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修行12日目、夢の話。

印象的な夢でした。

自転車でふらふら散歩してると、見覚えのある校舎を見つけました。
門の近くに寄って、中を覗き込みます。
あまりジロジロみてるので、守衛さんがやってきて、どうしたんだい?と訝しげな顔で聞いてきました。
「いやぁ、昔来たことがあるような気がするんです」と正直に伝え、ここでもう少し眺めてもいいですか?と言いました。

守衛さんは、困った顔をしてまた校舎へ帰っていき、今度は年老いた人を連れてきました。
その人は「じゃ、入りなさい」と言われて、中に連れて行ってくれました。

校舎の中に入ると、広い中庭がありました。
それはもう、真っ白な世界でした。白くて大きな桜が盛大に散っていました。園庭のような場所では、薄ぼんやりといろんな家族や子供たちが遊具で遊んでいました。遠くには、さらに真っ白な太陽が見えました。

僕は隣にいる老人に「なんて美しい中庭でしょうね!」と伝えると、老人は「白はね、全ての色を総括する位の高い色なのです」と答えました。

ベンチに腰掛けてぼんやりしていると、ある婦人がやってきました。そして一枚の抽象的な絵を見せてくれました。
「私の子を描いたんですよ」

僕は思い出しました。ここに立ち寄る前に、体育館のようなところで病気の子供の手当をしている母親のことを。僕は、その子供を抱き抱え、「少し休んできたらいいですよ」と伝えました。その子供は、もう余命がないことはわかりましたが、荒い息をしながらも嬉しそうでした。
その母親だったのです。僕は心から(良かったなぁ・・)と思いました。

そうして目が覚めました。朝は白々と明けていました。

僕の敬愛するティクナットハン禅師も、印象的な夢を見たと著書に書いてありました。ある場所に導かれる話で、雑念が多い過去の自分では、きっと来れなかったのだろうと。

あの真っ白な世界に連れていってくれた老人。そしてあの世界。はっきりと心に焼き付いています。あの美しい風景を。
最初はあの世のようだなと思いましたが、散歩をしながら、いや、違うなと思いました。
あの母親が絵を描いていたような、人々の心の浄化の場所。そして愛の風景。
この世にちゃんと存在してる、みんなが深い部分で共有する世界なのだと。 
愛犬と一緒に、もう一度あの場所を歩くように、呼吸を整えて丁寧に歩きました。

おしまい。

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