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[創作]アメリアの24

 シャーリーはずっとリリーにしがみついて子供のように泣いていた。ひとしきり泣いたら、なぜかスッキリしてリリーに抱きついているのが恥ずかしくなった。それを察してかリリーが頭を一回撫でて解放してくれる。
 ちょうどそのタイミングでドアがノックされる。ローラが持ってきてくれた。ジンジャーティではなくホットレモンである。
 はちみつをいれたカップにホットレモンを注ぎ入れると喉にはもちろんいいが、泣きつかれたシャーリーに途ってとても染み渡る飲み物だ。ふとなにかに気がついたリリーはローラに視線を向ける。彼女はそ知らぬ顔でシャーリーお嬢様におかわりを聞く。気分が落ち着いてきたシャーリーはおかわりをもらった。リリーはうって変わって思い出したかのように眉間に指を当てて下を向く。その顔はもちろん耳まで真っ赤である。
 ローラはそんなリリーにはなにも話すことはせず、シャーリーに気分などを聞く。シャーリーは少し嬉しそうな顔でローラにこう答えた。

「少し心細かったけれど、リリーがずっとそばにいてくれたからすぐに落ち着けたの。」
「・・・。」

 終始なにも言えないリリー。そんな彼女にローラは心の中で二つの理由で謝罪する。一つ目は追い詰めるつもりはないけれど、そんな発言が答えになる問いを主にしてしまったこと。もう一つはこれからの言動である。
 シャーリーの頭を撫でながら優しい微笑みを向けてシャーリーに話しかける。

「何かあれば、もちろん何もなくても私やリリーを呼んでくださいね。」

 その優しさに触れ、シャーリーの目には涙が溢れてくる。しかし、オードリーという引っ込み思案のオードリーでなれているローラはリリーのようにうろたえることもなく自分のポケットからハンカチを取り出すと、その瞳にためた涙を優しくなにもなかったかのように拭き取ってしまうのだ。
 リリーがまた落ち込んでしまったと勘違いしたシャーリーはまた介抱しようと触れようとするが、今度はローラが止めた。その変わりに気分を切り替えるため、なにか別の事をしましょうと提案する。
 シャーリーは少し考えて、リリーにギターをピアノの部屋に持ってくるように伝える。リリーは少し落ち着かせてから顔を上げるとわかりましたとうなずいた。

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