マガジンのカバー画像

YAU PROJECT

12
YAUが主催する企画の、開催レポートをまとめたマガジンです。
運営しているクリエイター

記事一覧

都心のビルの隙間でも、人は自然とつながれるのか? |Urbanist Camp Tokyo2023 効果検証レポート

都市体験のデザインスタジオ「for Cities」とYAUが連携し、大丸有エリアのアーバニストを育成・発掘するプログラム「Urbanist Camp Tokyo」。2023年度の開催では、効果検証パートナーとして東京大学総括プロジェクト機構特任講師の山崎嵩拓さんに参加いただきました。体験者に向けたアンケート調査など、プログラム全体を通じて効果検証を行いました。本稿では、山崎さんによる論考をお届けします。 文=山崎嵩拓 写真=Daisuke Murakami / Aiko O

生き物らしくあれる居場所をどうつくれるか? - 五感を解放する「野台」をまちに(後編)

都市体験のデザインスタジオ「for Cities」とYAUが連携し、大丸有エリアのアーバニストを育成・発掘するプログラム「Urbanist Camp Tokyo」。講義・リサーチ・アイディエーションを行った第1期のレポート前編につづき、後編では第1期で生まれたアイデアをもとにfor Citiesと建築家・アーティストのEugene Solerも実際に取り組んだ第2期の制作、第3期のまちへの実装の模様をお届けします。 文=for Cities(石川由佳子 / 塚本亜里菜) 写

生き物らしくあれる居場所をどうつくれるか? - for Citiesと32名のアーバニストの半年間の挑戦(前編)

2023年9月〜2024年3月、都市体験のデザインスタジオ「for Cities」とYAUが連携し、大丸有エリアのまちを自分たちの手でつくる人材(アーバニスト)を育成・発掘するプログラム「Urbanist Camp Tokyo」を開催しました。「再野生化」というテーマに集った32名の参加者と、「身体感覚」「生命力」「人間と人間以外の関係性」「土地との関係性」といったキーワードのもと、リサーチ・提案・効果検証を実施した様子を、前後編に分けてfor Citiesの石川と塚本がレポ

ジャーナリストがアート・イベントでバイトしてみたら——「YAU OPEN STUDIO ’24」レポート

2023年11月、これまでの有楽町ビルから、近隣の国際ビルに拠点を移した「YAU(有楽町アートアーバニズム)」。2024年3月、この移転に伴う新スペースのお披露目も兼ねて、4日間の「YAU OPEN STUDIO ’24」が開催された。アーティストがまちに繰り出したこのイベントの模様を、フリーランスライター・編集者の桑原和久が伝える。 文=桑原和久(フリーランスライター・編集者。「日本環境ジャーナリストの会」会員) 写真= GC Magazine ◾️YAUと、日本の地域

YAU × サッポロ・パラレル・ミュージアム エクスチェンジプログラム――交差なき通過/漸近の身振りによせて

2023年10月、YAU STUDIOが拠点としていた有楽町ビルは大丸有エリアの再開発に伴う閉館を迎え、YAUははじめての移転を経験した。有楽町ビル10Fから国際ビル7Fへ。アートが持つ創造力を都市にどう取り入れていくべきかを議論し実践しているYAUはゆっくりと、しかし確実に進行している再開発の中で、さまざまな場所の可能性とあり方を引き続き探求している。 2022年より開催している、「サッポロ・パラレル・ミュージアム」とのエクスチェンジが今年も実施され、今回は東京から三野新

【10/9-10/22】『YAU TEN '23』 開催します

こんにちは! 「有楽町アートアーバニズム」略して「YAU(ヤウ)」編集室です。 来る2023年10月9日から22日まで、同タイトルのイベントとして2回目となる『YAU TEN '23』を開催します。 YAUの活動拠点 YAU STUDIOが位置する有楽町ビルは、1966年に開業してから半世紀が過ぎ、まもなく閉館を迎えます。これからも、ビジネスセンターである有楽町が多様性をさらに受け入れ、クリエイティブなまちづくりに向かう船出にYAUは立ち会い、有楽町ビルとこれまでの数々の出

次世代に力を蓄えてほしい。表現の現場における「ブルペン」はどのようにつくれるか?

YAUでは、定期的に「SOUDAN」と題した相談所プログラムを開催し、表現の現場で活躍する様々な専門家を相談員に迎えて、来場者のアートとビジネスにまつわる悩みを一緒に考えてきた。2023年3月28日に開催された「ブルペンー次世代の肩を温めてる話ー」も、SOUDANの一環である。 タイトルになっている「ブルペン」とは、野球場で次に登板予定のピッチャーが肩を温める場所のことを指す。本来の力を出し切りながらも肩を壊さずに長くやっていくための重要な場所だが、野球から表現の現場に置き

YAU × サッポロ・パラレル・ミュージアム エクスチェンジプログラム

サッポロ・パラレル・ミュージアムは、札幌駅前通のまちなかとウェブサイト上の2ヶ所同時でアート作品を楽しめる展覧会で、新型コロナウイルスの流行で減少したまちの回遊性を高めるとともに、世界中どこからでもアクセス可能な展覧会として、2021年に誕生した。 主催の札幌駅前通地区活性化委員会(事務局:札幌駅前通まちづくり株式会社)は、この地区に働き、集うみなさんが快適に、楽しく過ごせるようさまざまな取組みを行っている。にぎわい創出の手法検討と実施を目的に、駅前通沿道企業や札幌市など

舞台芸術と社会をつなぐ「最初の一歩」——ファーストラインという試み

芸術文化と社会をつなぐために必要なものは何か。アートマネジメントはそれを考え、実践する営みだ。舞台芸術の分野においてその担い手は制作やプロデューサー、あるいはコーディネーターなどと呼ばれることが多い。 「有楽町アートアーバニズムプログラム YAU」の一環として実施された「ファーストライン」は、舞台芸術を主としたアートマネジメントに興味のある10代から20代を対象とした交流プログラムだ。 公募によって選ばれた参加者は、学生からすでに制作者として活動する若手まで11名。202

潘逸舟、菅野歩美、チーム・チープロが有楽町を舞台に新作を制作。アーティスト招聘プログラムが実施中の「YAUオープンスタジオ」をレポート

就労者人数約28万人という東京の大手町・丸の内・有楽町エリア。この都内有数のオフィス街で有楽町アートアーバニズム実行委員会が運営する「有楽町アートアーバニズム(YAU)」は、アートとビジネスのプレイヤーの交流を促し、街とクリエイターが相互に高め合える土壌づくりを目指す実験的プロジェクトだ。 3月9〜12日、プロジェクトの拠点であり、日頃から多くの表現者やアート関係者、ビジネスパーソンが出入りする有楽町ビル10階の「YAU STUDIO」にて、オープンスタジオが開催された。期

有楽町の街とアーティストの交差から生まれるもの──「アーティスト招聘プログラム」中間報告会レポート

オフィスビルの一角をアーティストやアート関係者に開き、有楽町の街やそこで働く人々との相互作用を促すプロジェクト「有楽町アートアーバニズム(YAU)」。その一環として2023年2月から始まったのが、潘逸舟、菅野歩美、チーム・チープロという3組のアーティストを招き、有楽町を舞台にリサーチや制作を行う「アーティスト招聘プログラム」だ。5月末に予定されているその成果発表に向け、4月26日に行われた中間報告会の様子を、編集者/ライターの坂本のどかがレポートする。 文=坂本のどか(編集

アーティストと夜の大丸有を歩いた。東京藝大の授業5DAYS|〈ストリート・スタディーズ〉開催レポート

有楽町駅前の路上に裸足で立つ。歩道の石畳の溝に生える苔に懐中電灯を当てて大人たちが覗き込む。丸の内にそびえ立つビルの外壁をどう登るかをみんなで考える。3分間スローモーションで歩く。この街にスケートボーダーがいた(いる)痕跡を探す。ARで未来に設置されるかもしれない看板を街にインストールする……。 いずれも、YAU STUDIOを拠点に行われた〈東京藝大アーツプロジェクト実習 丸の内〉によって社会人と学生向けに5日間連日開催された夜間ゼミ〈ストリート・スタディーズ〉の一コマで