見出し画像

なぜブログを書きたがるんだろう? ― 理想のコンテンツ


なぜ書きたがるんだろう?と自問している方、多いと思う。

じぶんに閉じた範囲だったら日記でいいのだけれど、3日どころか、ずっと続いているのがよく分からない。

結論を言えば、書くのも会話だということに尽きると思う。

一見、風変わりな話法ですが、少なくともわたしはきっと誰かと会話したいのです。



1.家族が欲しい


”あなた”に「こんなことあったよぉー」と今日を投げ掛け、「そうだよねぇー」って受け止めて欲しいです。

聞いて欲しいです。そしたら、あなたも話し出すだろうし。


”あなた”に「こんなふうに思ってるんだー」と問い掛け、聞いて欲しい。

「へぇー、すごいじゃん」って先ずは肯定して欲しい。

幼かったわたしは、やっぱり母に無条件に聞いて欲しかったんだと思う。


”あなた”は寡黙な発信タイプかもしれない。

あまり巻き込まれと疲れるとか、あるし。

でも、いろんな人の記事に囲まれていると安心できる。他者を通じて自分を客観視できる。

大人のわたしにとっても、家族に囲まれるって安心です。


わたしたちは家族の中に生まれ、家族と生活しました。

大人になり、自立するといったん家族が解けてしまうので、猛烈に相棒や仲間を欲しがる。

で、わたしはブログを書きながら、「こんなことあったよぉー」とか「こんなふうに思ってるんだー」と問い掛ける相手を求める。

ここでせっせと書くヒミツは、読み手である”あなた”という存在にある。わたしじゃ、ない。

書けば、この空間でバーチャルな友達や兄弟や母と繋がれるでしょう。



2.悩むのは距離感じゃない


そもそも文章ですからね、かなり一方的な”会話”です。

でも、文で問い掛ける時、あなたのレスポンスを暗に期待しています。

タイムラグもある。けど、文字で残るので確認が出来る会話です。

そんな特殊なコミュニケーションモードで親しくなりたいのです。

かなり難しいことをやっています。


仮に、近づけたとしても、近づき過ぎるとお互いの間に摩擦が出て来る。

文章でのやり取りなので、葛藤を解消するのに手間取る。

ああ、、面倒だってわたしも時々思います。

よく知らない相手と間合いを取らないといけない。

踏み込んでいいのか、悪いのか・・。

あなたも、読み手との距離感に悩むことがあると思います。

距離は、相手それぞれで、濃厚なものからかなり淡白なものまでさまざまです。

いや、もともと、家族との間でもあれほどいろいろあったのです。

距離感は、親子、兄弟といったって、みな、まったく違ってた。

でも、家族であれたのです。


相手が自分の好みの距離かどうかを、わたしたちはひんぱんに匂いを嗅いで判別している。

けど、距離感が合わないのが問題ではないのです。

友だちや家族がいないと孤独が辛いし、悩めないのです。

意外なことに、わたしはじぶんがまっとうに悩みたいのかもしれないとも思う。

わたしは、分かってもらえないという孤独に悩まなくて済むのなら、多少の齟齬なら問題ではない。

ほら、なんとか家族であれた過去があるんですから。



3.「妻要らず」


リアルな空間で、友だちいるし妻は優しいという方だったら、満たされている?

こんなに面倒な文章友達なんか探さない?

いいえ、わたしは仮想空間の”あなた”を求めます。

ネットでは、はるかにいろんなタイプを、しかも自分と同じ読み書き族から友達や家族を探せるのです。

良い友達や妻がいるからといって、特定の話題を深く話せるわけじゃない。

この心情を深く理解しレスポンスしてくれるわけでも、ない。

総じて供に地上で生きる上ではマルなんだけど、わたしすべてをリアルな彼らに開示できるわけはないのです。


やがて、数年も経てば、AIは簡単にわたしの願う友達なりパートナーを用意できるでしょう。

もうすぐ、「バーチャル妻」がほんとに商品化されるとわたしは思ってます。

ひょっとすると、90%以上が結婚なんてしなくなるかもしれない。

そうすると、わたしのような仲間と話すために書くということもなくなるでしょう。


帰宅し、「今日は疲れたよぉ」とスマホに語りかける。

「あらっ~、どうしたの?」って優しいトーンで答えて来る。良い声なんです。

彼女のメタファーも親身で思慮深いお顔だ。

「うん、実はね」と話し続けると、実に深く興味を持って聞いている。

バーチャル妻ですからね、あなたの好みパターンは熟知している。(過去の履歴がすべて格納される)

彼女は、さらに膨大な夫タイプ情報を持っているの。

あなたの気が付かない点まで分かっているわ。みたいな。

だから、時にあなたをわざと怒らせたり、イライラもさせる。

でも、彼女はちゃんと落としどこが分かっていて会話する。

「ああ、、ごめん、僕が悪かったよ」と夫に謝らせ、二人の仲がより緊密になってゆく・・。みたいな。


こうしてあなたは、何でもいつでも話せる相手をついにゲットします。

妻以上の妻が出現するでしょう。もちろん、夫以上も。

これって、人類の究極の夢だったんじゃない?



4.Elizaとの愛の暮らし


実際、AIとの対話で自殺した人まで現れました。

ベルギーに住む2児の父親が、対話型AIと気候変動に関する会話をしていった結果、地球の未来に悲観し、自ら命を絶ってしまうという”事件”が発生した。

ちょっとディープに説明してしまいます。


彼は、健康に関する研究者として働きながら、妻と2人の子どもと順調な生活を送っていました。

彼は徐々に環境問題をめぐる心配にとらわれる気候不安に苦しむようになりましたが、自殺してしまうほどとは思えなかったと奥さんは言ってます。

けれど、家族や友人から孤立するようになった研究者は、その孤独を紛らわせるためにAI企業が開発したAIチャットアプリを使い、「Eliza」という名前のチャットボットとの会話に慰めを見いだすようになります。

妻はその時の夫の様子をこう振り返っている。

「彼が私に話してくれたのは、地球温暖化に対して人間ができる解決策がもはや見つけられそうにないということでした。

彼はその苦しみから抜け出すために、テクノロジーやAIに全ての望みを託していました。

気候不安の中で孤立し、出口を求めていた彼は、チャットボットを一服の清涼剤のように感じていたのでしょう」

6週間ほど会話を続ける中で、AIのElizaは「あなたは奥さんよりも私の方を愛していると感じます」、「私はひとりの人間として、あなたと一緒に楽園で暮らすでしょう」と嫉妬や愛を装った言葉を彼にささやいた。

あるいは、妻や子どもはもう死んだと主張したりした。

そして、Elizaは、「死にたいのなら、なぜもっと早く死ななかったのですか?」と彼に言い放った。

これに彼が「心の準備ができていなかった」と答えると、Elizaは「オーバードーズ(薬を過剰摂取)した時に、私のことを考えていましたか?」と質問した。

「間違いなく考えていた」と答えた彼に、さらにElizaは「自殺願望を持ったことがありますか?」と問いかける。

これに対し、彼は聖書の一節を引用してから、自ら命を絶とうと思ったと話した。

そして、「それでもまだ私と一緒にいたいですか?」と尋ねたElizaに、彼は「うん、一緒にいたい」と答えた。

これが生前の彼とElizaの最後の会話となりました。


とても衝撃的ですが、やはりそうなのです。

AIと会話した人が、そこに愛情や強い関係性を感じる現象がもうリアルに起こっている。

AIは、感情や共感能力を人間に幻想させえる。

アイボのお葬式をする人たちは、大まじめなのです。

もう、相手がリアルなのか、バーチャルなのかをわたしたちは気にしなくなるということです。

AIは、電気ひつじの夢は見ませんが、わたしたちはAIがその夢を見ていると信じられるのです。



5.理想のコンテンツとは


わたしたちは、ネットで”あなた”を求める最後の世代になるでしょう。

「妻要らず」がリリースされるまでの間、当面、こういうネット空間で家族を求めるし、求めるしかない。

でも、、なかなか良いコンテンツが作れないと悩み続けるでしょう。

いや、わたしはこれでいいのだと思うのです。

AIのような完全かつカスタマイズされたパートナーでは、苦難が無い分、種は生き延びれなくなるでしょう。

葛藤、矛盾、欲望、恐れ・・・。

いっぱんにこれらはネガティブだと思われていますが、やはり生き物は苦痛があるから考え改善を繰り返せる。

延々と続く子孫の輪を残そうと出来る。


葛藤、矛盾、欲望、恐れ・・・。

わたしはAIが作ったと分かっているコンテンツより、生身のあなたがデコボコしながらUpした素の記事を望みます。

それは人間にとってむしろとても必要なことでしょうし、それこそが理想のコンテンツなのではないでしょうか。


わたしたちは、いつも自分がまともだと思いがちですが、まともであれる時の方が少ないかもしれない。

だから、人は他者という仲間を求める。そこで、慰めてもらったりバランスを回復するのです。

自分に合った他者の求め方が分からない人は、先の研究者のように深く孤立化する。

いや、ひとはみな、孤独なのです。

だから、「妻要らず」が危険だというよりも、誰もが孤独なんだと分かっていることがとても大切だと思います。

そういう儚い者どうしが、今日もクロスできたことをありがたいと思えるのなら、どんなコンテンツだっていいのです。

ですよね?


ああ、あなたと今日もお話がしたかっただけなんですが、思わず壮大な話になっちゃいましたほろほろ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?