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フォロワーさんリクエスト企業分析#4 Axon Enterprise(AXON)企業分析,24’1Qの決算内容分析,Press Release,カンファレンスコール

フォロワーさんよりリクエストをいただきました企業分析の第4弾。今回はAxon Enterpriseという会社を見て行きたいと思います。この会社を知らない方も多いと思いますので簡単に説明させていただきます。
この企業は主に全米の警察署、警備会社にTASER銃(電気ショックを与えて短時間動けなくする武器)や身体装着カメラ、車載カメラ、クラウドホスト型デジタル証拠管理ソリューションを提供している会社です。
この会社のシステムで注目されているのが911番の通報を受けて警察官が出動してからの状況精査やIDの確認、装着しているカメラによる状況証拠の確保、及び警察官の不正防止にも貢献し、一連の報告書がそのままWeb上でできてしまう様です。武力行使が発生した場合全てのデータがTASER銃やAxon Signalを介して記録され、ボディカメラによる証拠映像も安全にキャプチャされるため法廷で証拠として使われる事もある様です。

Axon critical solution(キャプチャ~法廷まで)
 

また、連邦政府や州政府機関にも採用されている様で売上高の成長も年20%を超える予想が出ております。ビジネスモデルが製品プロダクト+サービスでこれだけの成長率を誇るのは少し珍しい気もしますのでこの後深堀していきたいと思います。

強力な顧客フランチャイズによる魅力的な純収入モデル

※個別銘柄に言及する内容が含まれますが筆者の経験と知識を基に見解を述べているもので売買を推奨するものではありません。この先に進まれる方はこの件に同意されたものとみなさせていただきます。


Dedrone社の買収

アリゾナ州スコッツデール2024年5月6日PR Newswire=共同通信JBN】世界的な公共安全技術のリーダーであるアクソン(Nasdaq:AXON)は本日、空域警備の世界的リーダーであるデドローン(Dedrone)を買収する正式契約を締結したと発表した。
同社の革新的なテクノロジーは、増加するドローンの脅威から保護し、第一応答者としてのドローン(DFR)の利用を促進することで、世界中の公共安全と国家安全保障機関に計り知れない価値を提供しています。
最終的に、買収完了後、Dedroneは、顧客が地域社会を守り、重要な事件への対応を改善し、より多くの場所でより多くの人命を守ることを支援するAxonの能力を強化します。

「Axonの30年にわたるイノベーションの遺産とDedroneの最先端の空域セキュリティソリューションを組み合わせることで、我々は再び公共の安全に革命を起こすことを目指しています。
「Dedroneの最高経営責任者(CEO)であるAaditya Devarakondaは、次のように述べています:"Dedroneが連邦政府、公益事業、重要インフラ、イベント会場、空港、矯正施設、その他の企業などの業界全体で影響力を高めていることと、Axonのコネクテッドデバイスとソフトウェアの強力なエコシステムが相まって、私たちは地域社会の安全だけでなく、世界各国の安全を確保する最前線に立つことになります。"

取引は慣習的な完了条件に従い、2024年後半に完了する予定である。

〈買収に関する条件は開示されていないようですがこの買収はAxonにとってかなり効果が見込めるのではないでしょうか。空域での先行情報収集によってAxonのエコシステムを利用する組織、機関は対応の正確性、迅速性が飛躍的に向上する事が容易に想像できるため、同業他社に対しても有利にビジネス展開ができると思います〉

Dedroneは、世界で最も広く使用され、信頼性の高い対ドローンシステムの1つであり、ドローン技術が善のための力として使用されることを保証することにより、国民を保護しています。
無許可のドローン活動が増加するにつれて、空域認識の強化とドローン防衛技術は、公共の安全と国家安全保障を確保するために不可欠となっています。Dedroneは、民間およびプロのセキュリティ環境における複数のユースケースにおいて、ドローンの迅速な検出、追跡、識別、そして許可されている場合は、ドローンの軽減とパイロットの位置特定を支援します。

Dedroneのテクノロジーは、公共安全における初動対応者(「DFR」)としてのドローンの認可された使用を拡大するための重要なリソースでもある。DFRプログラムは、地上部隊に先駆けてドローンを現場に配備し、状況認識を高めて対応戦略を改善し、すでに限られている資源の配分を最適化し、人間の警官に危害が及ぶリスクを低減するように設計されている。

デドローンは、当社の長期的な成長に貢献する製品カテゴリーで人材を育成しながら、製品ロードマップを加速させ、エコシステムを強化することを目的とした、当社の投資戦略実行のもうひとつの例です。
Dedroneは、過去12ヶ月のSky-HeroとFususの買収に続くもので、同様に当社の既存ポートフォリオを補完するものであると同時に、当社の顧客分野全体における製品アプリケーションを拡大するものです。
デドローンはアクソンの総アドレス可能市場(TAM)に約140億ドルを追加すると推定しています。
Sky-HeroとFususの買収とDedroneの買収計画を合計すると、当社のTAMは昨年の500億ドルから770億ドルへと50%以上拡大することになります。

※補足説明 TAMとは?:Total Addressable Marketの略で自社製品やサービスが理論上最大の顧客を獲得できた場合の最大売上を指します。
2023年のAxonの年間売上高は1.56B(15億6000万$)Market Cap(時価総額)は20.85B(208億5000万$)ですので、このTAMの拡大規模はAxonの今後の収益に多大な影響を与える可能性があると思いました。

巨大市場の機会

サブスクリプション型ビジネス

Axonはクラウドサービスの分野でサブスクリプション型のビジネスモデルを展開しております。この内約17000社以上が5年以上の契約を結んでおり10年以上に渡る契約もかなり多い様です。これはAxonが圧倒的な競争優位性を持っている証拠でもあり、顧客からの信頼も厚い証拠です。
下記にそのビジネスモデルを列記いたします。

  • Axon Evidence(クラウドベースのデジタル証拠プラットフォーム):警察や法執行機関が収集したデジタル証拠(ボディカメラ映像、写真、音声記録など)を安全に保存、管理、共有するためのクラウドプラットフォームです。顧客はこのプラットフォームの利用に対して定期的なサブスクリプション料金を支払います。

  • Axon Records(デジタルレポート作成システム)Axon Recordsは警察官が現場での活動を効率的に記録、報告するためのシステムです。このシステムもサブスクリプションモデルで提供されます。

  • Axon Dispatch(緊急通報対応システム)Axon Dispachは緊急通報の受信や対応を支援するソフトウェアです。このシステムもサブスクリプション形式で提供されます。

  • Axon Performance(パフォーマンス管理ツール)このサービスは警察官の業務パフォーマンスを評価、管理するためのツールを提供します。こちらもサブスクリプション形式で提供されます。

  • トレーニング及びサポートサービス(仮想現実トレーニング)AxonはVR技術を活用したトレーニングプログラムを提供しております。

VRは、より多くの反復練習を通じて、警官の反応とパフォーマンスを向上させるための私たちのアプローチを支える中核技術です、 ダイナミックなシナリオでのより良い練習と、より没入感のある体験 没入体験ができる。 昨年、私たちは人間工学に基づいた全く新しい 正確なTASER 10、TASER 7、銃器用VRコントローラーを発表しました。 を導入し、トレーニング・ライブラリーを拡充しました。 トレーニング・ライブラリーを拡充しました。そして VRを次のレベルに引き上げるために、当社は現在、バーチャル・リアリティ・ベース・トレーニング(Virtual Reality Based Training、以下「vRBT」という。 トレーニング(「vRBT」)ライブアクションを導入しました。 リアルな感情や表情を持つ本物の人間の俳優を起用し、360度の映像に没入することができます

この様に現代ではほぼ無くてはならないレベルのテクノロジー技術とソフトウェアをサブスクリプション形式で顧客提供しております。
このビジネスは2020年以降なんと年間約44%で成長しておりAxonの年間売上に占める割合もこういったソフトウェア関連の方がウェイトを占める様になりました。

Axon software products CAGR 44% 

今後ここにドローンによる空域ビジネスも加わるので、順調に成長軌道に乗っていくビジネスモデルなのではないでしょうか!?。
Axonは主要顧客の大半が公共機関や政府機関の為、金利や景気にあまり左右されない強みをもっております。もしアメリカが今後景気後退に陥ったりしたときは私は迷わずこういう企業の株式を保有したいと思います。

24'1Q決算内容

Revenue 460.74M(4億6074万$)Consensus 441.57M(4億4157万$)
Beat 19.17M Y/Y+34.3%
EPS nonGAAP 1.15$ Consensus 0.95$ Beat 0.20$ Y/Y+30.7%
Operating Income(営業利益)260.05M(2億6005万$)Y/Y+27.4%
Net Income(純利益)133.22M(1億3322万$)Y/Y+195%
良い決算ですね(*´ω`)

Axon Consolidated Statements of Operations
Axon セグメント別売上割合

TASERセグメント売上高成長率 Y/Y+33%
ソフトウェア,センサーセグメント売上高成長率 Y/Y+35%
全体売上高に占める割合はTASERが38.8%、ソフトウェア、クラウド事業が61.2%となっております。
※早ければ24’4Qの決算からドローン事業の売り上げが加算されてくるので、このドローン事業がどれだけ需要があるのか未知数です。

セグメント別 Revenue YoY Growth

24通期ガイダンス、24’設備投資計画

24’2Qのガイダンスを発表しておらず通期ガイダンスを発表しておりましたのでこちらに載せます。
Revenue 1.94B~1.99B(19億4000万$~19億9000万$) 
Consensus 1.97B(19億7000万$)ほぼ中間値 Y/Y+26.5%
調整後EBITDA 430M~445M(4億3000万$~4億4500万$)
Consensus 410M~430M(4億1000万$~4億3000万$)

24’設備投資計画 80M~95M(8000万$~9500万$)
TASER10の需要増に対応し生産自動化を目指すとの事。

カンファレンスコール

Rick Smith - CEO & Founder
現在のFAAの要件では、各ドローンが直接視線内にあることを確認するために、屋上に立つ人間の仮想監視者の存在が義務付けられている。
つまり、オペレーターは現場に比較的近い場所にいなければならず、通常は屋上にいて、主に日中の晴天下で操作しなければならない。
これが、当社が計画し発表したDedrone社の買収に興奮する理由のひとつです。

私たちは、Dedroneの技術がこのような制限を解決し、法執行機関が視界の悪い状況や時間帯でも、視線を確保した人間の監視を必要とせずに活動できるようになると考えています。
DedroneとAxonの統合計画は、スタジアム、航空宇宙セキュリティ、強固な軍事、重要インフラ、その他の民間保護アプリケーションなど、すでに現場で展開されているいくつかの関連アプリケーションを持つ当社の戦略の自然な延長である。

私たちの調査によると、アメリカの警察官は時間の約40%、週に15時間を基本的にデータ入力や報告書の作成に費やしている。
この貴重な時間を、地域社会や家族、訓練、あるいは自分自身の幸福のために費やすことができるはずだ。
ドラフト・ワンによって、私たちは彼らに新たなライフラインを提供し、毎日、毎日、重要な時間を節約することを期待している。
この2つの開発には大きな可能性が秘められていますが、これは私たちが技術革新に注力している2つの例に過ぎず、私たちはそのスピードを緩めることはありません。

私たちは、状況認識を現代にもたらすリアルタイム操作ソリューションを導入し、カメラやセンサー、Fususのネットワークを取り込むためにエコシステムを拡張し、ライブストリーミングビデオやビデオ・オーディオフィードを介した双方向音声通信を含む、モノリシックなオーディオを超えた通信の水準を引き上げました。
私たちは、お客様が外出先で証拠管理や報告書作成にシームレスに協力できる新しいモバイル・アプリケーションを導入しました。
また、私たちは、継続的に改善され、拡大するVRポートフォリオにより、最も大きなプレッシャーのかかるイベントにおける人間のパフォーマンスを向上させるための新しい機能と次のレベルのトレーニングを機関に提供しています。

私たちが市場に提供してきたもの、そして私たちが投資しようとしているものを振り返ってみると、私たちはまだ壮大な物語の序章にいるのだと思う。そして、この物語を読み終える前に、私たちの使命がこれまで以上に重要であることを認めておきたい。
ここ数ヶ月の間に、警察と市民との間で本当に不幸で悲惨な悲劇が続きました。私たちの思いは、このような困難な時期を経験されているご家族や署の方々とともにあります。
私たちはより良い未来のために革新を続け、生命を守るという使命に専心しています。

Brittany Bagley - COO & CFO
TASER 10 の需要も引き続き堅調で、供給能力の増加に支えられ、TASER セグメントは前年同期比 33%増となりました。

センサーおよびその他の売上は、Axon Body 4 の採用がカメラ売上を牽引し、前年同期比 14%増となりました。
全カテゴリーにおける健全な成長に加え、エンドマーケット全体でも力強さが見られる。第1四半期は、国際、連邦、矯正、司法、企業などの隣接市場を含む国内法執行機関以外からの売上が全体の25%以上を占めました。

当四半期のARRは8億2,500万ドルで、前年同期比で50%近く増加し、これにはFususとTASERの保証料収入が含まれています。
〈ARR:期末ARRは来期の売上に加算される事がほぼ確実な数字です〉
純収益維持率は引き続き122%を維持しています。第1四半期には、調整後売上総利益率を導入し、報酬が一定の基準額以下の従業員(その多くは製造部門)に付与した株式報酬の増加分を正規化しました。

現在、デドローンは当社の事業全体から見れば小規模であり、買収が完了すれば、当社のソフトウェアおよびセンサー部門に組み込まれることになる。デドローンは、当社のロードマップを補完し、対応可能な市場を拡大する人材と技術を獲得するというM&A戦略の新たなステップを強調するものです。Sky-HeroとFususの買収、そしてDedroneの買収計画により、当社のTAMは500億ドルから770億ドルへと、昨年1年間で50%以上拡大しました。
この買収により、ロボット・セキュリティとリアルタイム・オペレーションにおける当社の能力も向上しました。
この2つの分野は、警察やその他の市場の将来にとって極めて重要であると当社が考えている分野であり、当社は今後も製品ビジョンの実現に邁進していきます。

Will Power - Baird(この方の質問)
(TASER10の)自動化プロセスがどのように進んでいるか、需要に見合った十分な供給量を確保できているかなど、最新情報を教えてください。
また、自動化によって売上総利益率が向上するはずですが、おそらく初期投資が影響しているように思われます。そのあたりについて、ぜひ教えてください。

Brittany Bagley - COO & CFO
TASER10については、予想を上回る需要が続いているため、引き続き生産能力を増強しています。第1四半期は33%の伸びとなりました。
つまり、より多くの供給が可能になったからです。ですから、各チームは生産能力を稼働させ、顧客の需要をサポートするために本当に素晴らしい仕事をしていると思います。
コスト削減のイニシアチブをとるにはもう少し時間がかかるかもしれません。この第1四半期は、機器がやや弱く、ソフトウェアがかなり強かったと言えるでしょう。売上総利益率のガイダンスは、おそらく通期では第1四半期よりも改善することはないだろうと考えています。

Josh Riley - Needham(この方の質問)
NY市警のボディカム問題を競合他社のソリューションから追っています。
ニューヨーク市警は、警察の他の分野でもボディカメラを導入しています。そこで代替製品を求められた場合、どの程度迅速に対応できるのでしょうか?また、より高いレベルで、バッテリーの誤作動でカメラが発火しないようにするために、エンジニアリングの観点からどのようなことを行っていますか?

Rick Smith - CEO & Founder
この件に関して最初に申し上げたいのは、この件で負傷した機長がいたということです。私たちは彼のことを思っています。
このようなことが起こるのは本当に悪いシナリオです。
そして、あなたはここにビジネスチャンスがあるかもしれないと指摘した。それがどうなるかはこれからです。われわれは確かに......われわれの製品展開の能力には満足している。我々は製品に多くの投資をしてきた。

あなたがおっしゃったように、私たちはハードウェアとデバイスの柱に多くの投資をしてきました。また、優秀な人材がおり、ハードウェアで起こりうるフリンジケースやエッジケースのシナリオをすべて考え抜いています。

そのため、企業秘密や詳細なエンジニアリングを開示するつもりはないが、潜在的なエッジケースの多くについて熟考し、その中で我々の製品がどのように機能するかについては十分な手応えを感じている。
だからその間は、目の前のこと、自分たちがコントロールできることだけをやり続ける。そして、もしチャンスが訪れたなら、準備は万端だ。

Trevor Walsh - JMP(この方の質問)
デドローンのコメントから少しずれるかもしれませんが、1つフォローアップをお願いします。国防総省向けであれ、公共安全以外の顧客向けであれ、ドローンに対抗するUASのようなユースケースにはどの程度乗り出すつもりですか?

Rick Smith - CEO & Founder
私たちはかなり強く身を乗り出すつもりです。
私たちの目標は生命を守ることです。そして、ドローンが生命を脅かすために使用されている程度まで、そのリスクから保護するための新たな方法を創造しようとすることは、100%私たちの使命だと考えています。
Dedroneは、当社の既存の顧客にとって有益であるだけでなく、例えば、主要なスポーツ・スタジアム、重要なインフラ、そして実際に米国内外の軍隊など、当社にとって新しい顧客セットを持っており、そのような顧客にも当社のエコシステムをもたらすことができます。

まとめ

一通りカンファレンスコールを読みましたのでまとめたいと思います。
Axonはボディカメラやデジタル証拠管理システムでMotorola Solutionsという企業と競合しておりますが、成長率ではAxonの方が上回っております。
時価総額でも売上高でもMotorolaの方がはるかに上ですが、成熟した企業の為市場シェアを今後Axonが巻き返してくる可能性は十分にあると思います。

公共機関や政府機関を相手にしたビジネスモデルは景気や金利などによる影響が少なく、安定した収益を確保できるので今後米国が景気後退に陥ったりすることがあればAxonの様な企業の株式は相対的に買われるのではないでしょうか。

最後に投資家目線で、6/6現在のチャートですが2月の決算発表時に窓を開けた部分は既に埋まってきました。MACD、RSI共に上向きになり始めておりますので上昇の気配はあると思います。ただ現在の価格帯より上は2月以降の含み損ポジションが溜まっておりますので潜在的な売り圧力にさらされる可能性も十分にあると思います。
少し時間がかかるかもしれませんが何度か抵抗線で跳ね返されてしこり玉が減って来たら前回の高値(52週高値)の329$を再び目指せそうな感じはありますね。
※市場センチメントが弱い時にこういう銘柄買われないのですかね!?

Axon 6/6時点でのチャート

長くなってしまいましたが最後までお読みいただきありがとうございました。

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