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    ウソの日記「キョウノニッキ」の中で自信があるやつとかTwitterで比較的人気だったやつ

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    イメージとしては輪郭のない世界

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短編 [はるか]

ドアを開けると、心地いい涼しさと共に乾いた香りに包まれる。一週間引きこもっていた身には外の温度も明るさもまだ強く突き刺さるが、私はこの時期の空気が一番好きだ。秋とも冬とも言えないこの雰囲気を感じるといつも、年の終わりが近付いていることを実感する。 今年もまた無為に過ごしてしまったと改善する気のない振り返りをしながら、気分転換に少し遠くのコンビニへ向かう。特に悪いことはしていないのに、いくつになっても警察を見ると顔を逸らしてしまうのは何故だろうか。 コンビニに着くと、見覚えの

    • Fake tradition

      I feel happiest when I touch my shoes. This is based on one Japanese traditional culture. We have to touch and swipe our shoes with our own hands just before we take off our shoes. As you know, Japanese take off their shoes when we enter ho

      • 僕は毒を飲む

        僕は毒を飲む。 致死量の10倍。与えられた量をきっかりと。 電気を消して、布団に横たわる。 外を、車の通る音が聞こえた。 窓を閉め切ったのは久しぶりだ。 僕の呼吸音と、上下階の住人の動く音。 微かなホワイトノイズ。 目を開く。 まだ生きている。 手を握って、開く。 そして、目を瞑る。 閉じた瞼を通り越して、天井に反射したヘッドライト、束の間の明るさを感じる。 瞼の裏には曖昧な風景。 実体であり、精神でもある。 混じり合った色と、刹那、鮮やかな白一色の風景。 目を開

        • 2023年7月4日(火)[ラーメン]

          ラーメン屋「武蔵」に行った。 店主がずっと喋っていた。 「チス!☆*3%°%・¥*(多分来店ありがとう的なことを言っている)」 おすすめを一つ、頼んだ。 「いや〜今日暑いっすね!とても熱いもんなんて食ってらんねえッスよね!」 外は24℃ほどで曇りだし、店内は冷房が効きすぎて寒いほどだった。 「今ね、作ってますよ。お兄さんの注文!」 スタッフは1人しかいない。客も俺1人だった。 「麺茹でますね〜。」 「何味にしよっかな〜♪」 この頃にはもう早く提供してほしいとだけしか思っていな

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          2023年7月1日(土)[雨と蚊]

          なんか蚊が雨に負けてた。 雨降ってる時蚊飛ぶなよ。分かるだろ、負けるって。 今日雨えぐいし、蚊って飛ぶのみで生きてるし、雨降ってるのに飛べるわけないだろ。 雨に逆らいながら飛んでるの見てたけど気付いたら蚊に刺されてた。腹立つな〜!

          2023年7月1日(土)[雨と蚊]

          2023年6月30日(金)[キッチンハイター]

          キッチンの掃除をした。 キッチンの掃除といえばキッチンハイターだろ。と思ったが、無かった。 しかし私は今日、絶対にキッチンの掃除をしたかった。これは昨晩から決めていたことだし、そのために1限がある日よりも早く起きて、シンクの前にジャージとゴム手袋なんて格好で立ってるわけ。 でもないものは仕方ないので、服を着替えて買い物を決意。 スーパーに着き、迷わずハイターを選び、レジに行った。レジのおじさんに 「おっ、掃除かい。今日は掃除日和だもんねえ。」 と言われた。そんなわけあるか。青

          2023年6月30日(金)[キッチンハイター]

          2023年6月29日(木) [爪]

          手の爪が剥がれた。剥がれたと言ってもそんな悲惨なものではなくて、みんなおなじみ二枚爪状態の上が剥がれただけなんだけど、爪一枚分きれいに表層部だけ剥がれたの初めてで感動しちゃった。ちなみに左手人差し指。 爪にはまっすぐに育ってほしいと思ってるから、一応ハサミでみじん切りして軒下に流しておいた。 ところで爪って指にしか生えないのに絶対指の爪って言うよね。人指し爪って言わないもんね。 こんなことを考えながら歩いていたら、すれ違ったJKが「ねえ親爪(おやづめ)ネイル剥げたんだけど!

          2023年6月29日(木) [爪]

          2023年6月28日(水) [虫の足]

          ゴキブリにガムテープの上を歩かせると、たまに足が取れる。そこで、今日は虫の足の丈夫さを測ることにした。 エントリーはクモ(部屋に出るたび捕獲すること1週間)、羽虫(ゴミ箱に湧いてる)、アリ(近くの公園まで拾いに行った)。各5匹ずつくらい。 虫って粘着面の上を歩く時は靴下履いたばっかの犬みたいな歩き方になるの面白いよね。 ちなみに、みんなテープの上置いたら途端に気持ち悪くなったから全部丸めて捨てちゃったから結果はわからず。 次は気持ち悪くない実験が、したいな〜。

          2023年6月28日(水) [虫の足]

          2023年1月25日(水) [偶然]

          個室の鍵を開けた瞬間気がついた。ハンカチが無い。 どうも家に引きこもっていると外で手を洗う習慣がないため、最近はいつ出かけてもハンカチを忘れる。 重い足取りで手を洗い、人がいないことを確認して服の中に手を突っ込む。表で拭くより目立たないからね。 そのまま外に出ると、今出た感じのお姉さんが濡れた手をパタパタしながら歩いていて、ニヤリ。 そのまま電車に乗り込んで、ぽやぁっとスマホを眺める。月の初めにダウンロードした画像、変わらないのにシフト表を毎日眺めている。 …はっ シフト、

          2023年1月25日(水) [偶然]

          2022年10月31日(月) [たけのこ掘り]

          たけのこ掘りに行った。 近所の竹やぶ、多分知らないひとの敷地。 …ハロウィンだし。 頭が出ているたけのこはもうおいしくないって聞いたことがあるけど、初めてだから一応掘ってみる。 シャベルで周りをカリカリ掘って、握れるくらい出てきたら引っ張ってみる。 たけのこなんて長さじゃない竹の子が出てきた。 竹の子は走って逃げて行った。 次はおいしいたけのこを取るぞ。 ちょっと土がやわらかくなっているところを見つけて、少し手で掘り起こす。いた、たけのこだ。 さっきと同じ手順で、ゆっくり

          2022年10月31日(月) [たけのこ掘り]

          2022年9月17日(土) [齟齬]

          ぼく「今日久しぶりに暑いっすね」 おじさん「山も青ざめてるよね」 おばさん「あら、登らないと」 駅員さん「すいません、今梯子切らしてて…」 太陽「さんさん」

          2022年9月17日(土) [齟齬]

          2022年8月21日(日)[伝書鳩]

          「伝書鳩を飛ばしてみたい」 目が覚めた瞬間そう思った。 近所の伝書鳩おじさんのところに遊びに行った。 噂には聞いていたが、実在したとは思っていなかった。なんだか閑散としているが中に入ってみる。 少し髪の薄れた、ちょうど鳩を育てていそうなおじさんが出てきたので声をかけた。 「あの、伝書鳩って」 「あぁそれ隣だよ、うちはネズミ競争させる店」 「な、なるほど…」 変わった店もあるもんだ。 平家の並ぶ場所なので、正直どこだかわからない。 2軒目はダンゴムシを転がす店 3軒目は米粒

          2022年8月21日(日)[伝書鳩]

          短編 [夢]

          走り去るヘッドライトに照らされて姿を見せた雨粒はむしろ、強い意志を持った運命のようで、僕は思わず足を止めた。徐々に重くなる瞼につられて閉じた目は熱く濡れ、激しい渇望を伴った悪寒が全身を走る。 夢を捨てたのはいつだったか。若い日々は結局今を生きる僕には何も与えることのないまま、記憶の奥底で眠りについた。 その晩、懐かしい夢を見た。 春の暮れ、人々の肌が太陽の下に姿を見せ始める頃、僕は1人、街を歩いていた。 飽き性だったのだ。幼い頃から続けてきた水泳で、高みを目指せないこと

          短編 [夢]

          短編[現実]

          学校の催しで会社の見学に行くことになった。なにについてだかは忘れてしまったが、なにかの研究所に行くとのことだった。 研究所には、小型バスで学校から向かった。 耳に馴染んだ大企業の敷地内に乗り入れたその瞬間、鳥肌が立つのを感じた。それは痛いほどだったが、理由は分からない。漠然と不安感を持ったままの見学となる。 対称的に並ぶ統一された形の建造物を眺めながらいくらか歩いたのち、我々はまた、左右のそれと見分けのつかない棟に案内された。 よくある1時間ほどの講演と、またいくつかのグ

          短編[現実]

          2022年6月10日(金)[夢の人]

          「こんにちわあ」 暗とも明とも言えない、美しくも醜くもある、そう、ちょうど目を閉じた時の視界のような空間で、得体の知れない何かに声をかけられた。 視界に違わぬぼんやりとした意識で声の方を向くと、何かがいるような、気がする。見えているはずなのに認識できない。今、自分の目で見ているはずなのに古い記憶を辿っているような、不思議な感覚だ。 「どちら様…ですか?」 「僕はねえ、あの、あれ、えっとね…  夢の中のさ、いるじゃん、その、なんか起きたら誰だったか忘れちゃうし、夢の中では絶対認

          2022年6月10日(金)[夢の人]

          2022年6月7日(火)[恋は盲目]

          見知らぬ街を散歩しに出かけたら、「恋は盲目センター」と書かれた建物を見つけた。 近くに寄っていくらか見てみると、どうやらこのテーマで集めた作品の展示と、少しの体験ができるようだった。 もともとなんのあてもない散歩だし、入ってみることにした。入場料は1500円。平日ということもあり、ちらほら人がいる程度。展示場もあまり広くはない。学校の教室2〜3個分と言った広さだった。 展示されているものはほとんどがノンフィクション寄りのストーリーで、ショートムービーや漫画、エッセイなど形式

          2022年6月7日(火)[恋は盲目]