶってからの流れはデモ体験とさほど変わらない。チュートリアル的な音声が流れる点と、言語設定、「Persona」設定、Apple Payなどの設定が発生するくらいだ。おどろいたのは、Wi-Fiなどの設定はiPhoneが近くにあれば、その設定を引き継げるところだ。Vision Proがセットアップ態勢に入ると、iPhoneが勝手にVision Proを検知し、読み込み用のマーカーを画面に表示する。そのマーカーをVision Proをつけたまま「見る」だけで、ある程度の設定が行われるようだ。このあたり、iColudなどで異なる端末同士をスムーズに連携させるAppleの手癖がうかがえておもしろい。

「Persona」について補足する。これは自分の超高精細なリアリスティック3Dモデルを作り、Vision Proをつけたまま「生身の顔」で顔出し通話などができるようにする機能だ。これもセッティングがおもしろい。Vision Proを一度取り外し、正面のカメラ部を自分の顔に向けて、顔面をスキャンするのである。
上下左右の形状と、口を閉じたほほえみ、歯を出した笑み、眉を上げた表情、瞳を閉じた状態の4つの状態をスキャンすると、頭にヘッドセットをかぶっているにもかかわらず、非常にリアルな自分の顔が、高精細なフェイシャルトラッキングによって動くようになる。率直に言うとやや不気味ではあるが、その精度は普通にビビる。これでVRChatアバターのお顔も動かせればいいのに。

というわけで、特段苦戦することもなくセットアップが完了した。苦戦しなかったのはそもそものセットアップ手順が直感的なのもあるが、やはり事前にデモ体験で触れていたのも大きい。これを踏まえると、Vision Pro購入を考えたい方は店頭体験を経由したほうがいいかもしれない。

ライトシーリングも視線追跡設定も「Persona」も、すべてが自分に最適化された「マイ・Vision Pro」をかぶり、適当にダウンロードしたアプリを触ってみると、やはりその自然さに驚かされる。現実空間上に現れたUI上で、視線でアイコンにフォーカスし、親指と人差し指をタップして選択する、その一連の動作がなめらかに成立する。不自然な動きがいらない。これは普段遣いするうえでけっこう重要だ。

同時に、フルカラーのパススルー解像度そのものは、意外とMeta Quest 3と差がないことに気づく。特に遠めのオブジェクトは「とても繊細」という感じでもない。このへんはUploadVRでも指摘されていた。

しかし、見え方の自然さはVision Proに軍配が上がる。視界の端が歪むこともないし、動くものの見え方もよりナチュラルだ。そして、UIなどの鮮明さも片目4K由来ゆえのパワーがある……並の映像だと「なんかほんのりきれいかね」くらいの体感しか得られない気もするが。

単に高画質・高性能だけでなく、いかに自然に動かせるか。Vision Proはそこを重視している。その自然さが、体験の質を向上させているのだろうと、私物と化したこの空間コンピュータを愛でていてあらためて感じるところだ。「人間の頭部に数百グラムの物体を追加装備していること」を「自然」と呼ぶべきかどうかは議論の余地があるかもしれないが、まず体験の自然さを実現しつつあることは素直に評価すべきだろう。

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