アサの朝 (ch6) - 青いスポーツカー
夫が今週はずいぶんと早くから会社に出社している。私も今日は六時半には目が覚めてベッドから起き上がった。家から出る夫を見送り、さて何をしようかと考える。一人で散歩でも行こうか。少し雲行きが怪しい気もするが、さっと着替えて帽子をかぶって、近くのスターバックスまで歩くことにした。
近くと言っても、片道35分ほどかかる。もう一店、本当に近くにあるのだが、そちらはショッピングモールの中に併設されており十時まで開店しない。長い散歩にはうってつけの時間だ。
この街は朝が始まるのが遅い、気がする。以前住んでいた街は、いわゆる朝活をする人も多かったし、何より始業時間が早いビジネスがたくさんあった。それでも七時前には犬を連れて散歩する人や、ランニングをしている人をチラチラと見かける。途中でちょっと赤みがかった美しい金髪を靡かせているゴールデンレトリーバーとすれ違う時に、私の顔を見て歯を出して笑ってくれた。私も笑顔を返す。
問題なくスターバックスに到着した。この大通りはよく通るのだが、このスターバックスに来るのは初めてだ。同じ敷地内にスーパーやアパートメントもあり、朝仕事前に寄る人が多いのか、ドライブスルーは何台もの車が連なっている。青いスポーツカーがたった今スピーカーを通して注文しているところだった。
私はカフェやお店でコーヒーを頼むことは、まずない。濃すぎて飲めないのだ。コーヒーは家で作るコーヒー牛乳に限る。スターバックスに行った際は大抵甘くない (それでも甘い) 抹茶ラテか季節のリフレッシャー、いわゆるジュースを注文する。35分も歩いてきたし、なんならこの後また同じ時間かけて帰宅する必要があるので、今日はリフレッシャーを注文することにした。「スプラッシュオブサンシャイン」という、なんともリフレッシュしそうな飲み物が季節モノらしい。
一番小さなサイズを注文し、ソファー席に座る。店内には私と四人で楽しくおしゃべりをしているマダムと四人の店員さんだ。そうだ、ここは朝早い職場だ。アメリカのスターバックスは朝五時、早いところでは朝四時から開いているところもある。朝こうしてこの街で、外の青いスポーツカーを見ながらスプラッシュオブサンシャインを飲めるのも、こうして朝に強い店員さんがいるからだよな、と思った。