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ServiceNow (NOW)24’2Q決算内容,GenAI活用ソフトウェア企業としての成功例, カンファレンスコール

7/25(木)日本時間AM 5:20頃、その前にコテンパンに売られていたNASDAQ市場に一つの光明が差した決算を発表した企業がありました。
そうServiceNowです、えっ別にガイダンスとか良かっただけじゃないの!?

少なくとも私は違う事を考えました。GenAIを用いたソフトウェア企業で一つの収益化成功例が出てきた事に市場は反応したのではないかと・・・
〈目に見える数字で実際に表された為、今後の収益イメージがしやすい〉

これの裏返し要素は直近で半導体関連銘柄、ハイパースケーラー企業の株価が巻き戻されている要因の一つでもあると思います。
〈市場は増え続けるハイパースケーラーの設備投資額に対し、疑問を抱き始めているという記事を散見しております。〉

1Qの決算時にGenAIを用いた収益化を明確に示したソフトウェア企業はいなかった様に思えます。(SalesforceやAdobe、Snowflakeなど)
ですが今回のServiceNowの決算はGenAIが明確に機能し、そしてそれが収益化につながっている成功例を発表したのではないかと個人的に思っております。
要は市場はここに一番反応をしたのではないかと・・・(個人的見解です)
〈Googleは決算内容は申し分ないが来期ガイダンスを示していないのと、設備投資に関する質問で今は投資過少になる事の方がリスクが高いと言及した点に市場はネガティブ反応をしているのではないかと邪推しております。〉

そんな決算を出したServiceNowを分析してみたいと思います。

※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者の経験と知識を基に見解を述べているもので売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方は
この件に同意されたものとみなさせていただきます。


ServiceNowのビジネスモデル

決算内容の前にまずはServiceNowのビジネスモデルを説明していきたいと思います。ServiceNowは主に企業向けにクラウドベースのプラットフォームやソリューションを提供している企業です。以下に概要をまとめます。

  1. ITサービス管理(ITSM):企業のITサービス運用を管理し、自動化するためのツールを提供しております。インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理などのプロセスをサポートします。

  2. IT運用管理(ITOM):ITインフラストラクチャとアプリケーションの運用を監視、管理しパフォーマンスの最適化と障害対応を支援します。

  3. ITビジネスマネジメント(ITBM):ITプロジェクトやポートフォリオ管理、財務管理などを支援するツールを提供し、IT投資のROI(投資収益率)を最適化します。

  4. セキュリティ運用:セキュリティインシデントの管理、リスク評価、コンプライアンス管理などの機能を提供し、企業セキュリティ対策を強化します。

  5. 人事サービス管理(HRSM):人事部門向けのサービスデリバリーツールを提供し、従業員のオンボーディングや問い合わせ対応などのプロセスを効率化します。

  6. カスタマーサービス管理(CSM):顧客対応業務を管理し自動化するためのソリューションを提供。カスタマーサポートの効率を向上させ、顧客満足度を高めます。

  7. カスタムアプリケーション開発:ServiceNow プラットフォームを活用して企業独自のニーズに合わせたカスタムアプリケーションを構築、展開する事ができます。

企業勤めの方々は上記のようなシステムが会社に導入されたらもっと生産効率上がるのになぁ~・・・とか普通に思いますよね。

ServiceNowはこのプラットフォームとソリューションにGenAIを組み入れているのです。もちろんAIを組み入れるだけならどの企業でもできる事だと思いますがServiceNowはこの多岐に渡るビジネスタスクに対してのソリューションを多数用意しており、結果的にこれが濠となってサブスクリプションの継続契約につながっています。

さらに今期に於いてはGenAIを搭載したNow Pro Plus版(ServiceNowのGenAI機能を組み込んだSKUの新規ACV)(Annual Contract Value、年間契約価値)は前四半期比でなんと倍増、そしてPro Plusは500万ドル超の2案件を含む100万ドル超の11案件を提供したようです。 さらに、Pro Plusは30%の価格上昇を実現し平均取引規模はPro採用サイクルの同程度の取引に対して3倍以上増加しているようです。

ServiceNow 100万$以上の契約顧客推移と平均契約額
ServiceNow New ACV Contribution(貢献分野と割合)

ちなみにAdobe、Dell、Merkなどもこの大口顧客に含まれているようです。

ServiceNow Now Assist 図解

こちらはServiceNowのNow Assistというソリューションを導入した場合のタスク変化を図解したものですがサービス管理、運用管理、ビジネスマネジメント管理、セキュリティ運用、カスタマーサービス管理、人事サービスデリバリー管理、フィールドサービス管理、ガバナンス,リスク評価管理、監査管理といったものをアプリケーションで統合し、AI機能の基盤を提供するコアプラットフォーム(Now Platform)を提供しております。

この包括的なサービス内容とクオリティの高さが他社の追随を許していない様で、この結果が数字となって今回の決算にも表れているのです。

ServiceNowのAI活用戦略

あまり知られていないかもしれませんがServiceNowは独自でAIを開発して運用しております。特に独自のAIエンジンとアルゴリズムは顧客のデジタルワークフローに必須となる分野のGenAIになる為、この開発には多額の資金を投下しているようです。

そしてもちろん自社開発の生成AIだけでなく、OpenAIの技術とも統合しております。具体的にNow Assist for Virtual Agentというソリューションではユーザーの質問に対する直接的かつ関連性の高い回答を生成しているそうです。

生成AI開発用のデータセンターと言えばNVIDIAですが、ServiceNowはNVIDIAやMicrosoftなどの企業と戦略的パートナーシップを結んでおります。これらのパートナー企業のAI技術を活用して自社の生成AIプログラムを強化している事で、独自のサービスが提供できているという事です。

〈ここで私見を挟みますがここまでの取り組みは恐らく他の企業でも普通にやられてこられている事ではないかと思います。その中でServiceNowが市場から評価された理由を調べた内容を下記に列挙してみたいと思います。〉

  1. 統合プラットフォームの提供:上記図解にもあるようにServiceNowは複数の分野にまたがる統合プラットフォームを提供しております。これにより生成AIを含む様々なツールや機能がシームレスに連携し、顧客に一貫したエクスペリエンスを提供できる点が評価されているのではないでしょうか

  2. 実績と信頼性:ServiceNowは既に多くの大企業や政府機関で導入実績がありその信頼性と安定性が高く評価されていると思います。この実績に基づいて生成AI機能も迅速に市場に受け入れられたのだと理解しております。

  3. 生成AIの高度な適用:ServiceNowは生成AIを用いて具体的かつ実用的なソリューションを提供しております。例えばバーチャルエージェントによる自動応答生成やインシデントの予測分類など顧客が実際に直面する課題を解決するための実践的な機能を提供しております。

  4. 戦略的パートナシップ:ServiceNowはNVIDIAやMicrosoftなどの企業と戦略的パートナーシップを結び、これらの先進的なAI技術を統合しております。これにより生成AIの性能と信頼性が更に強化され、顧客にとって魅力的なソリューションが提供されております。

  5. 自社データセンターとインフラ:ServiceNowは自社でデータセンター運営し、インフラの制御を強化しております。これにより生成AIを含む高度なソリューションを高いパフォーマンスとセキュリティで提供できる点が評価されております。

  6. 顧客へのROIの提供:ServiceNowは顧客が生成AIを活用する事で明確なROI(投資収益率)を得られる事を強調しております。業務プロセスの自動化によるコスト削減や生産性向上が具体的な成果として示されています。

ざっと列挙してみましたがこれらの要因が組み合わさりServiceNowは生成AIを活用したビジネスモデルで収益の安定化と収益率の向上を形や数字で表したと思います。この身近でかつ複雑な問題に対し包括的ソリューションでアプローチし、収益化した成功例と言えるのではないでしょうか。

24’2Q 決算内容、3Qガイダンス、24’通期ガイダンス

Revenue 2.63B$(26億3000万$)Consensus 2.61B$(26億1000万$)
Beat 20M$(2000万$)Y/Y+22.19%
EPS nonGAAP 3.13$ Consensus 2.84$ Beat 0.29$ Y/Y+32.1%

ServiceNow サブスクリプション売上、サービス履行前残高

特筆すべきはこのサービスをまだ提供していない(短期負債として扱われる)契約残高が6期連続で前年同期比20%以上で増加している点です。
これは未来の収益につながりますので、安定的な収益を目指す上で重要な数字となってきます。また、一番右の資料にありますように100万$以上の大口顧客数の前年同期比+15.3%とこちらも力強い伸びを示しております。

ServiceNow サービス履行前契約残高推移グラフ

ServiceNow 営業コスト

ServiceNow 営業コスト

こちらが営業コストの推移です。
S&M(Sales and Markting)販売及びマーケティング費用とR&D(Reseach and Development)研究開発費が突出しております。

※単位記載がありませんが恐らくMだと思いますので、S&Mが85億8500万$、R&Dが79億1200万$と巨額のコストが掛かっております。

AI用のデータセンター費用、GPU購入費、システム開発費など売り上げに比例してコストも増大していくのは致し方ありませんね。

24’3Qガイダンス
Revenue 2.66B~2.665B$(26億6000万$~26億6500万$)
Consensus 2.73B~2.80B$(27億3000万$~28億$)
Miss -7000万$~-1億3500万$(Consensusは誤差あり)
EPS nonGAAP 記載がありません・・・
Consensus 3.10$~3.77$(中間値 3.45$)

24通期ガイダンス
Revenue 10.575B~10.585B$(105億7500万$~105億8500万$)
Consensus 10.89B~11.05B$(108億9000万$~110億5000万$)
Miss 2億1500万$~4億6500万$(Consensusは誤差あり)
EPS nonGAAP 記載がありません・・・
Consensus 13.05~14.45$(中間値 13.77$)

ServiceNow 24’3Qガイダンス、24通期ガイダンス

このガイダンスに関してSeeking Alpha アナリストであるWolf Researchという投資会社が出している分析コメントを抜粋して掲載いたします。

私は、Now Assistやその他のAI技術が、以下の理由でServiceNowの主要プラットフォームの成長を引き続き促進すると予想しています。

  • ServiceNowは、ITサービスマネジメント、カスタマーサービスマネジメント、HRサービスデリバリー、クリエイター向けにNow Assistの提供を開始した。 AI技術を取り入れることで、ServiceNowはTAM(Total Addressable Markets)を拡大し、将来の成長への余地を広げている。

  • 企業顧客はServiceNowのAIプラットフォームを活用することで、バックオフィスやミッドオフィス業務の運用効率を向上させることができる。 例えば、ServiceNow独自のITヘルプデスクでは、AI技術を活用することで、1件あたり45分の時間短縮と顧客対応が可能になる。 AIとServiceNowのプラットフォームの組み合わせが、企業顧客の効率を向上させることは必至だ。

  • 決算説明会で経営陣は、大型案件の数が加速していることを示唆した。 包括的なITソリューションに注力することで、営業チームがより大規模な案件を成約できる可能性がある。

マクロ環境が厳しい中、ServiceNowがエンタープライズ・ソフトウェアでこのような高い成長を実現できることは印象的です。 私は、同社の短期的な成長要因として以下を考えている

  • cPROはServiceNowの将来の収益成長の先行指標である。 サービスナウが過去数四半期にわたってcPROを20%以上伸ばしていることは注目に値する。 現在残っている履行義務の高い成長は、近い将来の収益成長につながる可能性がある。

  • 7月24日第、ServiceNow はAIを活用した検索とナレッジ管理機能を強化するため、Raytionの買収を発表した。 RaytionのプラットフォームとServiceNowのNow Assistの組み合わせは、AIを搭載したServiceNowプラットフォームの採用を後押しする可能性があるため、私はこの買収を支持する。

〈これぞまさに生成AIを活用したサブスクリプションモデルの成功例と言えるのではないでしょうか!?。来期ガイダンスが一部届かないとしてもこれだけ決算後に評価をされるというのは恐らくこの生成AIがもたらす今後のさらなる成長に他ならないのではと推測いたします。これが冒頭でGoogleが売られてServiceNowが買われた理由の一つなのではないかと思うのです〉

カンファレンスコール

William McDermott - 会長兼CEO

同社は今年初め、以前米国政府職員だった人物の雇用に関して内部告発を受けた。ご期待どおり、私たちはこの苦情を真摯に受け止めました。
取締役会は、社外の弁護士の助力を得て徹底的な社内調査を行い、当社の方針に違反していると判断しました。
当社は完全な透明性をもって行動し、調査結果を適切な政府機関に積極的に開示しました。 その結果、本日、当初の苦情の対象となった人物の退社を発表する。

〈社長兼COOのCJ・デサイ氏で政府との契約と元米軍関係者の雇用に関するポリシー違反が原因のようです。ServiceNowはこの事件を真摯に受け止めたが、経営陣の交代により、社内業務や公共部門との対外的な営業活動に支障をきたす可能性があります〉

サブスクリプション収入は恒常為替レートベースで前年同期比 23%増となり、ガイダンスの上限を 100bp 上回った。
CRPOは恒常為替レートベースで22.5%増となり、ガイダンスを200bp上回った。
営業利益率は27%超となり、ガイダンスを250ベーシス・ポイント近く上回った。
新規ACVが100万ドル以上の案件は88件で、前年同期の70%から26%増加した。

AIの話題に移ります。 NowAssistの新規ACVは前四半期比で倍増し、予想を大幅に上回り、当社史上最も急成長した新製品となった。
第2四半期には100万件以上のNowAssist契約を11件締結し、うち2件は500万ドルを超えるものでした。
銀行、医療、製造業から半導体、ハイテク、その他多くの業界にわたり、目覚ましい成果を上げることができました。

ステランティスはServiceNowを使用しています。 戦略的AIプラットフォームとして、人事、財務、サプライチェーンにわたる業務を管理しています。

アメリカンホンダは、サービスの偏向と効率を改善し、従業員にワールドクラスの体験を提供するために、Gen AIソリューションとしてNowAssistを選択しました。

メルクはServiceNowプラットフォームを使用して、ITとサイバーセキュリティ全体のオペレーションを合理化し、グローバルなバイオ医薬品ビジネスを推進している。

アドビはNowAssistを活用して従業員の定型業務を最適化し、組織全体の効率を高める。

Dell は Now Assist を自社のサービス機能と統合して、顧客と従業員のシームレスなエクスペリエンスを実現します。

ServiceNowはAIを人々のために活用します。 私たちのGen AI戦略は、企業全体、あらゆる部門、あらゆるペルソナのエンドツーエンドの仕事の流れにインテリジェンスを吹き込むことに重点を置いています。

私たちのネイティブな統合機能によって、私たちはすでに、人々がさまざまなシステムやデータ・ソースを横断してオーケストレーションできるよう支援しています。 低価値の作業を機械にトレーニングさせることで、従業員は知識作業へとレベルアップできるのです。

最後に、私たちの焦点はまさにそこにあります。 この差別化されたプラットフォームを拡大し、事業を拡大し、ステークホルダーに素晴らしい結果を提供することです。

企業はビジネス変革に投資している。 AIに投資している。
今後数十年に向けた新たなリファレンス・アーキテクチャを構築しているのだ。 これは世界で最も大きく、最も魅力的なビジネスチャンスだ。

私たちはこの先の展開に強気です。 だからこそ、通期のガイダンスを確定させただけでなく、上方修正したのです。
私たちのブランドは、世界の未来に対する楽観的な見方を象徴しています。 だからこそ、私たちはAIを人々のために活用しているのです。
〈CEOのコメントですが力強く、未来に対して希望があふれている様に聞こえるメッセージです〉

Raimo Lenschow - Barclays(この方の質問)
ビル、あなたはBTのような使用例について話してくれましたが、そこでは少し小さくて効率的な高速言語モデルが非常に良い結果を出しています。
そしてそれは、今後AIについて考えていく上での青写真のようなものなのでしょうか..

William McDermott - Chairman & CEO
BTの例を挙げましたが、ロンドン証券取引所でも、コアビジネスの変革のために当社を導入し、15のサイロ化されたプラットフォームと14のビジネスラインをServiceNowプラットフォームで統合しました。
そして実際に、ケースの逸脱率が85%に増加し、インシデントの要約にかかる時間が35%改善されました。
ちなみに、NowAssistはこれを数秒で実行します
。 つまり、従業員1人当たり2日分の改善と生産性があるということです。

Kash Rangan - Goldman Sachs(この方の質問)
AIの面でも、製品を出荷してからわずか4分の3で、顧客にどれだけの生産性向上をもたらすことができたか、目を見張るものがあります。
NowAssistの今後の展望は? つまり、雇用ワークフロー、顧客サービス・ワークフロー、より大きなワークフローによって作られた道をたどるのでしょうか。

William McDermott - Chairman & CEO
私たちはどこへ向かっているのかという質問に対しては、次のように答えている。 私たちが向かう先は、業界全体を変革することだ。

例えば、電力業界を例に挙げれば、彼らは送電網の稼働時間を最大化しなければならない。 彼らは重要な資産の脆弱性を検出し、軽減しようとしています。私は、修理、機器のケア、スキル、部品、フィールドサービス技術者、機器サプライヤーなど、すべてをリアルタイムで行う必要があります。

分散型のバリューチェーン全体がある。 私たちは業界全体を改革し、ServiceNowのプラットフォームでそれを実現します。 そして、データを取得し、企業を息苦しくさせている異質な部分をすべてつなげ、それをNowプラットフォームへと移行させ、仕事の流れを再構築するのです。
〈コメントを読んでいるだけでもCEOの情熱が伝わってきます〉

Peter Weed - Bernstein(この方の質問)
今日の大きなニュースは、明らかにリーダーシップの交代だったと思います。
CJは明らかにシニア・リーダーシップ・チームの本当に重要な一員であり、私がよくクライアントに成功とリーダーシップについて指摘している人物の一人です。
クリスをチーフ・プロダクト・オフィサーに指名したこと以外に、スムーズな移行を確実にするための重要な運営ステップをどのようにお考えですか?

William McDermott - Chairman & CEO
私たちはすでに会社をどこに持っていくかを実行に移していますし、リーダーシップ・チームもいます。
今日私は、共同創業者の一人であり、実際に会社のクラウドを運営しているパット・ケイシーや、事業開発部門のリーダーたち全員と会った。

クリス・ベディは私の意思決定スタイルを知っており、私たちが抱える優秀なエンジニアや市場開拓に携わる優秀な人材と見事に統合することができるため、私たちは3月で決定的な一歩を踏み出すことができる。
だから、みんな気合いが入っている。 任務を理解し、準備万端だ。

Alex Zukin - Wolfe Research(この方の質問)
この四半期は、2021年以降、3年間で最も好調なRPO四半期だったと思いますが、質問としては、第1四半期から第2四半期に押し寄せた案件について、キースさんの質問の逆を考えてみると、パイプラインの信頼性ということですが、ジーナさんがおっしゃるように、どのような案件でも引っ張られる可能性があるということで、他の方法で考えていたよりも早い段階で完了したと思われる案件はありますか?

Gina Mastantuono - CFO
RPOが前年比31%増というのは、特に当社の規模では信じられないことです。 平均契約期間は引き続き伸びていますね。
第2四半期の平均契約期間は2018年以降で最大でした。

そのため、5年以上の契約によるTCVは3倍以上に増加しています。
 顧客はNowプラットフォームのパワーを実感し、より長く、より戦略的な契約を結んでおり、その結果、複数年契約が増加しています。

Mark Murphy - JPMorgan(この方の質問)
クラウドストライクの問題や停電に対して、どのような機会があるとお考えですか?
大企業の中には、停電を監視・検知し、インシデント対応を改善するために、IP資産全体にわたってより多くの遠隔測定を望むところがあると考えるのは妥当でしょうか。
それは、ITOMやSecOpsの能力に直接作用するように思えます。

William McDermott - Chairman & CEO
CrowdStrikeの障害による顧客システムへの影響は、ServiceNow関連ではゼロでした。
ServiceNowに関連するデータの整合性金融システムや企業の業務の整合性への影響はゼロでした。

CMDBのサービスマッピングのおかげで、顧客の環境でどのシステム、どのビジネスサービス、インフラが影響を受けたかを即座に可視化することができました
また、自動化されたワークフローが修復を迅速化し、社員はServiceNowポータルを通じて最新情報を得ることができました。
ですから、ServiceNow以外の顧客がこのようなプラットフォームで何が可能かを知れば、実際に販売機会を増やすことができると思います

Joel Fishbein - Truist Securities(この方の質問)
ビル、あなたはマイクロソフトとのさらなる戦略的パートナーシップを発表しましたが、これはコパイロットの統合を支援するものです。
それが実際にどのように進んでいるのか、また、そのようなソリューションについて一緒に取引を進めているのかどうか、ぜひお聞かせください。

William McDermott - Chairman & CEO
マイクロソフトとは本当に素晴らしいパートナーシップを結んでいます。 そのおかげで、ServiceNowの対応可能な市場がさらに広がったと思います。

ServiceNowは、顧客がAzureへの移行を効率化するのに大いに役立っている。 また、Azureは私たちをより広範な顧客と接触させる一方で、私たちは大きくなっているため、Azureの関連性を高めることにも貢献していると思います。

第2四半期には、100万ドル以上のAzure案件を7件成約し、そのうち2件は新規ロゴの獲得でした。
ですから、このパートナーシップとシナジーによって、より多くの顧客に価値を提供することが可能になり、かつてないスピードとスケールでそれを実現できると確信しています。

そして、私は誰に対しても非常に率直である。 マイクロソフトを標準として認めないわけにはいかない。 そして、コパイロットが非常に重要なことを行っていることを認識しています。
NowAssistのすべての能力と、私たちがプラットフォームを構築して行っていることが、マイクロソフトに補完的に完全に統合されると、さらに面白くなります。

まとめ

熱中しすぎて長くなってしまったのでこの辺でまとめたいと思います。

冒頭の問題提起をしたBloombergの記事を一部引用します。

今年、世界の金融市場を動かしてきた前提が急速に見直されているようだ。 債券市場や為替市場では、米国経済の先行きに対する疑念が、連邦準備制度理事会(FRB)が以前の予想よりも早く、あるいは深く利下げを実施するのではないかという憶測(あるいは希望的観測)につながっているため、投資家は資金の再配分を急いでいる。

この変化を後押ししているのは、個人消費の低迷である。
同時に、株主はテクノロジー企業の人工知能への巨額の投資がすぐに報われることに懐疑的になっている。 その結果、怯えた投資家たちはエヌビディアやブロードコムといった大勝ち組の株を投げ売った。

今月に入ってから株式市場にはリバランスが起きておりますが、この理由にもなっている懸念要素が上記の'巨額投資が直ぐに報われるのか懐疑的になっている'という文面。

Metaの株が2022年2月の決算発表後から急落していった理由を覚えておられる方もいらっしゃると思いますが、当時ザッカーバーグCEOはメタバース(仮想空間)に対して巨額の先行投資をすると発表。これに対し市場は懐疑的な反応を示し株価は一気に100$近く下げる展開になりました。

投資家の方々はROIと言う指標(投資収益率)というものを気にします。
短期では仮に見えなくても中期的に回収の見込みがあれば株価は落ち着いた動きになるでしょう。
もう一度GoogleのピチャイCEOのコメントとServiceNowのマクダーモットCEOのコメントを振り返って見ると'明確なROIの差'があると思います。

これが株価の初動を分けた一つの要因だと私は思っており、昨今のハイパースケーラーに対し市場が懐疑的になり始めた形が出てきた様に思えます。
〈1番はリバランスですがリバランスが起きた理由の一つがこのROI要素かと思っております。Googleに関しては追い打ちをかける様にOpenAIの検索エンジンニュースが出てきた為、さらに下落しておりますが説明会の時にCEOが言及していたので私は気にしません。〉

この懸念はこの後決算を迎えるMicrosoft、Meta 、Amazonにも言える事ですし、ここで市場がGoogleと似たような反応をする様でしたら'過剰投資に対して懐疑的になっている'という側面を強く意識した方が良いと考えます。
〈何度も言いますが自分や周辺のインフルエンサー、決算発表会でのCEOのコメントよりも市場の反応の方が何倍も大事ですので、バイアスをできるだけ排除して冷静に相場と向かい合う事が大事だと考えます〉
※この点が先のNVIDIAにつながっていく事と話した理由です。

話をServiceNowに戻しましょう、ソフトウェア企業が生成AIを活用して大きく事業を拡大した成功例が出たのは後発組にとっても大きいはずです。
ServiceNowのように自社でAIを開発し且つOpenAIやNVIDIAの様な先端企業と協業しているという点は、今後成功してきそうなソフトウェア企業の要素になり得ると思います。

株価に関しては一旦現在の良いニュースは織り込まれてしまっている様に思えますので、新規で入ろうと思われている方は注意が必要かと思います。
自社の悪材料以外で下がった時は押し目となり得る可能性もありますので、無理をせず買えるタイミングをじっと待つのがよろしいかと思います。

かなり長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。
参考になった、気にいっていただけた方は是非スキボタンとオススメ記事をお願いいたします。またフォロー、コメントなどもお寄せいただけると励みになりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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