伝えたい気持ち
am 3:42
夜明けには少し早い時間に目を覚ました。
少し寒いな。
薄手のマウンテンパーカーを羽織り、
空気を吸いに外へ出てみると、昨日の嵐が嘘のように静かだった。
冷たい空気を肺いっぱいに吸い込んでみる。
悪くない。
何か良い一日が始まる。
そんな気がした。
タバコに火をつけ、夜明け前の街をぶらつくと、
遠くから聞こえるバイクの音が、動き出す一日をリアルに感じさせた。
部屋に戻り、エスプレッソを淹れる。
日常を彩るような、そんな香りが満ちていく。
ミルクのようなキメ細かい泡立ちのクレマ。
深いコク、ボリュームが凝縮されたボディ。
余韻を楽しむような、深い香りのハート。
時間を忘れ、思考さえも手放す。
それは、とても心地のいい一時だ。
余韻を充分に楽しんだ後、
いつもより早く、家を出た。
【エピローグ】
午前の仕事を終え、タバコをふかす。
残っていたのは、空き箱。
俺はタバコを求め、コンビニへと向かった。
一軒目。
俺の相棒はいなかった。
二軒目。
やはり、おれの相棒がいない。
くそ、どうなってやがるんだ。
俺は三軒目へとクルマを走らせた。
あった。
「136番のタバコ、ください。」
「400円になりますん。」
「あ、あと、ちいちゃいコーヒーも」
「500円になりますん。」
すっかり気分を良くした俺は、店員さんにお礼を言いたくなったんだ。
けれど、帰ってきたコトバは
「は?」
だった。
そりゃ、そうさ。
だって、俺の口から出たコトバは
「ごちそうさま。」
だったんだから。
コンビニを出た俺を、爽やかな青空が包み込んだ。
ごちそうさま。
使う場面が違うよな。