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【感想メモ】絶園のテンペスト

 私がシェイクスピアを知りシェイクスピア作品を読むようになったきっかけ。当時は読んだことのない世界観と展開だったのでいろいろと衝撃的だった覚えがある。

 noteには私の「好き」を書き溜めておこうかなと思っていて、ともなるとハムレットを外すわけにはいかないしそうなると絶園のテンペストを外すわけにもいかないのであった。いやね、最近何かに夢中になるとか感動するとかってのがめっきりなくなったので感性が衰えたのかと思ってて…せめて過去の自分が心動かされたものをメモしておこうと思いました。「私」はこういうものが「好き」だったのだよ、と。

スクエアエニックスの公式サイト↓

 この作品を読んだのは中学生の時でした。友達が漫画を貸してくれたのよね。2、3巻くらいまで読んだ気がします。そこで岩波文庫野島秀勝訳ハムレットの「世の中の関節は外れてしまった」の一節を初めて目にしたわけですね。何だこの劇的な言葉はって思いました(劇だからね)。そして「シェイクスピアなんて博識だね(うろ覚え)」とかいうセリフが続いてて「常識なの???我知らんぞそれ???」ってなって調べたのが全ての始まりだった……なお後々気付くんですが、私小学生の時に「ヴェニスの商人」観劇してるし同じ頃に「No.6」っていうあさのあつこの小説でハムレットやマクベスといったものは目にしていたんですよね。でも興味までは湧かなかった。ヴェニスの商人もNo.6も面白かったけど作中で言及されたものには興味出なかったな。

 絶園のテンペストを読んで初めてシェイクスピア(ハムレット)という存在に興味が出たのは、一節が丸々引用されていたからだと確信しています。厨二心にはグッと来るよね、野島訳は。「世界の関節」って何なんだよって思いましたもん。そんな発想したシェイクスピアも、あの和訳をした野島訳も、私には大きな衝撃でした。絶園のテンペストの中に引用されてた文は全部暗記しましたね。今や「世の中の関節は外れてしまった」の一文も「ホレイショー、この天地のあいだには」の一文も覚えてるし大好きだけど他の人の和訳とごっちゃになってる。

野島訳ハムレット↓

 そんなこんなで野島訳ハムレットと出会った私は次々にシェイクスピアを買い読み漁っていくのであった。とはいえ独学だし巻末の解説を読んでるだけで演劇史とかはさっぱりだしまだ全部は読めてないんですけど! 野島訳ハムレットは宝物ですね。失くしてもすぐにどこかの本屋で買い直せるようなよくある本なんですけど、存在が宝物です。

 シェイクスピアの話ばかりしていてもあれなんですけどネタバレはよろしくない気がしなくもない。とはいえ今見たらウィキ先生に全部載ってるな??? 良いのかそれ。

 アニメ公式サイト↑。ちなみにアニメしか観れてない。いつか全巻読みたいのだけれど。というか初めてこのサイト見たけどビジュアルイラスト完全に詐欺じゃん。こんな陽気なラブコメ風キャッチコピーだったのか笑 詐欺だな笑 愛はあるがコメディではない気がする。

 最初は吉野君がなんとなく好みだったんですけど後半がっつり愛花ちゃんが好きになりましたね。作中の最推しがヒロインなのは確かこの作品だけです。愛花ちゃんは良いぞ。彼女の割り切りの良さとそれでも吉野君と真広君を大切に思ってたとわかるところは惚れずにはいられなかったし、物語冒頭の彼女の死が違う光景に見えて殊更に物悲しく思えたのは衝撃的で忘れられない。そして最終的に二人が前を向いて歩くことができるようになったラストの締めも心地良かった。最初から最後まで私好みの展開にぴったり一致していた珍しい作品です。世界観を理解するのに時間かかったし途中首を捻ることもあったけどそれはそれ。

 魔法というと妖精だとか杖だとかキラキラしたイメージだった当時、ビルや銃といった科学文明と引き換えに発動するバトル系魔法という設定があまりにも経験なすぎて「???」ってなってました。なお最近アニメを見た旦那殿曰く「そんなに珍しくはない」とのことで私の作品視聴経験のなさが露呈しましたね。しょうがない、だって当時中学生だもの。魔法ったらカードキャプターさくらだしファンタジーったらシェーラひめのぼうけんなんですよ。そういう意味でもハリーポッターは苦手だったし今も苦手。なおたくさんアニメや漫画を見てきたがゆえに大抵の作品を「ふつう」か「つまらない」に分類する旦那殿から「ふつうに面白かったよ」と言っていただけたので私は満足です。ふつうに面白いってたぶん合格点だよね?