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黒人男性は暴力的なのか?~アメリカに潜む大きなカラクリ~#社会派映画レポート⑤

皆さまはじめまして、ARUN Seed インターン生の村上輝です!

梅雨も明けてすっかり季節の変化を感じますね。

季節の変わり目は体調を崩しやすいと言いますが、皆さまお元気にお過ごしでしょうか?

かく言う私は、先月から一週間ごとに、腹痛→腰痛→発熱→喉痛→蕁麻疹→喉痛、という感じで、毎週体のどこかに爆弾を抱えております(笑)。ウイルスが私の体をもてあそんでいるのでしょうか。一人暮らしで寂しいですが、ウイルス君はお呼びじゃないんですよね。早く体調を治して夏を迎えたいものです。


さて、気を取り直して本題に入りましょう。


今回は「インターン生の社会派映画紹介コーナー第5弾」ということで、

『13th -憲法修正第13条-』

というドキュメンタリー映画について

について大真面目に語っていきたいと思います!


『13th -憲法修正第13条-』について


『13th -憲法修正第13条-』(13th)は、エイヴァ・デューヴァーネイ(Ava DuVernay)監督によって2016年に制作されたアメリカ合衆国のドキュメンタリー映画です。

この作品では人種差別と大量投獄の関係性が、奴隷解放以降の黒人の歴史とともに描かれています。


 かつてアメリカ合衆国では奴隷制が認められていました。1865年に提案されたアメリカ合衆国憲法修正13条では、奴隷制を廃止することが定められました。しかしながらこの条項は、犯罪者をその例外としています。


『13th -憲法修正第13条-』では、この点に着目し、奴隷制廃止以降や、さらに現在でも黒人に対する不当な扱いが形を変えて残存していると主張しています。

黒人男性=暴力的というイメージの誕生

黒人と犯罪者というイメージが結びつけられるきっかけとなったのは、1915年に上映された『國民の創生』(The Birth of a Nation)だとされています。

初のアメリカ長編映画として大ヒットを記録したこの映画では、南北戦争とその後の時代が白人の視点から描かれました。

この作品では黒人男性たちは野蛮な存在として描かれており、黒人男性が白人女性に対してレイプを行おうとする描写も含まれていました。

『13th -憲法修正第13条-』では、『國民の創生』のヒットにより、大衆の間で黒人男性へのステレオタイプが形成されることとなったと指摘しています。

公民権運動以降

作品中では、公民権法成立以降の1970~80年代においても、可視化しにくい形での黒人への差別は残存したことが主張されています。

1970年代前半の大統領であるリチャード・ニクソン(Richard Nixon)「法と秩序」(Law & Order)というスローガンのもと、犯罪に対する取り締まりを強化しました。

また、1980年代には当時の政府はドラッグの蔓延を問題視し、都市の黒人若年貧困層で使用が広まっていたクラックという安価なコカインに対し必要以上に重い量刑を課すことが常態化していきました。

これが意味することがわかるでしょうか。

当時の政府の言う、「ドラッグが危険だから取り締まりを強化する」とは建前に過ぎないのです。

実際には、「黒人男性を逮捕するための手段」としてドラッグを取り上げたのです。

現在のアメリカ合衆国

このような状況が現在まで残存しています。黒人男性は全米人口の6.5%にすぎませんが、全受刑者の40.2%を占めます。驚くべき数字です。


現在のアメリカ合衆国全国の刑務所アメリカ合衆国の囚人に黒人が多いのは彼らが暴力的だからではなく、白人社会によって暴力的であるとされているからであると主張しています。

黒人男性の暴力的であるというイメージは作られたものなのです。

白人社会が、自らが創り上げたイメージに自ら恐怖を感じ、何の罪もない黒人を痛めつけているという構図があると主張されています。


『13th -憲法修正第13条-』を見て思うこと

『13th -憲法修正第13条-』は、特に「黒人」と「男性」という属性の組み合わせによって生じる特有の差別や偏見に焦点を当てた点が非常に興味深いです。
作中では、黒人男性の暴力性は白人社会によって作られた虚構であるとしていますが、私はより問題は複雑であると考えています。

というのも「黒人男性は実際に暴力的であるかもしれない」ということです。

私が人種差別主義者なのではありません。


イメージと現実のギャップを埋めるために、実際に暴力的にふるまわなければいけないかもしれない」ということです。


白人社会が創出した黒人男性の性的・身体的優越性のイメージは長きにわたってアメリカ社会に浸透してきました。

そこでは黒人男性は現実とイメージの乖離に悩んで来たのだろうと推察されます。

一方で、優越性を示すイメージは自らを守る武器となります。


 黒人男性たちは、自分たちの悩みの解消の手段として、結果的に自ら自身の志向をイメージに迎合させ、イメージ通りにふるまってしまっている状況も存在するのではないでしょうか。

このことによって、白人社会の黒人男性に対する恐怖はさらに増長し、差別と偏見、さらには暴力、人種間の分断を招く結果となっているのではないでしょうか。


近年のアメリカ合衆国に目を向けると、人種差別の問題が様々な場面で表出するようになってきています。

皆さんはこの状況をどう捉え、どう解釈しますか?


『13th -憲法修正第13条-』の魅力


扱われたコンテンツ以外にも、この作品の興味深さを感じられる点が、表現方法です。

この作品は、黒人差別をめぐる運動で盛んに利用されたメディアの持つ影響力について解説しながらも、この作品自体の持つ影響力についても思慮深く検討されていると感じました。

この映画はドキュメンタリー映画として秀逸です。

客観的な情報を提示することによる信頼性の担保に加え、人の感情に訴えかける表現にも成功しています。

つまり、

「思慮深く計算されたコンテンツに対して、制作陣が効果的な表現を当てこめる能力を有していたことで、素晴らしい作品が出来上がった」ということです。


『13th -憲法修正第13条-』を鑑賞した者として、これからも人種・民族問題に関心を寄せていきたいと考えています。


『13th -憲法修正第13条-』、まだまだたくさん語りたいことがあるくらい、見どころの多い作品です。


YouTube上で無料で見られるので、是非皆さんも気軽に鑑賞してみてはいかがでしょうか!


またARUN Seedでは、様々なバックグラウンドを持つ社会人や学生インターンが活躍しています!ご興味を持たれた方はぜひ活動をチェックしてみてください!

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