2.「耐食鏡」

　綿毛がたくさん　飛んでった
　高く　高く　縒れた風に　沿っちゃって
　夜の光も　小銭の話も　
　今は一緒に　どこか遠く

　ベルが鳴るのが好きなんだ
　だから扉を開けるのも好きなのだ

　匂いを感じられれば　生きてゆける
　埃も咳も　溶かす午後

　あのウェイターに　恋をした
　磨りガラスに遮られててもわかる
　君の幼い髪の　一直線
　あのウェイターに声かけて
　「定休日に」とか言われたい
　だったら先に　僕から言いたい
　But now But now Fly away
　もうじきコーラス隊がやってくる
　ひねくれ者の　阿呆のやつらの

　セル画みたいな心だよ
　だから覗かれるのも　覗くのも
　同じくらいには好きなんだ

　君がいれば　生きてゆける
　照れくさくって　くしゃみがあぶれた

　あのウェイターに恋をした
　耐食鏡に映ってる　悪魔仮面の横顔が
　フルカラーで無視できない
　あのウェイターに声かけて
　「好きな洋画は？」とか訊かれたい
　だったら先に　僕から訊きたい
　But now But now Fly away
　もうじき兵隊さんが　お通りだ
　鋭い銃口を　その命に　向けながら

　あのウェイターに恋をした
　磨りガラスに遮られててもわかる
　君の幼い髪の　一直線
　あのウェイターに声かけて
　「定休日に」とか言われたい
　だったら先に　僕から言いたい
　But now But now Fly away
　もうじきコーラス隊が　やってくる
　ひねくれ者の　阿呆のやつらの