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キャンパス農園-農を通じた地域の魅力発信-

すがもプロジェクト活動班紹介の第 4 弾である今回は、キャンパス農園班にインタビュ ーしてきました。2016 年頃から課外活動として始まった農園活動は、今年度よりすがも プロジェクトの 1 つとしてサービスラーニングで実践することになりました。 なぜ都心の大学で農園活動を行うのか、オンラインで農園活動はどうなったのか、オン ライン期間のプロジェクトに迫ります。また、サービスラーニングの楽しさやこれから の農園活動についても前向きな声を聞けました。

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キャンパス農園班 メンバー(2020年春学期時点)
・山本空洋(SPS 人間環境学科 4 年)(写真左)
・小池里英(歴史学科 3 年)(写真右)
・近江由隆(インタビューは都合により欠席)

キャンパス農園って?

―まず初めに「キャンパス農園」について、活動内容もあわせて教えてください。
小池:キャンパス農園とは、「大学のキャンパスで農園をつくろう!」という取組みです。 主に大学内の普段使用されていない場所を畑に変えて活動していて、5 号館の裏にトマトを 栽培したり、7 号館 3 階のテラスではさつまいもを育てたりしています。東京の巣鴨という 場所で食べ物を育てたり、この地域で食べ物をシェアしたり、都市農業を通じてコミュニテ ィーを育てるという目的のもと始まりました。
山本:キャンパス農園の活動自体はこの班を担当してくださっている古田尚也先生(社会共 生学部教授)が 2016 年頃から始めていたものになります。色々な野菜を育てたり、畑とし て使えそうな場所を探したりしました。今までには、5 号館裏で”土嚢栽培“や”水耕栽培 “に挑戦し、3 号館の入り口付近や弓道場だった場所を開拓して野菜を育てています。その 元々の活動から派生して、2020 年にサービスラーニング(すがもプロジェクト)の授業でプ ロジェクトとなり、教職員と学生が一緒に活動することになりました。

―知らなかっただけで、野菜を育てられる場所が大学内にそんなにたくさんあったのです ね。収穫した野菜たちは持って帰っていたのですか。
山本:最初は自分たちで食べるか、周りの人におすそ分けするだけでした。しかし、栽培す るものを増やし色々挑戦し始めてからは、コロナ以前は、大学で毎月第 3 土曜日に開催して いる「あさ市」や、大正大学生が企画運営する日本各地のアンテナショップ「座・ガモール」 にも収穫した野菜を少し置かせてもらったり、鴨台祭や鴨台盆踊りなどの学内行事で屋台 を出して販売したりしました。あとは、卒業生が参加している教育系の NPO 団体と協力し て、地域の子どもたちと一緒に野菜の収穫体験やさつまいもの蔓を使ったクリスマスリー スづくりなども行いました。

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オンライン化で活動に深み

―コロナ禍の前は対人イベントができていたということですね。4 月からオンライン授業 となったことにより活動はどのように変化しましたか。
山本:学生はまだ学内に入れないので、農園の管理は先生や職員の方にお任せしています。 自分たちにできることをやろうと考えた結果、伝統野菜についての動画づくりをメインに やっていくことに決まりました。
小池:現在は動画作成のために情報収集をしているのですが、調べていくうちに大学周辺が 昔は種子屋で栄えていたことが分かったので、大学周辺の歴史や文化も併せて調べていき たいと思っています。秋学期になったら、地域の人にインタビューをしたり資料館で調べた りして、それも動画に入れたいと考えています。

―動画のテーマを伝統野菜にしたきっかけはあったのですか。
小池:もともとの活動の中で、伝統野菜(滝野川ごぼうや滝野川にんじんなど)を育てていた ので、その伝統野菜について調べるのはどうかと先生から提案がありました。動画にしてみ ようというのは学生による案です。
―チームのみんなのアイディアが詰まった企画になっているのですね。動画の完成を楽し みにしています。その他に考えている企画はありますか。
山本:収穫した野菜の使い道を考えています。この状況なので鴨台盆踊りも鴨台祭もオンラ イン開催になってしまい、今までのように屋台を出して販売することができなくなりました。なので、鴨台食堂(おうだいじきどう)で使ってもらえないか提案し、自分たちで収穫したじゃがいもをス
ープに使ってもらっています。(関連記事: https://www.tais.ac.jp/guide/latest_news/20200706/67595/ )
小池:秋学期は学内に入れるということなので、農園管理も学生が中心となって積極的にや っていきたいですね。果樹の栽培や農園ツアーも考えています。農園ツアーに関してはオン ラインでの開催も検討しています。
―農園ツアー面白そうですね。鴨台食堂との協力は考えているようですが、すがもプロジェ クトの他の班との連携などは考えていますか。
山本:そうですね。南門広場を利用して直売所のようなものを設置したいと考えているので、 そこは南門活用計画班と連携していきたいと思っています。あとは、収穫した野菜を商店街 のお店で使ってもらうことも検討しているので、学食 in 巣鴨班とも連携していきたいですね。


授業でやりたいことを実現

―授業を履修した経緯も聞いていきたいのですが、山本さんはもともとすがもプロジェク トが始まる前からキャンパス農園の活動に参加されていたことがきっかけでこの授業を履 修したのですよね。
山本:そうですね。キャンパス農園の活動がすがもプロジェクトを実践するサービスラーニ ングの授業内で行うことになり、古田先生から誘われて SPS になりました。先生からすがも プロジェクトのお話を聞き、すごく楽しみにしていました。今はオンラインでの活動になっ てしまい残念ですが、小池さんや近江さんと楽しく活動ができています。

―楽しそうな雰囲気が伝わってきます。小池さんはいかがですか。どのようにすがもプロジ ェクトの存在を知りましたか。
小池:私は、コミュニティプログラム(※)という授業をとっていて、その中ですがもプロ ジェクトを実践するサービスラーニングの履修を勧められたことがきっかけでした。同じ 学科でサービスラーニングを履修する学生が少なく、活動のハードルが高いと感じていて 履修を敬遠していましたので、今回はとても良い機会になりました。
キャンパス農園班を選んだのは、初回の授業の時に説明で話していた NPO の銀座ミツバ チプロジェクトの都心の耕作放棄地を利用して都心の花ではちみつを作る活動が面白いと 思ったことが理由です。あと、もともと酪農・畜産に興味があったので楽しめるかなと思い 決めました。ヤギが好きで、大学で飼いたいと話し合いの中で盛り上がったことがあります (笑)
※学部・学科・コースの枠を超えて設けられたプログラムを学修することで、自身の専門領 域とは異なる新たな知見と社会に生きて働く実践的な力を身につけることができるチャレ ンジプログラムの 1 つです。
(詳細はこちら https://kokokara.tais.ac.jp/learn/challenge-program/ )
―都内の大学でヤギ飼うとは面白い発想ですね!
山本:ちなみに板橋駅から大学に来る途中の小学校でヤギ飼っていますよ(笑)

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―そうなのですね、知りませんでした。大学に通っていても地元のことで知らないことって まだまだたくさんありますね。最後に、お二人のこのキャンパス農園活動に対する思いをお 聞かせください。
小池:話し合いの中でたくさん意見が出るのですが、その一つひとつを実行できると感じて いて、そういう環境があるのがありがたいです。自分たちも楽しみながら動画作成していま すし、見た人にもぜひ楽しんでもらいたいです。普段の授業みたいな堅苦しい感じではなく 楽しみながら活動をしていくための工夫を、これからも考えていきたいと思っています。
このすがもプロジェクトを含めたサービスラーニングという授業は、高校までの教科書や資料の中で完結してしまう授業ではなく、“自分たち主導でやりたいことを実現できる” という強みがあるので、それを存分に活かして活動していきます。
―自分も楽しみながら相手も楽しませることのできる企画はとても素敵ですね。その楽し さを共有していくツールの1つとしてメディア班も頑張ります(笑) 山本さんはいかがですか。
山本:今、小池さんが言ってくれた通りで、自分のやりたいことを実現していく場になって いるなと思います。僕は、もともと課外活動としてキャンパス農園活動に関わり始めました が、それと同じことがこのすがもプロジェクトでできているので、通常の大学の授業とは違 い、まだまだたくさんの可能性が感じられます。僕は実際に大学内で農業がしたいと思い、 入学当初はいろんな先生などに掛け合っていた時期があって、その中で古田先生と出会っ て一緒にキャンパス農園の活動をし始めて、我ながらこれってドラマチックだなと思って います(笑)
やりたいと思ったことを行動に移していくことが大切で、そうして始まったこの活動に やりがいをすごく感じています。これからも自分のやりたいことに素直に動いていこうと 思います。

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今回のインタビューで、限られたスペースの中でも農業を楽しめると知り、非常に驚きまし た。農業を通じて地域の魅力発信だけでなく、自分たちの好きなことを好きなだけできる大 正大学の魅力も発信しているように感じました。 今回、企画していた伝統野菜に関する動画は、11 月 21、22 日にオンラインで開催され る鴨台祭で見られるようなので楽しみです。 今後は大正大学のエリアキャンパスとなっている南三陸とも連携して、活動範囲を広げる 予定もあるとのことで、地域をつなぐ活動がとても素敵ですね。


記事・山田知佳(メディア班ライター)
2020年8月17日取材

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