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クリエーター(トレーダー)様と遊ぶ企画 わらしべ長者・第十七章 “再訪”

『お前はまただらしない生活をしておるのか…目先の幸せよりこれからの幸せを探すのがお前の旅の目的だったはず。まずは琉球の国を目指せ…琉球でお前を待つ人がいる』

新潟という場所は私にとって暮らしやすく、怠惰な生活をしている。住み込みでアルバイト生活をしていたある日の夜、枕元に立つ人に起こされた。
萬屋金兵衛だ…彼も全国を行脚し、立派な商人として活躍した人物で私の31代前の先祖にあたる。彼に導かれ私は旅をしているのだ。そして私は再び旅に出た…と思いつつ、また秩父に戻る事になってしまったのだが…そんな中、私のスマホが鳴った。

『あ、もしもし?女将だけど貴女に会いたい、ってお客さんがいるのよ。旅館に来れる?うん…待ってるから…』

秩父でお世話になった旅館・和どうの女将さんからだ。彼女は結構慌てているらしく、私も尋常じゃない様子に急いで戻った訳だ。
新幹線を使い、そこから埼玉県に入り、特急で終点の西武秩父駅へ。
タクシーで和どうに着いた頃には夕方になっていた。

『いらっしゃい、久しぶりだねー!新潟にいたの?随分と大荷物を持ってるね。旅は順調?貴女を呼んだのには理由があるのよ…貴女は覚えてる?庭でお香を炊いていたお客さん。彼女が泊まってるのよ!貴女はここにはいない、って言っても“あの人は近いうちにここに戻ってくるはず”って言ってずっと待っていたのよ。』

女将さんは相変わらずだったのだが、私の存在を見ると安堵の溜息をもらした。部屋に案内され、ノックをする。

『はぁーい!どうぞー!』

失礼します…と入ると…

『遅ーい!待ちくたびれちゃった。久しぶりです…“角耳蹄”です。』

あ、思い出した!確か私がここで働らかせてもらっていた時に旅館の庭園で煙を出して焦っていたお客さんだ…彼女は、間髪入れずに話し出す。

『暗闇のランプはまだあるよね?ある?ならちょっと貸してくれる?』

ドサッとランプをテーブルに置くと、

『これを持ち歩くの大変だったでしょ!大きいし、嵩張るし。師匠に怒られちゃってさ、取り返して作り直せ!それまで帰ってくんな!って感じでさ…私の師匠、結構頑固でさ私が何を言っても聞いてくれないんだよ…』

と、彼女は頭のてっぺんにあるコブを痛そうに見せながら言った。

『師匠のゲンコツは大地の怒りみたいで、熊だって逃げ出すくらい痛いんだよ。師匠に認めてもらいたいのに破門とか冗談じゃないし、師匠を説得するには貴女に会わないといけなかったんだよね…』

私は彼女にランプを渡した。それから彼女は女将さんの知り合いの工房を紹介してもらい、朝早く起きて夕方近くに帰ってくる…そんな生活を送っている中、私は旅館で仕事を手伝う事にした。一週間程経った夜に…

『できた!はい、これが改良された闇のランプ。だいぶ小さくなったでしょ。でも性能は前より120%アップ!いつでも夜にすることができるし、時間も問わず…これで師匠も文句はないはず。』

確かに前に比べて小さくなっており、グレイリーボートくらいだ。その時、“鬼の涙”がピカッと光出した。

『ムーンライトがまだ光っているね…つまり“まだ出すものがあるだろ”って事かな、ムーンライトは何でもお見通し…ってことかな。』

と言うと、彼女はいそいそと懐から取り出した。

『“お天気射出ランプ”と“お天気パック”ー!』

…と、何処で聞いた事があるようなキャラクターの真似をしながら取り出した。

『お天気射出ランプはね、暗闇のランプとは違って完全に天気を操る事ができるの。パックに詰めたお天気を射出して、周囲の天候を変えることができるランプなんだよ。でもどちらかというと閃光弾のような代物で、影響範囲はパッキングされたお天気の品質に左右されちゃうんだよ。つまり ”お天気”は、その天候を”希い願う”気持ちを圧縮したもの。引き金の安全装置をかければ杖として使うこともできます。設計上、設計上、自重で作動させることができるのでバリアフリーな代物だだよ。んでこっちは快晴とどしゃ降りのパックね。このお天気セットはお買い得ですぜー、旦那!』

角耳蹄様、二度目の採用です!寄稿感謝致します。

角耳蹄さんは得意げに話す。

『んー、そうだなぁ…その毛糸玉を一つちょうだい!』

一つ?毛糸玉は一つしかないはず。よく見ると毛糸玉が増えている。私がもらった時は一玉だけだったのに。私は不思議に思いながらも一番大きい毛玉を彼女に差し出した。

『これってさ、猫の毛玉を糸にしたものでしょ?日本の猫の毛って上質でさ、赤色って日本の猫にしか出せないんだよ。師匠の奥さんに頼まれてたんだー、“日本に行ったら猫の毛玉糸を買って来て”って言われてたし。え?猫又?猫のモンスターの?だったら尚の事!霊的価値がついた毛玉糸ってレアなんだよ。』

彼女、角耳蹄さんは嬉しそうに受け取った。

『ところでさ、貴女…地図を持ってるでしょ?ちょっと見せてくれないかなぁ…大丈夫、盗んだりしないよー。』

私は地図を渡した。彼女は地図をジーッと見つめながら…

『“四年に一度の日、不死の山に日いづる国に…”か。なるほど…四年に一度の日、つまり2月29日、不死の山…日いづる国、日本の山…富士山かなぁ、そこで何かをするのかなぁ…私にはこれが精一杯。ただ…私は聞いた事があるんだけど、“桃源郷”って知ってる?そこには仙人様が住んでいて仙人様の出す試練をクリアすると何でも願いを叶えてくれるんだって。そこに行くのかな…』

彼女の洞察力にはびっくりした。誰に聞いてもわからなかったし、漠然としていて理解ができなかったのだ。すると地図にボワっと文字が浮き出てきた。

“四年に一度の日、日いづる国の不死の山…桃の道に導かれ…”

“桃の道に導かれ”と言う文が滲み出てきたのだ。彼女の情報は合っていた訳だ。私は登山をしないといけないの?地図の完成には沖縄に行かないといけない…地図は何を言いたいのだろう…私にはわからなかった。

・暗闇のランプ→完成した暗闇のランプ
・猫の赤い毛玉糸(残り2玉)→お天気射出ランプ+お天気パック(快晴・どしゃ降り)

・地図更新“桃色の道に導かれ…”
※現在完成率50%

・キーアイテム
不思議な地図
魔法樹“桜蝶”の苗木

角耳蹄様、二度目の採用です!有難う御座いました。

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