暇すぎた結果
どこかに出かけなきゃと思った。ゴールデンウィークまでこれといった予定を入れていない。これではいかんと思ったのだ。
当日の朝にホテルを予約し、そのまま出かける。
向かった先は洞窟。洞窟といっても手彫りの穴蔵。そこに石像が100体並べられているというのだ。昔の人だって暇だったに違いない。暇をどう潰そうか。穴でも掘ろうと思ったわけだ。
「暇だべやなぁ。なにかすることはなかろうもんか。穴でも掘るか」
テレビもスマホもない時代。旅行に行くったって歩いて行くしかない。人生60年とはいえ、まあまあ長い。通勤時間もない。夜は暗いから寝るしかない。暇すぎるゆえの穴掘りとなったわけだ。
「いやぁ、ずいぶんと立派な穴を掘ったもんだな。せっかくだから石像でも並べてみたらどうだ?」
ずらりと並べられた石像。いちばん奥にはラスボスのように置かれたひときわ立派な仏像。
「これは聖地に違いない。きっと偉いお坊様が作り上げた聖地に違いない」
数百年後の人たちはそう考えたわけだ。単なる暇つぶしの産物とも知らずに。
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