北陸旅行の三日目
旅行三日目の朝を小松で迎えた僕。予定では朝はもう少しゆっくりするつもりでしたが、先を急ぐことにしました。入念に旅行計画を立てましたが、だいたい計画通りには参りません。
小松からJRで加賀温泉駅へ。加賀温泉駅からバスで山中温泉へ。昨日伺った寿司屋が教えてくれました。今日はラッキーなことに山中漆器祭の開催日だということを。その割には山中温泉行きのバス乗り場には誰もいません。
バスに乗っていたのは40分くらいだったでしょうか。ぎゅうぎゅう詰めのバスを予想していたのですが、ありがたいことに予想を反し、ゆったりとした道のりになりました。
まずは漆器祭りの会場へ。お安い漆器がたくさんです。人もそれなりの多さです。でも僕が求めていたものはありません。僕が求めていたものは応量器!
応量器とは昔、お坊さんが使っていた器のこと。入れ子になっている器です。昔のお坊さんはこれを持って、民家を訪ね歩き「これでメシ食わせろや、ゴラァァァ!!!」などと脅しをかけていたそうです。
それはさておき、いくつかの漆器屋さんを覗きましたが、応量器はおいていません。こおろぎ橋の近くまで行ったところで、おしゃれ漆器屋さんを発見。「わっ、入りづらいわ」などと思いました怯まず入店。旅先だからできることです。
漆器というと、漆塗りのツヤ感のある器を思い浮かべますが、ここのはかなり抑えめな色使い。木目がしっかりと確認できます。
そして、ここにありました。僕の求めていたものが。応量器です。一度、デパートでお見かけした応量器はツヤ感のある黒の応量器でした。あれから人生二度目の生応量器なのです。
ここで浮かれてはいけません。僕は本当にこれが欲しいのかを再考しなくてはいけません。そのために一旦退店し、ぶらぶらすることにします。
ちょっとした散歩のつもりが気がついたらこんな大自然の中を歩いていました。横には川が流れています。調べてみるとどうやら2キロ以上歩いていたようです。
あ!大自然に圧倒されて応量器のことを考えるのを忘れていました。ということで、釜飯屋さんで少し早めの昼食です。
山奥の釜飯屋さんなのにホタテの釜飯などを頼みます。おこげがあって美味しい。二人分はあろうかという量の釜飯を少食の僕はなんとか完食…の直前に
「お兄さん、ごめんね。これさぁ、ちょっと焦げちゃってて、こんなんじゃお金もらえないからさ。これ、新しいの持ってきたから食べて」
なんと二杯目の釜飯です。こんなことってあるでしょうか。とてもありがたい釜飯地獄です。せっかくの好意を断ることもできず、途中でギブアップ。残った釜飯はおにぎりにしてくれました。これで道中、カニに出会うことがあれば柿の種と交換することができます。カニが持っているのがおにぎりでしたっけ?
そんなことよりも応量器です。ネットでも買えます。でも、きっと2022年のゴールデンウィークに山中温泉で買うことに意味があるのです。応量器をみては今日、この日を思い出すのです。荷物になるなんて野暮なことを考えてはいけないのです。
先ほどのおしゃれ漆器屋さんに戻ります。そして今回の旅の目的のひとつでもあった応量器を無事に手に入れることができたのです。10年来憧れていたものをやっと手にする日が来たのです。
目標を達成したところで今日のNoteは終えることにしましょう。
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