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悪魔が憑依するツボ〜母と娘の戦い〜

2020年に父が他界し、たまに母が我が家に長期滞在するようになった。

夫の両親もすでに他界しているため、部屋はある。

できるだけ居心地良く過ごせるようにTVやベッドなどをセッティングしたら、家族いわく『高級老人ホームの一室』みたいになった。

母は身体は健康で普通に生活できるので、我が家にいる時も自分でできることはやってもらう。その方が母の健康にも良いと私は思っている。

基本的に我が家は家族でシェアハウスのような暮らし方をしているので、どこに何があるかは全員がわかるような配置になっている。
ただ、母は身長が低いので、母の使うであろうものは母の手の届くところに移動しておく。
ミシンや裁縫道具は母の居室に置いておく。
そのへんのところは、結構徹底して準備しておく。

仕事中にいちいち呼び出されたら困るしね。。。。

そんなわけで、我が家に来ても母は気ままに台所に立ち、趣味の手芸をし、好き勝手に過ごす。

ただ、問題がひとつ。
母は自宅以外では排便困難者になる。
ずっと便秘なのだ。
運動も水分も薬も、何の効果もない。

それで、滞在して数日後には
「は〜、今日も出ない、何でだろう。うちでは毎日出るのに…」
と、言い始める。

毎度のことなのでその言葉を受け流せればいいのだが、私はいつも責めたてられている気持ちになる。
そして、イライラしてくる。

それで、あまり何度もしつこく言われると
「お医者さんじゃないんだから、何で?と言われたってわからないよ!!!」
とキレてしまう。

私が何かすることで問題が解決するのであれば、自分が動くことは厭わない。
たとえそれが大変な労力であろうと、解決できた時の達成感を味わう方が楽しい。
人が喜んでくれて自分も楽しいなら、一石二鳥だ。

でも、自分ではどうにもならないことをずっと言われ続けると、悪魔が憑依する。

ムラムラと意地悪な気持ちが沸き上がってきて、
「便秘はわがままな性格のせいなんじゃない?」
「出ない出ないって、自分で自分に言い聞かせてるんじゃない?」
なんて、母を傷付けるような言葉が次々と飛び出す。

もう、憑依されちゃったらどうにも止まらない。

そうなると母に快適に過ごしてもらうための私の並々ならぬ労力なんて、母にとっては全部帳消しになる。

「あんたは冷たい!思いやりがない!意地が悪い!どうせ私なんて死んだほうがいいと思ってるんでしょ!私なんて厄介者よ!」

あ〜あ、またやっちゃった。。。。。。


結局、意地悪な娘というレッテルが貼られたまま現在に至る。
思えば、子どもの頃からそれはずっと変わらないのだ。

悪魔はいつだって私の隣に陣取って、憑依する機会を虎視眈々と狙っている。
そして母は、悪魔が私に憑依するツボを知り尽くしている。


悲しいね。

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