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ぱぺまる1月号
あけましておめでとうございます。
年は明けましたが2020年の話をします。
去年読んで印象的だった小説の感想を話す回。
ネタバレはしないが気になる人はご注意。
「あの日、君は何をした」まさきとしか
映画化するならぜひ宮近にやって欲しい役がある。最後まで読み終わったら絶対に分かる。
内容的には、愛情と狂気の区別が付かない母親が何人か出てくるのでなかなかきつくて読み進めるのに時間がかかったが、後半からは面白くて一気読みした。
「何者」朝井リョウ
「何様」の発売をきっかけに書店に埋もれていた売れ残りを持ち帰ったのだが、これが思いがけず刺さった。
就活の話ではあるがそれよりも軸となるのがSNS。ちょうどその頃SNSとの向き合い方について考えていたこともあり、これを読んだ後はみぞおちを殴られたように暫く動けなかった。
限られた文字数の中で綴られる言葉よりも、それに選ばれなかった言葉の方がその人を表しているというサワ先輩の言葉を忘れないでおこうと思う。
「推し、燃ゆ」宇佐見りん
推しの存在によって今まで成り立っていた生活が、推しの炎上により少しずつ崩れていく女子高生の話。
側から見たら我を失って救いようのない主人公だが、私はおたくだし人生色々あるのでそうすることでしか生きられない彼女の気持ちが分かってしまう。推しを推すということは、自分にとって都合のいい神への祈りに近い。
松澤くれはの「りさ子のガチ恋♡俳優沼」を読んだ時も同じことを思ったが、「私はこの主人公ほど酷くない」と言い聞かせながらも共感できなくもない自分が恐ろしくなるので、おたくの皆さんにお勧め。
「リバース」湊かなえ
好きな女が「これはやばい」とだけ感想を残していて気になったので読んだ。何を言ってもネタバレになりそうなので言わないでおくが、これを読んでからコーヒーに蜂蜜を入れて飲むようになった。
「犯人のいない殺人の夜」東野圭吾
自粛期間中に手軽なスリルと爽快感を求めて何も考えずに購入。短編集なのですらすら読めるし、タイトルの意味は第一章を読めば理解できる。かと思いきや最後はやはりこうなるか、という手軽な東野圭吾が楽しめて良かった。
「マスカレード・ナイト」東野圭吾
マスカレードシリーズの第3弾。本屋で手に取った時その分厚さに軽く絶望感すら覚えたが、いざ読み始めるとページを捲る手が止まらずあっという間に読み終えた。
ホテル、イブと比べて今回は複雑化するあまり現実味にはやや欠けるように感じたが、また映画化されるということでキャスティングが楽しみである。
「BUTTER」柚木麻子
「その手をにぎりたい」が好きだと言いつつ実は柚木麻子の他の作品を読んだことがなかったので一番気になっていたこの作品を読んでみることにした。
相変わらず食事の描写が美味い。読んでいるだけなのに舌の上でバターが溶けていった。
とある事件を背景に話が進むのでつい推理小説のつもりで読んでしまうが、途中から逸れていくので我に帰る。私個人としては結末にあまり救われなかったかもしれない。
「総選挙ホテル」桂望実
タイトルにホテルが入っていると反射的に手に取ってしまうのだが、これが結構面白かった。
倒産寸前の老舗グランドホテルで総選挙という名のリストラを行いスタッフの意識を変えホテルを立て直そうとするお仕事物語。正直マスカレードシリーズよりもホテルの仕事としてはリアリティがあるように感じる。
会社や社会における自分の存在価値とか、自分の人生に何かと結果を求めてしまいがちだけれど、「朝起きて、飯食って、仕事して、寝る。」人生とはそういうものだと、それでいいのだと少し気持ちが軽くなった。
そんなところかな。
他に読んだ作品は個人的にいまいちだったり途中で力尽きたりした。
今までは誰かの日常を切り取ったような平和な話とかリアリティのある仕事系とか読んで元気になるような作品が好きだったのだけれど、去年は割とミステリーを好んで読んだ1年だった気がする。
もともと人の死とか負の感情に引っ張られやすいので避けていたジャンルだったのだけれど、外出が減った1年だったので心のどこかでスリルを求めていたのかもしれない。
今年は(今年も)まず積読本から片付けていきたい所存。あと家の本棚を増築したい。
特にジャンルは問わないので、「この小説おもろかったで」とかあればぜひ教えてください。
今年もよろしくお願いします。
それでは。