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ジェスドロとクロッキーのすゝめ

最近作業前にジェスチャードローイングとクロッキーを始めたので、始めるにあたり調べたことなんかをまとめようと思う。
まだ始めて2ヶ月くらいだが、今の所楽しく続けられているので、続けるコツなんかも記録してみようかなと。

『昔クロッキーやってたんだけどやめちゃったんだよね……』な方や、『ジェスドロとクロッキーの違いって何?どっちが良いの?』な方の参考になれば嬉しい。

※ちなみにジェスドロは『ジェスチャードローイング』の略称です。



『ジェスチャードローイング』とは

こんな感じのやつ

簡単に言うと、『印象や動きを描く練習』になる。この時大事なのは、全体の大まかな流れを描くこと。
特徴としては以下が挙げられる。

  • 短い時間で描く

  • 消しゴムはつかわない(線を消さない)

  • ストロークは長めで曲線的

  • 強弱のある線で描く

  • 全体の印象を決める大きなラインを始めに描く

学校で習うデッサンやクロッキーほどメジャーではないが、より感覚的で、簡単に描ける練習法として紹介されていることが多い。

『クロッキー』とは

こんな感じのやつ
(同じポーズを2回描いてます)

速写と言われるように、こちらは簡単に言うなら『形の要点を描写する練習』になる。
このとき大事なのは、全体のバランスを正確に描くこと。
特徴としては以下が挙げられる。

  • 短い時間で描く

  • 消しゴムはつかわない(線を消さない)

  • ストロークは直線的で簡素

  • 描きやすいペンであればOK

  • 全体の大まかなシルエットを意識して描く

デッサンを習う学校なら大体クロッキーも教わると思う。そのくらいメジャーな練習法。絵描きがよくバス・電車内や授業中とかにスケッチするあれに近い。



2つの違いと、悩み別の選び方

まず初めに断っておくと、『どちらがより優れた練習法か』という話はしない。
2つとも短い時間で描く練習法なので混同されがちだが、上述したように着眼点が全く違う、別種の練習となる。

どちらが良いか、ではなく、今の自分にはどちらの練習が必要かを考えて選ぶものだと思う。私は割と気分で変える。

『柔らかさが足りない』タイプ

『どうしても体が硬い、人形のような絵になってしまう』
『ダイナミックで勢いのあるポーズが描けない』

こののような悩みを持つ人におすすめなのが【ジェスチャードローイング】だ。

こういった状況に陥っているときは、大体形を正確に描くことに囚われすぎている場合が多い。形の描写を優先するあまり、絵から受ける印象が思っていたものと違うことに描き終えてから気付くが、何故そう見えるか分からない。ちゃんと描けているはずなのに…。

そんな目や感覚に陥っているときにこの練習をすると、段々自分の手や頭が自由になってくるはず。多分。

すぐにそんな感覚にはなれないかもしれないが、『最近こんなに勢い良く線を引いてなかったかも』と思えたらそれだけで価値がある。
それと正しさより気持ちよさが優先されるので、結構純粋に楽しくなってくる。


『細部から描いてしまう』タイプ

『足はよく描けたのに、全体を見るとなんだか変!描き直したくない……』
『顔から描いていたら全然体と大きさが合わなくなってた』

このような悩みの人におすすめなのが【クロッキー】だと思う。

こういうパターンの時は大抵視野が狭くなっていることが多い。集中して描くのはいいが、描き終えてから他の部分との違いに気付くとなかなか修正できない。
全体を見るのをつい忘れてしまっているな、という時にクロッキーをすると時間内に全身を描き終えられなくてびっくりする。

ついでに姿勢も前のめりになってたりするので、ハッと気づいて姿勢を正すと一気に視界が開けたりする。首の痛みや猫背を治すのにも一役買う、かも?


実際に描いてみる

ということで実際に描く方法についてだが、クロッキーは割と見たまんまというか、短い時間(1分〜5分とか)で描ければ描き方は人それぞれなので、描きながら色々自分で試すのが良いと思う。

問題はジェスドロだ。私も今まで実は何度かトライしてみるも、クロッキーとの違いが体感できずに諦めた過去がある。紆余曲折ありジェスドロについて調べていた時に出会ったのがこの動画だ。

他にも色々ジェスドロの記事ややり方なんかを見たが、この説明が一番私にはピンと来た。とっても簡素でシンプル。目的のために必要最低限まで描くものを削ぎ落としたような描き方だと思う。

この動画を参考に、同じポーズをジェスドロとクロッキーそれぞれで描くとこうなる。
(ポーズ参考:GESture DRAWing Party : #017

ジェスチャードローイング(1分)
クロッキー(1分)

何となく違いを感じるだろうか?

とにかく難しい事を考える前に、自分でもやってみてピンと来るなら続けてみたら良いし、ピンと来ないなら他の解説ややり方を探してみるのが良いと思う。

私のやり方が正解という訳では無いし、他の方が間違っている訳でも無い。描いてみて『ピンと来た』『出来そうな気がした』『楽しくなってきた』ら、どんなやり方でもそれが自分にとっての正解だ。


続けるためのコツ

ここからはワンポイントアドバイス的なやつ。続けるための一番のコツは『ハードルを下げること』だが、具体的にどうしているか、私の場合を紹介する。

①描きやすい環境を作る

まずアナログかデジタルか。これは個人差が大きいかもしれないが、私の場合は基本アナログで描いている。紙やペンを常に机に出しっぱなしにしてあるので、本当に気軽に描ける。やる気がない時は特に良い。

iPadを開いている時は、標準で入っているメモ帳(上のタイムラプス画面のやつ)で描くこともある。クリスタなどのお絵描きアプリより、開いたらすぐ描ける所と、ツールが少ない所がシンプルでノイズが少ない。


②描きたい動画(もの)を選ぶ

私はいつもYouTubeのジェスドロ動画を使わせてもらっている。

▼先程も紹介したこのシリーズ

これをすぐ開ける所にブックマークして、#001から順に見ている。ただ、大事なのは『描きたい!』と思える動画にすること。結構その時々で、筋肉が描きたいな〜とか、服の皺がちょっと見たいな〜とか、女の人が描きたい日とか、そういう気分ってあると思う。

せっかく動画を開いたのになんとなく描く気がしないな、と思ったら遠慮なく動画をスキップしてしまって、描きたいものに出会うまで選り好みすることをおすすめする。


③描きたいだけ描く

以前こういったスケッチを手慣らしでしていた時、10分だけ!とか、5体描く!とか決めて描いていた。しばらくは続いたが、上手くなっているかどうかも分からないと思うと、どうにもしんどくなってやめてしまった。

数字目標というのは、合う合わないがあると思うが、一番はまず『やって良かった!』『楽しかった!』という感覚を積むのが大事だと思う。習慣化のためのルール決めはその後なんじゃないかと。

今回私はそういったルールを設けず、思い立った時にふらっと描き始め、満足するまで描き続けてみた。動画1本の途中で終わるときもあれば、2、3本続けるときもあった。
初めは特に、描き方を模索して長時間描くことも多かった。

これがとても楽しかった。
『楽しい!』という記憶があると、習慣化とかを意識してなくてもまたやろうかな、なんて気持ちになってくる。それを何度か続ける内に習慣化してきて、まあ動画1本分は描こうかな、のようなルールが自然と出来てきた。

初めから数字目標で上手くいく人はそれで良いと思う。もしそれで過去失敗したというなら、是非最初は何も考えず、何なら1回やってみるかぐらいの気持ちで気が済むまでやるのをおすすめする。


④『手慣らし』という意識

これは単純に、作品ではないというだけの話。練習として見せるのは良いが、手の動かし方や脳の処理みたいな感覚的なもののトレーニングなので、描き上がったものが上手である必要はない。

すっっごい絵の上手い人が描いたものは、それこそこんなスケッチでも作品に見えるくらい素晴らしいものだったりするが、それはあくまで結果を後からみた話で、それを目指す必要はないと思う。



ということで、書くと案外長くなってしまった。個人的な所感の多い記事だが、始めようか迷っている誰かの『ピンと来る』記事になっていると嬉しい。

練習の後に描く落書きは最高に楽しいぞ~~!!




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