No hero,but dream⑤　未来部員会

当時「草木の会」では、未来部員会なるものが開催されていた。
「草木の会」の会員の子どもたちが、近所の会員さんの家に集まり、一緒にお祈りをしたり、「草木の会」の教義を学ぶのだ。

だいたい月に１回、日曜日に開催されることが多かった。
幼稚園の同級生の金本清は住んでいる地域が異なる為、その未来部員会では会わなかった。
彼よりももっと近所…同じ小学校に通う「草木の会」の会員の家庭の子たちが集まり、そこで顔を合わせる事になる。

私の小学校の同級生に、近藤雄浩（こんどうたけひろ）という男の子がいた。
眼鏡をかけていた細身の子だった。見た目、頭が良さそうではある。
彼は同じ「草木の会」の会員の家庭の子で、同じ未来部員会にも参加していた。

私はこの未来部員会が、あまり好きではなかった。
山田先生がすばらしいと言われても、あまりピンとこないし、変な事を言うと大人たちに怒られてしまう。
会員の大人たちは基本的には他のことにはすこぶる優しいのだが、こと山田先生を多少でも弄るようなことを言うと急に怒る場合が多かった。
近藤くんも、子どもなのにちょっと大人ぶろうとしている感じがするというか透かしているようなところを感じて、あまり話が合わなかったように思う。
言葉だけだったが、少し、いじめのようなものもあった。

我が家は両親が信仰熱心な為、未来部員会にも参加だけはするようにはしていた。