[創作]アメリアと11
シャーリーとリリーは身支度を整えるためバスルームにいる。シャーリーはもうすでに終わって洋服も着せてもらっている。今度はリリーがシャワーを浴びているところにシャーリーが昨晩の続きで家族の話をした。
シャーリーには養父母とその夫妻の娘さんがいる。妹になるその子を赤ちゃんの頃からお世話してきた。失敗もあったけれどとても充実していたことを。ただ、自分はやはり本当の娘ではないのだとそこで痛感する。だから自分で早く稼ぐように努力したのだ。
リリーは相づちをうちながら体を洗ったあとバスタオルを取り体を拭いてから巻き付けてシャワーカーテンを開く。そこにシャーリーは抱きついてキスをした。リリーは今はこれだけで勘弁してくださいねと受け入れてハグすると耳元でささやいた。
リリーはメイド服に着替えてからベッドを整えると漸く鍵を開ける。たぶん今朝方のあの痕跡はきっと無いはず。そう指差し確認をした。
シャーリーを部屋に待たせて朝食を取りに行く。アメリカンコーヒーを希望されたのでその説明を聞いたのでそれだけはリリーがやることにした。水をいれたやかんに火をつける。
「おはようリリー。」
「オリバー、おはよう。」
リリーの頭を撫でながらオリバーは挨拶をする。リリーはいつものように手を払うと挨拶を返す。ここに居合わせる使用人たちはそんな二人のいつもの日常なのであまり気にしていない。オリバーはそれを良いことにリリーを背中から抱き締めてリリーの肩に頭をのせた。これは流石にリリーは驚く。とっさに彼の頭が乗っている方と逆を向いた。顔はもちろん真っ赤である。
オリバーは今日もスカーレットはかわいいなと低い甘い声をさせながら耳元でささやく。そして、お嬢様の用事が終わったらに来るようにとお願いするとあっさりリリーを解放してキッチンから立ち去った。
リリーは自分が単に立っているだけなら腰が砕けて下手離婚で放心しているなと自分を正しく理解していた。しかしこうして固まっているだけなのはひとえにシャーリーに朝食を用意すると言う仕事を遂行しているからである。
こうしてコーヒーも用意した朝食が乗ったキャビネットを押してシャーリーの部屋へと戻るのだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?