日本山岳耐久レース~ハセツネCUP~レースレポート
2023年10月8.9日に開催された第31回日本山岳耐久レース、通称ハセツネに出場してきましたので、いつか出てみたい!と思っている方はぜひ参考にしていただけると嬉しいです!
レース当日
参加者は2,000人いるので、待機場所(更衣室)はまあまあぎゅうぎゅうになります。
受付は当日の10-12時で私は10時30分に受付を済ませ、振り分けられた待機場所に向かいましたが、すでにいっぱいでなんとか隙間に荷物を置くことが出来ました。
余裕がある方は10時に受付出来るように会場に向かうのが良いかと思います。
(もしくはみんな受付前に場所取りするのかな?)
また待機場所ではレジャーシートを持ってきて場所取りしてる人が多かったです。
受付自体は必携品チェック等も無くゼッケンを受け取るだけなので一瞬で終わります。
(参加賞はシェラカップとウィダーでした)
スタート〜第一関門まで(浅間峠)
ハセツネは「大人の大運動会」と呼ばれることもありますが、その意味が分かりました。
スタート場所は中学校のグラウンドで、ブロック毎にプラカード前に整列します。
皆緊張と興奮でソワソワしている感じはまさに運動のようでした笑
最初のパートはハセツネで最も強度が高い区間だと言われています。
その理由としては以下の通り。
・スタート時が荷物が1番重い
・気温が1番高い時間帯
・ひたすら登る
・渋滞にはまりたくないのでスタートダッシュする(流れでしてしまう)
・人も多く自分のペースで走れない
など多くの要因でとてもキツいです。
気温が高い年だと早々に水切れになり第一関門でリタイアする人も多いです。
今回からスタートがパフォーマンスインデックス順となったため(エントリー時点での直近のレースの成績でポイントが付けられる)大体同じ走力の人達と走ることができ私のブロック(第6ブロックある中の第3ブロック)では渋滞はあまりありませんでした。
私自身はスタートはとばさないと決めていたのにも関わらず焦りからか早々にとばしたところいきなりアクシデント。
ハセツネに向けて買った新しいザックをほぼ初卸しで使ったところ、補給食を入れていたポケットをちゃんと閉めておらず知らぬ間に補給食を落としてしまっており、気付いたころにはジェル1個と羊羹2個を失っていました。
それに大きく動揺し何故か被っていたキャップもどこかに落としてしまい、この後降るであろう雨への影響も考えるとさらにメンタルダウン。。
しかしメンタル引きずったまま残り70km走るのは無理なので、新しいキャップを新調出来るきっかけが出来たとポジティブに受け止める前に進み続けました。
身体自体は直前にやり込んだピラティスのおかげでとても良く、約7kgの荷物が重いとほとんど感じずに第一関門まで淡々と動き続けることが出来ました。
ハセツネはエイドがないためメンタルコントロールも非常に重要となりますが、第一関門までは所々応援隊が居てくださり元気を貰えます。
また、16時頃から暗くなるので多くの人は第一関門に到着するまでにライトが必要になります。(完走目標が15時間より遅い人)
私自身はまだ真っ暗じゃないしもう少しで第一関門だからとライトを付けずに走っていたら下りで足首を大捻りし反省しました。
捻った直後はこれはやばい。と思いましたが日頃のトレーニングのおかげで致命傷を防ぐことができその後の影響はありませんでした。
ハセツネはエイドがありませんが、関門のところにトイレやテント、スタッフの方がいらっしゃるのでエイドに到着した気分にはなれます。
人がたくさんいるというだけで精神的にかなり救われます。
私は作戦として、関門のところをエイドに見立てそこでしっかりと補給したり一息付くことを考えていました。
ハセツネは無事に生きて帰ってくるための準備を常に考え万全な状態で進まないといけないので焦りは禁物です。
多くの人はここから使用可能になるストック(トレランポール)を取り出して使います。
ざっと見た感じ8割以上の人はポールを使っていました。
上手く使えたら絶対にあった方がいいと思います。
しかし使いこなせている人は少ない印象でした。
トレーナーの観点からすると、自分自身の身体が使いこなせてないのに道具を使いこなせるはずがありません。
ちなみに私はポールは使いませんでした。
(買うお金がないだけです…笑)
第一関門(浅間峠)〜第二関門(月夜見)
第一関門からはハセツネ最高峰のボス・三頭山(1,527m)を目指します。
私は最初からキツいのが分かってるのが嫌なタイプなので、試走もほとんどしておらずコースもあまり把握せずに臨みました。
三頭山に向けてとにかく何も考えず登り続けていましたが、前の人が一人、また一人と道の脇に避けて脱落していきます。
それにつられ足を止めたい気持ちと葛藤しながら同志達を後に進み続けます。
地球上には慣性の法則という物理の法則があります。
外力が働かない限り止まっているものは止まり続ける。
動いているものは動き続ける。
1度止まってしまったものを動かすのには大きなエネルギーを必要とします。
つまり1mmでも良いので動き続けることが重要なのです。
三頭山をなんとか越えたあとは急な下りとなります。
雨でヌカルんでいたということもありとても滑ります。
トレランでは下りの技術でタイムに差が大きく出るため下りの練習や下れる身体作りが非常に重要です。
反響が大きかった下れる身体作りのセミナーはまたいつか開催しようと思います。
そしてあと少しで第二関門の月夜見までは後少し!ということでロストしてしまいました。
今回ベテラン勢の多くもロストしてしまったみたいです。
基本的には間違えやすい箇所にはマーキングがしてあったり誘導員の方がいてくれるのですが、何故かこの箇所だけ非常に分かりづらく多くの人が油断していました。
しかしトレイルランニングはもちろん、
今回のハセツネは日本山岳耐久レースなので山での全ての行動は自己責任です。
山に入る際は最善の準備と覚悟を持って挑まないといけないんだと改めて痛感しました。
第ニ関門(月夜見)〜第三関門(長尾平)
第二関門の月夜見到着後はハセツネで唯一1.5ℓの水分のみ貰えます(水orポカリ)
今年は気温も低かったのでほとんどの人は十分水分は足りていたと思います。
私も1ℓのみポカリを貰いました。
レース前から月夜見に到着したらご褒美のお茶タイムを計画していたので、甘酒と塩バターまんじゅうをゆっくり楽しみます。
しかしこれが最悪の事態を生みます。
ここまで寒さは大きくは感じていなかったのですが、月夜見は風が強くかつ夜中の0時前ということもあり気温はおおよそ5度以下。
途中から震えが止まらなくなりこれはやばいと思い、すぐに支度を済ませ月夜見を後にします。
しかし動いていても震えが止まらず、体調がとにかく悪くなり仕舞いには低体温症の症状からか急激な眠気に襲われます。
初めての出来事に気持ちもネガティヴになり、まさかここでリタイアか。と思いましたが、ここで止まっても誰も助けてくれないし、止まってしまうとさらに体温が下り命の危険が危ないと判断し必死に動き続けました。
とにかく意識を保たないと思い、レースの終盤で摂ろうと思っていたカフェイン入りのジェルを摂取してまた必死に動き続けます。
以前、同じような状況で足を止めずに動き続けていたら回復したという話を友人から聞いていたため、その話を信じ絶対止まったらダメと言い聞かせて進み続けた結果徐々に体調が回復。
その後は完全復活し、残り2つのボスの御前山(1,405m)と大岳山(1,266m)を順調に越えることが出来ました。
御前山のきつい登りで心が折れたり、大岳山の大きな岩場や足元が危ない箇所など注意が必要です。
第三関門(長尾平)〜ゴール
長尾平まで着くとほぼゴールも同然。
残りは12kmとなります。
長尾平には長谷川恒雄さんの名前が彫られた岩があったり、まったり陽気な音楽を流して待っていてくれるスタッフがいたりとても居心地がいいです。
ほとんどの方は通過して先を急ぐのですが、私は用意していたコーヒーをどうしても飲みたく15分ほどつくろいでしまいました。
ボランティアの人達と談笑したあとは残りの12kmの下りを楽しみながら走りました。
しかし残り5kmくらいのところで、見た事のない大型動物(大きいオオカミみたいな🐺)と出会い震えましたが、前にいた女性がクールに鳴き真似をして追い払ってくれて惚れました。
体力的にもダメージ的にも余力があったため、最後の金比羅山からゴールまではしっかり走り切り20人ほど一気に抜いてゴール!
生きて帰って来れたことに安堵しました。
無事に人生で一番大変だったランキング1位を更新!
しかしそれと同時にたくさんの大切な人と時間をともにすることができ、最も想い出に残る大会となりました。
かつてトレランの魅力を教えてくれた人。
今トレランの魅力を教えてくれている人。
ずっと近くで応援してくれている人。
ハセツネという舞台で一緒になれて本当に嬉しかった。
「ハセツネは同窓会」という人もいます。
初参加でしたがその意味が分かりました。
おそらく来年は出ないと思いますが、またいつか必ずチャレンジしたいと思います。
ハセツネの魅力は出た人にしか分からないと思います。
勇気を出して一歩を踏み出した人にしか分からない景色があります。
ハセツネに出場された皆様、応援してくださった皆様、運営の皆様、本当に長旅お疲れ様でした。
次回のnoteでハセツネのあれこれ(攻略法、補給食、トレーニング等)についての書いていきたいも思います。
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