自殺論5ー死んだら本当に楽になるのか③ー

前稿のとおり、少なくとも死後の世界がある可能性が高いと考えていくのが理性的であると考えられるが、自殺したら、死後どうなるのか?
一連の本稿の核心的な課題である。

死後の世界がないという考え方からすれば、自殺したら、それで生命活動が終わり、ということになる。
また、死に方の違いは、当人の意思決定の結果に過ぎず、あとは、残された人々がその人の死に方をどう捉えるかでしかない。

他方、死後の世界があると考えた場合は、どうなるのか?
これについては、死後の世界について統一的な了解はないものの、死後の世界について、人類は歴史的に真剣に考察してきた。それこそ、今であればノーベル賞クラスの天才達がその考察の結果を残している。
また、超自然的な優れた感覚の人達が死後の世界を述べている場合もある。
経験則的に、このような先人達の例を学んでいくのが相当だろう。
自殺自体が罪であるとする宗教もある他、自殺をした結果、死後の世界が幸せになるという宗教はそう多くあるまい。
江戸時代の心中物では、死後蓮の臺に上って、楽しく死後の世界が送れるみたいな物語があるが、それは、現世で結ばれない男女が死後幸せになりたいという願望を言っているに過ぎない。
他方、ある種の宗教の一派では、神の為に神に反する敵を自爆攻撃するのは、天国に行けるという考え方もあるが、通説的な考え方と言い難いし、そもそもこのような考え方が正しい保証は全くない。
いずれにせよ、"個人的な理由"に基づいて自殺すると、死後幸せになると考えるのは、かなり少数派ではないかと思われる。
つまり、およそ個人的な理由以外に自殺することがあり得ない現代日本においては、自殺した後の死後の世界で幸せになる可能性は低いということになろう。

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