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1. いつのまにか道に迷っていた。 電車は目的の駅に着く様子がない。車窓を流れてゆく景色…
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1. 開けた箪笥の抽出に肘をついて凭れかかり、裸のまま、ゆりのは迷っていた。 着けていく…
1. 人ごみに見慣れた背中を見つけて紫苑が足を速めようとしたそのとき、視線に引っ張られるよ…
1. 校舎の裏手のフェンス越しにカテドラルの尖塔が見える。あれが自分の通う学園のチャペルだ…
1. カーテンを透かして差し込む朝の光がまぶたを刺した。ひどく悲しいのは夢だったのだろうか。目許に触れると睫毛が濡れていて、どうやら泣きながら目覚めたようだけれど、夢の残滓は跡形もなくかき消えて、悲しみだけが濃く残っていた。 空は雲ひとつなく晴れ渡っていた。開けた窓から爽やかな風が吹き込み、ピピピ、チチチと鳥のさえずりまで聞こえてくる。このうえなく美しい五月の朝だ。 目覚まし時計を掛けた時刻まではまだ二十分ちかくあったが、桃重はベッドには戻らず、足音を忍ばせてキッチンへ向