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レビュー・批評

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芸術家や作品のちょっと長めの批評、コンサートや美術展のレビューなどを纏めて読めます。
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記事一覧

生の喜びが踊る -マティス展を巡る随想

【月曜日は絵画の日】 国立新美術館で開催中の『マティス 自由なフォルム』展に行って…

友情が紡ぐ夢の光景 -『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展について

八王子夢美術館で開催中の、『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展に行ってきました(6/2まで)。…

艶やかなレトロの美 -マツオヒロミ展について

4/6から東京の弥生美術館で開幕した、『マツオヒロミ展 ~レトロモダンファンタジア』に行っ…

AI時代に見直す、現代映画の名カメラマン10人

最近AIのイラストや、生成AIによる実写映像が話題になっています。しかし、いくらAIが画像や…

なぜ「映画史上1位」を『ジャンヌ・ディエルマン』は獲れたのか?

ランキングというのは、そのジャンルの実態を表す非常に興味深いサンプルです。内容の是非はさ…

偶然の歓喜 ー『第九』を楽しく聴く5つの方法【ベートーヴェン】

クリスマスも過ぎて、年末が近づいてきました。この時期になると、ベートーヴェンの『第九交響…

新しい潮流を感じる -「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館」展について【レビュー・批評#9】

先日、東京都美術館で開催中の、「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館蔵」展に行ってきました(4/7まで)。 ウスター美術館というマサチューセッツの美術館所蔵の、印象派やアメリカの印象派画家の作品を中心とした展覧会です。とにかく絵の一つ一つのレベルが高く、ボリュームもかなりあるので、非常に満足できる展覧会でした。 印象派前夜のコローやブーダンから、モネ、シスレー、ピサロといった印象派主流、そしてハッサムやメトカーフといった、印象派に影響を受けたアメリカ人画家、さらに

追憶と忘却の織物 -映画『瞳をとじて』、ビクトル=エリセの若さ【レビュー・批評#8…

現在公開中の、スペインの映画監督、ビクトル=エリセの新作映画『瞳をとじて』を観てきました…

【レビュー・批評#7】世界と溶け合う建築 -フランク・ロイド・ライト展について

先日、新橋のパナソニック汐留美術館で開催されている『フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ…

【レビュー・批評#6】 ゴッホの夢見た色彩 ー『ゴッホと静物画』展感想

先日、新宿のSOMPO美術館で現在開催中の『ゴッホと静物画 伝統から革新へ』展に行ってきまし…

【レビュー・批評#5】重力の中で愛すること -スタンダールの作品世界

フランスの19世紀の小説家、スタンダールの作品世界では、重力が全てを支配します。ここで言…

【レビュー・批評#4】古びたものを再発見するということ ―『もうひとつの19世紀』…

現在、上野の国立西洋美術館で開催中の『もうひとつの19世紀 ブーグロー、ミレイとアカデミ…

【レビュー・批評#3】チェーホフ『桜の園』ラネーフスカヤ夫人に観る、過去を超えると…

前回のエッセイで、映画において、歴史や過去をいかに体感させるか、ということを書きました。…

【レビュー・批評 #2】映画が実人生を捉える時   ーゴダール『女と男のいる舗道』について

昨年亡くなったジャン・リュック=ゴダールの作品を取り上げたいと思います。彼について書きたいことは沢山あるので、これから何度もエッセイやレビューで言及していくでしょう。彼は多くの作品を撮っていますが、映画史に残る、或いは人にお薦めできる代表作と言えば、何と言っても『勝手にしやがれ』(59)、そして『気狂いピエロ』(67)でしょう。私自身が今まで強く影響を受けたのは、ECMのサウンドトラックを使うようになった90年代以降の作品だったりします。 しかし、私が最近偏愛しているのは