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ジャンル:絵画

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絵画作品や画家の人生についてのエッセイ、展覧会のレビューをまとめています。
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記事一覧

生の喜びが踊る -マティス展を巡る随想

【月曜日は絵画の日】 国立新美術館で開催中の『マティス 自由なフォルム』展に行って…

心の色をなぞる -ルドンの魅力について

【月曜日は絵画の日】 前回、生涯それ程作風を変えなかった、川瀬巴水について書きました…

友情が紡ぐ夢の光景 -『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展について

八王子夢美術館で開催中の、『川瀬巴水 旅と郷愁の風景』展に行ってきました(6/2まで)。…

民衆の中のリアル-クールベの絵画についての随想

【月曜日は絵画の日】 絵画において、リアルであることは、よく考えると不思議なことのよ…

眠りと夢想 -レイトンとムーアの絵画の魅力

【月曜日は絵画の日】 人物を描いた絵の中で、「眠っている姿」の絵は、とても魅力的な…

眼で感じる -セザンヌの絵画をめぐる随想

【月曜日は絵画の日】 ポール・セザンヌは、20世紀の絵画を切り拓いた巨匠と賞されながら、…

艶やかなレトロの美 -マツオヒロミ展について

4/6から東京の弥生美術館で開幕した、『マツオヒロミ展 ~レトロモダンファンタジア』に行ってきました(6/30まで)。彼女の作品のファンだったので、心待ちにしていましたが、予想以上に楽しめる展覧会でした。 マツオヒロミさんは、大正浪漫風味のある、レトロな画風のイラストで人気のイラストレーターです。 大正~昭和の架空の百貨店の案内『百貨店ワルツ』や、こちらも架空のファッション雑誌のカタログという設定の『マガジンロンド』といった素晴らしい作品があります。 今回は、彼

絵画ドラマの開演 -ホガース『当世風結婚』を読む

【月曜日は絵画の日】 この前、ドラマがない小説について書きましたが、やっぱりそれでも、ド…

饗宴を建築する -ヴェロネーゼの絵画について

絵画史上には、一般的に知名度は低くても、素晴らしい技巧を持ち、しかも多くの後世の画家に影…

いちばん親密な場所 -お風呂とボナール、そしてプルースト

19世紀のフランスの画家、ピエール・ボナールの絵画は、親密さと暖かさに満ちています。技…

竜宮城が色づく -青木繁の傑作絵画

エキゾチックである、というのは、今現在から遠く離れていることが条件です。それは何も、外…

無垢が現代を染める -ウォーホルについてのいくつかの随想

少し前、現代美術家、アンディ=ウォーホルの作品がニュースになったことがありました。環境活…

「未来人」が遺した油彩の曼陀羅 -ボスの絵画『快楽の園』を巡る随想

なぜこのような絵が現れてしまったのか、さっぱり分からないという絵が、絵画史の中にはいくつ…

人を幸福にする笑顔 -フランス=ハルスの絵画【エッセイ#59】

笑顔を表現すること。それは実はかなり難しいことなのではと思ったりします。 観客を泣かせるより笑わせる方が難しい、とは作劇術でよく言われる言葉ですが、笑いというのは、実は表現しにくいものなのではないか。特に、アイロニーや嘲笑抜きの、心からの笑顔は、表現芸術でも、希少なもののように思ってしまいます。 絵画の世界において、笑顔を描く達人といえば、フランス=ハルス以外にはいないでしょう。こんなにも描かれた人が、生き生きとした笑顔になっている絵画は、なかなかありません。 ハ