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【レポート】「ネイチャーピアノコンサート」に行ってきました!

信州アーツカウンシルでは令和5年度より、ピアニスト・平澤真希さんによる「ネイチャーピアノ」コンサートを支援しています。
自然の中にグランドピアノを持ち出し、自然の中の小鳥のさえずりや、風のざわめき、渓のせせらぎ、それらに呼応するかのような、平澤さんによるピアノ演奏を映像に残してきたこのプロジェクト。今回、ネイチャーピアノ初の試みとして、野外コンサートが行われました。その様子をレポートいたします!

7/29(土)午後、「ネイチャーピアノ」コンサートは、標高1700メートルにある入笠の森(伊那市)で行われました。美しい国有林のなかにグランドピアノがたたずむ風景に、コンサートが始まる前から期待が高まります。▼

入笠山の山中にグランドピアノを設置。
黒河内国有林の中の林がコンサート会場。

そして、なんといっても涼しい会場。地上よりも10℃ほど低く、澄んだ空気のなかで、自然の音もクリアに聞こえてきたのが印象的でした。

ピアニストの平澤真希さん。

演奏曲目は下記の通り。クラシックから現代曲、また平澤真希さん作曲の曲まで、バラエティに富んだ曲目となりました。

プログラム
タイスの瞑想曲(マスネ作曲)
G線上のアリア(バッハ作曲)
水のプレリュード(平澤真希作曲)
天への回帰~龍(平澤真希作曲)
ノクターン2番(ショパン作曲)
ワルツ嬰ハ短調(ショパン作曲)
戦場のメリークリスマス(坂本龍一作曲)
スタンドアローン(坂の上の雲より)(久石譲作曲)
間奏曲(ブラームス作曲)
ラ・カンパネラ(リスト作曲)
愛の夢 3番(リスト作曲)
青の記憶(平澤真希作曲)
ふるさと(岡野貞一作曲)

「ピアノの音を聴いてもらうというよりも、ピアノの音を通して、鳥のさえずりや川のせせらぎなど、自然の音に耳を傾けてほしい」と話す平澤真希さん。その言葉の通り、ピアノの演奏に耳を傾ける中で、おのずと自然の音が気持ちよく耳に飛び込んできます。

時折自然の音に耳を傾けながら演奏する平澤さん

また、今回のコンサートで特徴的だったのは、椅子は観客自身が持ち込む点。自分で用意した椅子を、思い思いの場所に置きながら、どなたもリラックスした状態で音楽と自然の音に耳を傾けていました。また、中には地面に直接座ったり、寝転がる人も。観客自身がなるべく自然体になることで、よりコンサート、ひいては自然環境を楽しめるような仕掛けがほどこされていました。

コンサート終了後、希望される方はそのまま入笠山で過ごすことができました。私たちは夕食のカレーまでをご一緒しましたが、鹿肉を使ったカレーはスパイスが効いて絶品でした!
その後も参加者の皆さんは、月明かりのもとで平澤さんのピアノ演奏や、天体観測、キャンプファイヤーなどを楽しまれたのではないでしょうか。
さらに翌朝は、朝食を終えた後にトレッキングが予定されており、まる1日を入笠山の美しい自然の中で過ごす、贅沢なプログラムでした。

最後に、事業全体を通しての感想を少し。「ネイチャーピアノコンサート」は、その名の通り、自然の中にグランドピアノを置いて演奏するという、内容自体はとてもシンプルなものです。しかし、シンプルだからこそ、そのインパクトも強く残ります。”自然と対話するようにピアノを弾く”というと安直ですが、こんなにも外部(自然)とのつながりを保ったまま、ピアノを弾けるものなんだという驚き。ピアニストの技を見せるのではなく、ピアノを通して、自然と対話しているような、そんな印象を受けました。

なお、今回のコンサートは映像として見られるようになるそうなので、お楽しみに。過去の「ネイチャーピアノ」の動画は、こちらからご覧いただけます。

(文:藤澤智徳、小野佳奈)

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