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Arts & Craftsメンバー自己紹介①/ケケ a.k.a 瀧原 慧(march on by Counterpoint)

 Arts & Craftsのメンバー紹介を行っていこうと思います!

 まず最初は、Arts & Craftsの喩えツッコミ担当兼、いじられ兼、共同代表のケケこと瀧原慧(タキハラケイ)です。
 尚、「ケケ」というあだ名は大学で局地的に呼ばれているもので、Arts & Craftsのメンバーは皆が総天然のボケ担当であります。


Q1.各自の活動、自己紹介をお願いします!


 Arts & Craftsの共同代表を務めさせて頂いております。タキハラです。
普段はCounterpointという屋号で活動しており、アート事業の調査から、ワークショップ(企業向けや自治体系向けでも...)の企画やファシリテーター、工場(金属加工など)ものづくり系の企画・製作相談などを請け負っております。SHIBUYA QWSで主たる活動としている"march on"は、クリエイターと工場の間での共通言語をつくって、コラボレーションに寄与するのが目的のメディアプラットフォームです。


 一応学芸員資格を持っていて(後述)、家業が大田区で金属加工業を営んでいること、大学院でデザイン思考を学んだことによって深まった美大コンプを無くすために行ったロンドンとNYへの美大留学(全然デザインエンジニアスキルは持ち合わせておりません)により、作家でも職人でもデザイナーでもない中途半端な人間となったため、それを逆手にとって領域横断的に橋渡しをする「翻訳家」として活動をして今に至ります。
 アート以外で好きなもので言うと、リヴァプールFCが大好きです。

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Q2.工芸・アートの興味を持ったきっかけは?


 大学に入るまで遠足以外ではほとんど美術館に行ったことがないのに、友達付き合いで大学で美術鑑賞サークルに入っていました。ある日そのサークルの合宿で、「群馬ガラス工芸美術館」に連れていかれたんです。そこで、アルフォンス・ミュシャの絵を観て「このミュシャってのかっこいいね」と女の子の友達に言うと、その女の子も西洋美術史専攻なもんだから、「でしょ!」と。そして「今度森アーツセンターギャラリーでミュシャやるよ」と教えてくれたのが「ミュシャ展―パリの夢 モラヴィアの祈り」だったのです。

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 丁度、先のガラス工芸美術館ではガレやラリックの作品があり、アール・ヌーヴォーにはまっていきました。そうするとあとは樹状に興味が広がっていきます。アール・デコ、ラファエル前派、印象派... きっかけとしてはそんなところでしょうか。そこから美術館の裏側の見え方も気になってしまい、そのまま学芸員課程も取ってみようと思ったんですね。
 そもそも、ぼくが大学では史学専攻ということもありまして、資料集の中でしか観なかった文化史が体験を伴なって知識として染み込んできたことも楽しかったのだと思います。

Q3.思い出に残ってる工芸・アート(展覧会)は?


 神奈川近代美術館での「カイ・フランク展」が最近のお気に入りです。ガラス工芸の領域です。製造法は金属加工と少し似ているところがあり、ガラスはアール・ヌーヴォーにおける「新素材」として知ってから憧れがあります。いつか墨田区のガラス工場に見学に行きたいなと強く思うようになったきっかけがこの展示です。学芸員さんのギャラリートークでは、カイ・フランクという「フィンランドデザインの良心」とも呼ばれたデザイナーのエピソードトークを聞くことができました。ビールケースを持ってガラス工場を訪ねたり、上着のポケットにジャラジャラとコインを入れていって「好きなだけ使ってくれよ」と気前よく持って行かせたりと、現場の職人へのリスペクトや優しさみたいなところがあった人なのだと聞けたのがグッときました。

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 留学中にTATE Britainで観た"Impressionists in London"という展示では、その名の通り印象派画家たちがロンドンで観たものを描いた作品が展示されており、時代こそ異なるものの、「外国人が見たロンドン」への共感がそのまま作品への感動に繋がった思い出があります。また、最後の思い出づくりにリヴァプールへ行った時(メインは先の画像の通りリヴァプールFCの試合を現地で観る目的でしたが)、TATE LIVERPOOLでの"John Piper"展ではコラージュ作品の面白さを知りました。
 パイパーの作品は反戦要素が強かった印象なのですが、これは時代を近くしてドイツのダダイストたちによる社会批判の込められたコラージュが一時代を築いていたように、素材にされた写真入り雑誌や新聞という時代性を反映するものを使うことでよりその思想や主張が研ぎ澄まされて作品に込められているんだなという気付きがあったのです。暗めの展示なのにグッときてしまい、「これは買わんと!」と義務感に駆られて図録を買いました。日本だとちょっとマイナーな作家なので、自分の中ではより特別な思い出となっています。

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John Piper / ©TATE


Q4.今後、目指す活動についてどうぞ!!

 march onもKAMADOもArts & Craftsも、「翻訳家」として今世の中に求められていることを行おうとしていると思います。日本は超少子高齢化社会という状況にあって、「ものが売れない時代」の中で文脈価値を重視する流れが来ています。自分の消費行動や経済活動、社会活動に意味や理念が求められる時代です。あらゆる産業がオープンイノベーションなどによってその価値を見つめ直そうとしていますが、その領域横断において必要なのは自分の知らない世界に対しての理解と尊重だと思います。様々な世界との共通言語を持つ「翻訳家」は、新しい世界を知ろうとする人々の先を歩いて案内し、馴染むように助けとなります
 ぼくもまだまだ勉強不足で一生終わらないような冒険に踏み出しているような気分ですが、「ものをつくり出す」という共通項の下で工業とデザインとアートの橋渡しを続けていきたいと思っております。
 また、"Arts & Crafts"というのは今から100年余り前の芸術運動で、「大量生産時代のその後」のビジョンを描いた意味でとても重要かつ憧れる出来事だとぼくは捉えているのですが、この活動を通じて過去の焼き増しではない「現代のアーツ・アンド・クラフツ」というのを模索していかなければならないなと思っています。「つくること」や「自分が美しいと思うもの」に一人一人が向き合うことで、文化の土壌というのができていくと信じています

↑以前自分の好きなものを書き連ねた記事です。

 次回のArts & Craftsのメンバー紹介は、
ぼくと同じく共同代表であり、"KAMADO"代表の柿内さんです!ぼくよりもずっと長くアートや工芸業界にいる方なので、お見逃しなく!!

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