Photograph hunter【1】
〜この物語はフィクションです〜
世の中には色んなハンターがいるようです。
写真を狩るのが彼らの仕事。
その名は人呼んでPhotograph Hunter。略してPH(ペーハー)。
その実態や如何に!
主任:はい、お疲れさまです〜。今日の報告をお願いします。
部下:え〜…。
主任:ん?どうした?今日の報告っ!
部下:はい…虹っ!
主任:虹がどうした?
部下:大きくありませんが、くっきりとした虹が出現しましたっ!
主任:なにぃ〜!?それはすごいっ!それでどうした?
部下:はい。車で走行中でしたので、方向を見失わないように車を停車出来る場所を探しました。
主任:なるほど。そうだな、冷静な判断だ。それで?
部下:はい…移動してるうちに…虹が消えました…。
主任:なにぃ!?
部下:はいっ!虹を撮り逃しましたっ!
主任:何だとぅ〜〜!?虹の出現に遭遇するなんて奇跡的なことなんだぞ。解ってるのか?しかもくっきりとした虹を撮り逃すなんて…。何と言って課長に報告すればいいのか…。
部下:申し訳ありません!
主任:場合によっては減給処分になるぞ。ワタシも降格人事があるかもしれない。
部下:そうすると…ボクが主任に昇格ですかね?
主任:バカやろう。そんなわけないだろ。しかし、この失態を何とか取り返さねば…。そうだ、夕陽でも撮ってから帰社するか。
部下:今日は天候が不安定で夕陽は無理だと思います。それに…。
主任:それに何だ?はっきり言ってみろ。
部下:はい…既に日没時刻を過ぎています。
主任:それを早く言わんかっ!ここの所、成績が思わしくない…それに加えて今日の失態とは…。この件は課長には伏せておくか…。
部下:隠蔽するんですか?
主任:バ、バカやろう!隠蔽ではない!隠蔽なわけがない!いつも通り何もなかったからなかったと言うまでのことだ。
部下:しかし…かなりくっきりした虹でしたから…。もしかしたら課長も御覧になっていたかと…。
主任:むぅ…確かにその可能性も否定出来ないな。
部下:では、こういうのはどうでしょう?
主任:何だ?言ってみろ。
部下:はい。これから帰社する前に高級レストランにでも行ってですね。その料理の写真を撮るんです。やっぱり照明機材でガチガチに固めないで、お店の雰囲気を活かしてですね…。
主任:あ〜…わかったわかった。そうしよう。しかし、その手は今月に入って何度目だ?料理は経費で落ちるけど、最近、経理の目も厳しくなってんだぞ。定時までに成績を上げておかないとだな…。
部下:そうですよね。また明日から頑張りますから。あ。主任、行くなら早く行かないと帰社時刻がどんどん遅くなりますよ。
主任:いい気なもんだな。まぁ、解った。行くとするか。お前のことだから既に店をリサーチしてあるんだろ?
部下:はい。もうバッチリです。任せて下さい。
主任:なんかうまくのせられてるような気がするんだよなぁ…。まぁ、料理の写真も高値で取引されるからいいけどさ…。
***
写真が高値で取引される世界があったら、こんなやり取りもあるかも知れません。
〜終幕〜
このお話はこれで全文となります。
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