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[創作]アメリアの16

 紅茶の香りがシャーリーの鼻を擽る。目を覚ますとクレアが紅茶を飲んでいた。リリーはベッドルームでドレスなどを持ってきたとかでローラと二人で整理しているとクレアが説明した。

「紅茶飲む?」

 クレアがシャーリーのところまで迎えにきてくれる。暇だからお世話してあげるということらしい。飲みかけのカップがない席に座らせると伏せられているカップをひっくり返して紅茶をいれる。

「煩雑になってしまうけれどまぁ仕方ないわね。」

 そう呟きながらいれてくれた紅茶をシャーリーの前に出す。あとは自分でいれるようにと言うと自分の席に座って紅茶をのみ始めた。あまり紅茶を飲んできていないせいかぎこちない。この屋敷にきてから紅茶ではなくコーヒーをお願いしていたシャーリーだったのでおそらく始めての紅茶。
 とても豊かな香りがして口に含むと爽やかな香りに変化する。シャーリーの感動の表情をみて、クレアは紅茶飲んできていなかったの、と問う。シャーリーはそうだねと答えた。

「私いつも紅茶じゃなくてコーヒーに砂糖少しいれて飲んでたよ。独り暮らしだと紅茶はハードル高いし。」
「そうなの。ちなみにここでの付き合いは大体紅茶が多くなるのだけど、それは心得ているの。例えば、今の茶葉のベースに使われている産地とか。」

 シャーリーはビックリして知らない、わからないとうつむく。うろたえながら紅茶を飲むシャーリーはマグカップを使って飲んできていたからか取っ手をつまむのではなく、指を通して飲んでいる。クレアからするときれいな所作言いがたいシャーリーの姿をみて苦笑いを浮かべながら呟く。

「まずはここからなのね。」

 クレアはこれから紅茶に関すること、飲み方や種類などをローラやヘレンを先生に身に付けなさい、と命令した。

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