見出し画像

【書評・要約】Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法

Think Smart から学ぶ、行動から生まれる思考の科学


Think Smartってどんな本?

「どうすれば、幸せになれるのか?」

「どうすれば、成功するのか?」

こういう問いはよく聞きます。



でも、この問いには的確に答えるのは不可能です。

ただ代わりに、間違ったことに対してはっきりと「NO!」と言えます。



あの有名な伝説の投資家、

ウォーレン・バフェットは、

自分自身とビジネスパートナーのチャーリー・マンガーについてこんなふうに言っています。



「私たちは、ビジネスにおける難問の解決法を学んだわけではない。学んだのは、難問は避けたほうがいいということだ」



Think Smartでは、成功への道を示すことはしません。

代わりに、間違った思い込みを避けることで、

成功に近づくための知恵をあたえます。


Amazonリンク → https://amzn.to/3f3UXf7


この記事の説明

Think Smartは、52章にもわたる内容になっています。

なんか、52章って多いですよね。

こんなに多いと、しっかりと学べるか不安になりませんか?



ぼくはもっと少ない方がうれしいです。

だって、52個も覚えられないから!

絶対に無理!



なので、52章を重要な点だけにしぼりました。

すごく頑張ってぎゅーっとしぼった結果、

3つにまでなりました。



1、事前準備・情報収集

2、行動・選択

3、失敗・成果から学びを得る



3つのテーマに分けてみました。

気になるところだけでも、読んでみてください。


情報のいいとこどりをどうぞ。




著者の紹介

ロルフ・ドベリ

1966年にスイスで生まれた作家、実業家です。

スイス航空の子会社の数社で、最高財務責任者と最高経営責任者を務めました。

後に、ビジネス書籍の要約を提供する、

オンライン・ライブラリー「getAbstract」を設立してます。



そして、

科学、芸術、経済における指導者の人々のためのコミュニティー

「WORLD.MINDS」を設立しました。

そこで理事を務めてます。



35歳から執筆活動を始めて、

著書は40以上の言語に翻訳出版されいます。

累計発行部数は300万部を超える、ものすごい人です。



1、事前準備・情報収集

情報が多すぎると判断できない

あなたは

決心して何か行動する時に、

事前に情報を集めますか?



多くの人はしっかりと情報収集をすると思います。


たとえばブログを始めるとしたら、

  • ブログに必要なもの

  • ブログの始め方

  • 文章の書き方

  • ブログのネタの集め方

  • ワードプレスの始め方

  • 広告って何?

など、たくさん調べますよね?


もっと身近なたとえだと、

旅行に行くときに、旅行先のことを

しっかりと調べますよね?


  • 観光する場所

  • 予約したホテルの周辺

  • おいしい食べ物

  • 気温や天気


あげたらキリがありません。


何か行動する時に情報収集することは、人間の習性です。

もっとたくさん情報を集めないとって考えるのは習性の影響です。


ですが、

情報は多すぎると判断ができなくなってしまいます。

情報過多になってしまうと、決断の質が下がるんです。



逆に、

最低限の情報量で生活すると、判断力が高まります。

「無関係な情報でも集めたくなる」という衝動に駆られた時は注意しましょう。

追加情報は無駄なだけでなく、マイナスに働くこともあるからです。



得意なもの基準で見てしまう

誰もが「自分の得意分野」に偏ったものの見方をしてしまいます。

物事にたいして、得意な分野の目線で見ててしまうんです。

この現象は誰にだって当てはまります。


たとえばこんな話があります。

ある男が融資を受けて会社を設立したが、会社はすぐに倒産してしまった。男はうつになり、自ら命を絶った。

ThinkSmart

あなたはこの話をどう解釈しますか?


経営学者なら、起業に失敗に終わった理由を知りたいでしょう。

「その男にはリーダーの資質がなかったのか?」

「戦略が間違っていたのだろうか?」

「競争が激しすぎたのか?」



マーケティングの専門家なら、

「ターゲット層の設定を間違えたのか?」と推測するでしょう。


作家なら、

「この出来事を物語にするにはどうすればいいか?」

と頭をひねるでしょう。


精神科医は、

セロトニンの低下によるものと考えるかもしれない。


ですが、いったい

どれが「正しい」視点なのでしょうか?



どの視点も正しくないのです。


「道具がハンマーしかない者は、どんな問題のなかにも釘を見るものだ」というアメリカの作家、マーク・トウェインの言葉があります。


これは、

誰もが自分の得意分野に偏ったものの見方をするというものです。

「職業による視点の偏り」傾向です。



人は、自分の得意なものが、思考モデルを構築してしまいます。

物事の基準は、その小さな思考モデルを使って判断されるようになるので気をつけましょう。


自分のことがちゃんと見えていない

自然と、他の人も同じ考えだと思ってしまいます。

人は、「自分の意見が多数派」と思い込んでしまう習性があります。


たとえば、

「60年代の音楽と80年代の音楽では、どちらの方が好きですか?」という質問をすると、どちらを選ぶ人のほうが多いと思いますか?


こう訊くと、ほとんどの人は「自分」を基準にして推測をします。

あなたが60年代の音楽が好きなら、ほかの人もそうだろうと考えます。

80年代も同様です。


人は自分たちが多数派だろうと考える習性があります。



そして人は、

ほかの人たちと自分の意見の一致を過大評価する傾向があります。

ほかの人たちも自分と同じように考え、同じように感じているのだろうと、ついそう思い込んでしまいます。



この思考の誤りは、「偽の合意効果」という名前です。


自分のものの見方が主流だと思い込まないように注意するのが賢明です。



仲間意識の罠

仲間って大事ですよね。

この意識は、はるか昔からある人間の習性のようなものです。



まだ人が言葉を使えない時代から、人は集団行動をしていました。

その理由は生き残るためです。

「はじめ人間ギャートルズ」というアニメを思い出してください。

あんな時代が人間にもあったのです。



食事をするのに狩をする必要があります。

ですが、狩をするのも人ひとりでは満足にできません。

そして、外敵から身を守ることもむずかしいです。

孤独な人間は死んでいたのです。


太古の人は生きるために、

言葉がなくても、仲間をつくり集団で生活をしていました。


この習性は現代の人間にもしみついています。

では、仲間意識はどのくらいの「強いつながり」があると意識するようになるのでしょうか?



実験の結果から、

どのような意味でもグループ分けされたら、メンバーを特別に感じると言われています。

仲間意識の理由なんてなんでもいいんですね。



コインを投げて表が出たか裏が出たかで、お互いに面識のなかった人をふたつのグループに分けました。

1つのチームには、「このグループに分けられた人は全員、特定のタイプの芸術を好む傾向にある」と告げました。

もちろん、そんな傾向はありません。



彼らは、お互いのことを知りません。

ただ、単なる偶然からよせ集められました。

しかも、芸術のことなどまったくわからなかったんです。



ですが、驚くべきことが起きたのです。


「同じグループのメンバーを、もうひとつのグループのメンバーよりもずっと好ましいと感じた」

と言っているのです!


仲間意識が芽生えたんですね!


仲間と認定するのに、

お互いのことを知っている必要はなくて、

単なる偶然の集まりでもよくて、

共通点がなくてもいいのです。


つまり、こういうことです。


なんかよくわからないんだけど、グループ分けをされた。

特定の芸術を好むグループなんだって。


でも、ぼくは芸術のことは詳しくもないし、もっと言うと芸術なんて好きでもない。


なのに、メンバーのことを仲間だって思えるんだよね。

だから、もう一方のグループの人よりも、同じグループのメンバーの方がいいと思う。


よくわかんないけどそういうこと!



こういうふうになっているんですね。

グループ分けさえされれば、誰だっていいってことになりませんか?


そして、

集団にしてしまうと、人は「感覚のずれ」ができます。

この「感覚のずれ」は危険です。



家族が困ったときに助け合うのは自然な反応です。

あなたと同じ遺伝子を持つ兄弟を助けるのは、生物学的にも正しい意味を持ちます。



この感情を利用した馬鹿げた思考の誤りがあります。

それは、「兵士として前線に赴く」ことです。



偶然に形成されただけの集団に家族のような感情を抱き、自分の命を犠牲にしてしまうことがあります。

「祖国」という言葉を使って国と兵士との間に血縁関係があるかのように思わせます。


軍事訓練の目的が例外なく、兵士たちを「兄弟」として一体化させることに置かれているのも偶然ではありません。


結論として、

部外者に対して先入観を持ったり反感を抱いたりするのは、生物学的に自然なことです。

ですが、集団と自分を同化すると、あなたのものの見方には歪みが生じます。


気をつけよう!


2、行動・選択

選択肢を多く残しておきたい

紀元前三世紀の話。

楚の武将であった項羽は、秦軍と戦うために軍を率いて黄河を渡った。



そして兵士たちが眠っているあいだに、

川を渡るときに使った船をすべて燃やし、その翌日、兵士たちにこう言った。

「おまえたちに残された道は、勝つまで戦うか死ぬかの、どちらかしかない」



項羽は兵士たちの帰路を断って、彼らの意識をたったひとつの重要なこと、戦いに集中させたのだ。



なぜ、帰りの船を燃やすことまでしたのか?

それは、

私たち普通の人間は、「できるだけ多くの選択肢を残しておこう」とするからです。

この欲求は、ものすごく強いのです!



できるだけ「多くの選択肢」を残しておきたいという心理は、おさえられない欲求です。

それは、損をすることになっても、「選択肢を失いたくない」という衝動にかられます。

なので、損をしないために、注意して選択肢を断つ必要があります。



なぜ、人は損をすることがわかっていても、「選択肢を失いたくない」欲求に勝てないのでしょう?

それは、そうすることによって生じる「不利益」が、はっきりとわからないからです。

曖昧なことが苦手なんです。



なので、私たちは学ぶべきです。


選択肢を持つことにはコストがかかります。

選択権を持つことで不利益が生じる場合もあるのです。

目に見えないので、実感はできません。



「選択肢を保留することは、損をする」

覚えておきましょう!


悪いところは隠そうとする心理

人は、都合の悪いものを隠蔽するクセがあります。

それは、現代社会のさまざまなところで見てとれます。



たとえば、ホテルのウェブサイト。

かなり印象がいい写真ばかり掲載されています。

書かれている説明も、いいことばかりです。



ですが、実際にホテルに行ってみると、ウェブサイトの印象と違うことにすぐ気がつきます。

もちろん私たちはそのことを承知しています。

たとえ、チェックインするロビーがみすぼらしくても、あまり気にしません。

すべてがウェブサイトの印象どおりだとは私たちは期待していません。



このホテルがしていることは「チェリー・ピッキング」と呼ばれるものです。

チェリー・ピッキングとは、たくさんの事例のなかから自分に都合のいいものだけを並べ立てることです。



これはもちろん、ホテルだけではありません。

車や不動産、弁護士事務所のパンフレットやウェブサイトを見ると、同じように「チェリー・ピッキング」をしているものが多くあります。

パンフレットにはよいことしか書かれていないとわかっているため、私たちが全て鵜呑みにすることはありません。



ですが、そうもいかないものもあります。


それは、企業や財団や公的機関の業務報告書などです。

私たちはそうした文書には、客観的な事実が書かれているだろうと考えます。



ですがそう思うのは間違いなんです。

そういうものでもチェリー・ピッキングは行われています。

実現できた目標は大きく扱われますが、実現できなかった目標については言及すらされません。



「達成できなかったこと」に目を向けてチェリー・ピッキングを回避しよう。



スキルの錯覚

次々と、会社を成功させる人がほとんどいないのはなぜでしょう?



企業家のうち、次々と会社をおこして成功させる人は少ないです。

スティーブ・ジョブズやイーロン・マスク、リチャード・ブランソンの名前はよく知られていますが、彼らはごく少数派です。



会社の創業者のうち複数の会社を成功させている人は「全体の1パーセント以下」にすぎません。

成功するか失敗するかっていうものは、スキルよりも運なのです。



実は、成功の決定的な要因は能力でも努力でもないのです。

確かに必要な要素ではありますが、決めてにはならないのが事実です。



能力で成功できるのなら、もっと多くの人が成功させているはずです。

会社を起こそうと考える人は、人よりも努力しています。

能力が高い人は多いのです。



なので、成功するか失敗するかっていうものは、スキルよりも運なのです。


3、失敗・成果から学びを得る

自分の強い確信は疑えない

ブルーノは、ビタミン剤の製造会社を経営してます。

父親が起こした会社で、設立当時にはまだ、ビタミン剤はあまり普及していませんでした。

一般の人々が気軽に摂取できるサプリメントではなく、医師によって処方される薬のひとつだったのです。



1990年代初頭にブルーノが会社を継ぎました。

その時には、ビタミン剤の需要は飛躍的に伸びた時期です。

ブルーノはチャンスを活かすために、できるかぎりの借り入れをして、製造量を増やしました。

いまでは、もっとも成功したビタミン剤製造業者のひとりとして知られています。



ブルーノは子どもの頃から毎日、3種類のマルチビタミン剤を飲み続けています。

ジャーナリストに、「ビタミン剤の摂取は健康促進に効果があるのか」と聞かれたとき、ブルーノは、こう答えました。


「そのことについては大いに確信を持っています」

あなたはブルーノを信じますか?



そしてもうひとつ、

あなたに質問です。



「あなたが固く信じていること」はありますか?



それは、金の価格は今後5年間上がり続けると確信しているかもしれません。

神は存在すると信じているかもしれません。



あなたの確信していることがなんであっても、それを文章にして書きとめてほしい。

あなたはそれを信じますか?



あなたはきっと、「ブルーノが確信していること」よりも、「自分が確信を持っていること」のほうが信憑性があると思ったのではないでしょうか?



自分が確信していることは、曲げられません。

たとえ、他の人が最もなことを言っていても。



情報源の欠落

第二次世界大戦中、どの国でも「プロパガンダ映画」が製作されていました。

兵士だけでなく国民全体が、祖国のために戦うのです。

場合によっては死ぬ覚悟を求められました。



アメリカはプロパガンダ映画のために多額を投資をしていたため、映画製作が本当に割りに合うのかを調べました。

数多くの調査を実施し、「一般的な兵士の行動がプロパガンダ映画を見たあとにどう変わるか」を突き止めようとしました。



結果は期待はずれでした。

映画は、兵士の戦意高揚には少しもつながっていなかったのです。



映画の出来が悪かったのでしょうか?

違います。



兵士たちの行動が変化しなかったのは、

それがプロパガンダ映画だということが初めから明らかだったからです。



もう最初からわかっていたんですよ。

なんのための映画なのかを。



映画の中で主張される理論がもっともだと思えても、

感動的なつくりであっても、映画の効果を発揮されるわけがありません。




ところが、二ヶ月後に予想外のことが起きたのです。

心理学者が戦争に対する兵士たちの考え方を再度調べました。



二ヶ月前に映画を見ていた兵士は、見ていない兵士よりも、

戦争に対して高い共感を示したのです。



プロパガンダ映画にはやはり効果があったのです!



ですが、研究者たちは首をひねりました。

「説得力」というものは時間とともに弱まることが明らかだったからです。



なんと驚くべきことに、

プロパガンダの場合はまったく逆だったのです。

プロパガンダの影響は時間とともに強くなります。



人は「情報の入手先」は早いうちに忘れてしまうが、「情報そのもの」はすぐには忘れないのです。



なので、

信用度の低い情報源からの情報でも、時間とともに信用の度合いは上がっていくというわけです。

そのメッセージの低い信頼性は忘れてしまい、内容だけが残ります。



月日が経つと、情報は覚えているが、情報源を忘れてしまうもの。



努力の正当化

マークは、錆びついたハーレーダビッドソンを自力で修復している。

動かなくなったバイクをなんとか走れる状態にしようと、休日や仕事後の時間をすべて使って修復に明け暮れました。

さんざん苦労したすえに、走れるようになったのです。

これは、もうお宝ですね。



2年後、マークはどうしてもお金が必要になりました。

なので、ハーレーを売ろうとしました。

ですが、マークの希望価格は現実からはるかにかけはなれていました。

購入希望者が市場価格の倍の値をつけても、マークは売ろうとしませんでした。


ここから学べることは、

努力をして手に入れたものの価値を過大評価してしまうということです。


努力して手に入れたものには、より価値を感じるものです。



Think Smartの結論

よく人は、

成功の方法を求めます。



プロの野球選手にインタビューで、「プロになれた秘訣はなんですか?」と聞きます。

TVでよくみる光景です。



このような質問は、人によっていろんな答えが出てきます。

1問1答では正確には答えられないからです。



プロの野球選手になりたかったら、その答えの通りに頑張れば本当になれるのでしょうか?

まあ、無理ですよね。



しかも、成功するために必要なことって、真剣に取り組んでいる人はすぐに見えてきます。

だったら、成功の秘訣を聞いてもしょうがない気がしてきませんか?



それよりも、

「間違ったことをしない方が、成功する確率が高くなる」

という考えが、このThink Smartです。



この本で学べる「間違った思い込み」を少しでも覚えて活かす。

それだけでもかなり成功に近づくはずです。



ぼくはこの本で印象深かったのが、「成功に必要なのは努力よりも運」です。

成功した人たちは、ものすごい量の努力をしたから成功したんだって思い込んでいました。



成功するためには運が必要なんだったら、確率を上げる行動をするべきです。

1点集中で努力するのは、大穴狙いで低い確率です。

時代の流れを読んで、よさそうなものに努力する。

そして、違ったと思ったらすぐに、違うものに取り組む。


この柔軟性が成功の鍵なのかなって思います。


Amazonリンク → https://amzn.to/3f3UXf7

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?