走りたい

大きな女の子は、大人になったが、走るのは好きではなかった。
なんなら、集団の輪の後ろをトボトボついていく方が好きなぐらい。

前々からオーストラリアに行きたいと話していた彼女にゴールドコーストマラソンの誘いがあった。
困った。行きたいけど、走りたくない。
何キロに参加する?10km?ハーフ?フル…はさすがに無いよね?
勝手に話が進む。
…じゃあ、ハーフで。
気づいたら、そう答えていた。

靴を買った。ついでにランニングウェアも。
トレーニング。同じ距離を走ってみた。
ツアー代振り込んで、旅行雑誌を買って…。

オーストラリアの7月は少し肌寒かった。

走った。
異国の地。美しいな青空と海。カラフルな仮装した人。風船を付けたペースメーカー。

折り返し、疲れてきた。
道沿いの応援。自分よりはるかに体格のいい人。
まだ、いける。私には負けられない。

ゴール。気持ちいい。
ツアーテントが待っている。

帰りの飛行機。明日から日常がはじまる。
次はどこで走ろうか。

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