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resilient

resilientは七転び八起き?

慶子さんこんにちは!
今日はresilientという言葉について質問です。
息子が通う学校(シンガポールのインターUnited World College)の
Qualities and Skillsにも出てくる言葉です。
ちなみに、Qualities and Skillsはこのようになっています。
Skills
Critical thinker 
Creative
Communicator
Self-manager
Qualities 
Commitment to care
Principled
Resilient
Self-aware
子どもたちは、学内の共通言語であるこの言葉たちをとても大切にしていて
英語を英語のままとらえているようなのですが
ザ、ニッポン人な親としては、これらの言葉を、自分たちでもかみ砕いて
しっかり伝えたい!
この素敵な思想にぜひ、日本文化的追い打ちをかけたい!
という気持ち(野望?)でいっぱいなのですが
正直、言葉のイメージが、まだもやもやしています。

他の言葉についても、慶子さんに聴いてみたいことはあるのですが
まずはこのresilientについて。
辞書で引いたら
はね返る、弾力のある、たちまち元気を回復する、快活な、溌刺(はつらつ)としたと出てきますが
これは日本語で言ったら…
七転び八起きとか、転んでもただでは起きない、とか
粘り強さのイメージでいいのかしら。
慶子さんの感じている世界観が聴けたら嬉しいです。
それでは今日も変わらず家コロナだけれど、楽しい一日となりますように。
Ai 拝



あいちゃん、こんにちは!

まずは、このニャンコ。
レジリエンス力発揮のための毛繕い真っ最中ってところでしょうか(笑)

猫と一緒に住んだことがある方はご存知かもしれませんが、猫は失敗したり、嫌なことがあって気を取り直したいときに毛繕いをします。(毛繕い=この写真の猫ちゃんのように体をペロペロして毛並みを整える行為)

そういえば、人間も気まずいときに頭を触って髪型を整えるような仕草をすること、ありますよね。体制を立て直すとき(レジリエンス力を発揮したいとき?)に毛並みを整えるというのは、動物としての本能なのかしら?

resilientという言葉が意識されるようになった背景


さて、ご質問のresilient。名詞形だとresilience。
最近は「レジリエンス」という言葉を日本語でも良く聞くようになりました。

実は私、90年代にアメリカをはじめとする英語圏で7年近く暮らしたけれど、その頃にresilient/resilienceという言葉を聞いた記憶がないの。忘れちゃっただけかもしれないけどね。

この言葉をよく耳にするようになったのは、2001年9月11日の同時多発テロ後くらいな気がします。
当時私は既に帰国していて、なりたてホヤホヤの新人通訳で、毎日ヒヤヒヤしながらCNNニュースの仕事をしていたのだけど、あの頃アメリカは「何とか立ち直ろう」「自分たちは大丈夫だ」という気持ちでresilient/resilienceという言葉を使っていたように思う。

その概念は2011年の震災のあとに日本にも入ってきたと感じます。(あくまで通訳の現場から見る私の個人的な感覚値でしかないけれどね。)講演会や海外からの日本の人々へのメッセージなどで、励ましの言葉として、あるいは「こうありたい」と願いながら、「resilient/resilience」という言葉が頻繁に使われるようになりました。

私たちは言葉でパワーを取り入れようとしている?

そう考えると言葉の力というのは凄いものだと思わない?だってresilientという言葉自体はもちろん同時多発テロの前にもあったはず。それが、自分たちが「この苦難を乗り越えてなんとか立ち直りたい!」と思った時に、その概念やエネルギーを言葉というtangibleな(有形化された)ものにして、拠り所にしながら、その力を自分の中に取り込もうとする意思すら感じられる気がします。(いや、むしろ凄いのは言葉の力を使って立ち直ろう、苦難を乗り越えようとする人間の生命力かな。)


また話が逸れました。すみません(笑)

輪郭が曖昧な言葉もある

あいちゃんがresilientの「言葉のイメージが、まだモヤモヤしています」と言っているけれど
実はこのresilient/resilienceって、通訳にもちょっと厄介な、訳し辛い言葉の一つです。
ざっと振り返って思い出すだけでも、「再起力」「回復力」「立ち直る力」などなど状況や聞いている人によって、訳し方をいろいろと使い分けてきました。ピッタリくる日本語がなかなか見つからないんです。個人的には「再起力」というのが一番近いかなと思うけど、文字で見る場合は良くても「サイキリョク」と音で聞くとイマイチ何のことだか分かりにくい。実際、通訳していて「再起力」と訳したら「?」という顔をされて他の表現に変えたことがありました。悩ましい。。。

因みに、最近は「レジリエンス」とそのままカタカナで言うのが一番伝わることが多いです。それだけこの言葉が日本でも定着したのでしょうね。

こうして書いていて思ったのだけど、もしかしたらresilient/resilienceという原語(英語)自体が明確な輪郭を持たないというか、人によってニュアンスが微妙に違う言葉なのかもしれません。一度ネイティブの方々にも聞いてみたいです。

あいちゃんが辞書で調べた言葉から考えた「七転び八起きとか、転んでもただで起きないとか、粘り強さ」は、まさに私が感じるresilient/resilienceの言葉の持つイメージです。

因みに、語源辞典によるとresilientの元々の意味は”spring back”(跳ね返す)で、これを人の特性を比喩する言葉として使われるようになったのは1800年代前半以降のようです。

Let's be Resilient!

それにしても息子ちゃんの学校で、こういったQualities & Skillsを教えているのは素晴らしいこと。ママであるあいちゃんも一緒に言葉の意味を考えながら、このQualities & Skillsが息子ちゃんたちに染み込んでくれると嬉しいね。(あ!また回答が質問の答えになっていない!!・・・汗)

新型コロナウィルス拡大で先が見えない今、まさにresilientでいることが必要なときです。毛繕いして気を取り直す猫を思い出しながら(笑)、粘りつよく、希望を持って、転んでもただでは起きない精神で、コロナ前より絶対に良い世界を作りましょうね!

慶子

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