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絵を描く理由を考える理由1

 絵を描く理由をつらつらと考え述べたところで、「自分が好きならそれでいいんじゃないの?」と誰かに一蹴されそうでもある。
 確かに私が生きていることに取り立てて意味がないように、「絵を描くこと」も含めた生存におけるあらゆる諸活動も大そうな意味は持っているはずがないから、究明する理由というのも一見わからない。
 私は自分のあらゆる諸活動は私の無意識下の目的によって動かされると考える。けれどもでは私は絵を描くことを「好きだから」とか「趣味です」と言って気安く片付けてよいのだろうか。
 「好き」ということには必ず理由がある。それは他の分野と比較して執着できる状態を言うのであって、あくまでも自分の状態であり、根源的理由ではない。
 「好きだから好き」としか答えられないなら、それは「好きな理由はわからない」と言う方が正しい。絵を描く理由が「わからない」なら私は「わからない」と堂々と言えるべきだと思う。
 私が絵を描く理由を考える理由は、私が本当は何がしたいのか、なぜ今こうしているのか、それは私の幸福に照らして正しいのかを知りたいからだ。そして他者から、あるいは未来や過去の自分から「絵を描く意味なんてないよ」と言われた時に、「そんなことはない。」と自信を持って反駁したい。あるいは仮に絵を描く理由が大したものでなかっとしても、私はそれを知る事のないまま行動したくはない。私は真実が仮に残酷でも、自身の立ち位置を知りたいと希う。これが私が絵を描く理由を考える理由である。

2021.1.6

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